小さな一歩が息をした

 学校に行くことにした金曜日。天気予報は……晴れ。私は勇気を出していつものように歩いて学校に行った。

 保健室登校という形なので保健室に向かった。まだ足は重くて前髪を通して見る廊下が歪んでいる気がした。なんか保健室に着き、椅子に座る。先生はさっき出てってしまった。

 今日学校に行くことは親友には言ってあったので親友が保健室に来てくれた。そこで一通り楽しく話せはしたが、まだ学校は少し怖い。駄目だな、駄目だ。

 私にはまだダメだ。何でだろうね……体がどうも鈍い。決心した時から分かっていた筈なのに、やっぱり予想通りにはいかない。怖いけれどきっと頑張れる筈だと来てみれば体は重いし人は怖くて仕方ない。

 曲……曲を聞きたい……依存してるみたいだけれどそれでも私の救いであるのは違いない。あの曲に出会わなければ今日学校に来る何て選択はしていなかった。それだけでも成長してるんじゃ……? そう考えると体が軽くなった気がした。気がしただけだ。

 それから私は少し息を整えた。吸って、吐いて、言った。帰ってきたばかりの保健室の先生に私は、昼休みの今だけ教室に行ってみます! と元気そうに言うと、先生は少し驚いてその後いってらっしゃい! と言ってくれた。

 次は私から会いに行く、親友に。

 昼休み、教室に向かった、親友のクラスに。自分のクラスを通りすぎ、親友のいるクラスの扉を覗き込もうとすると、誰かとぶつかりかけた。ビックリしてそのまま後ずさりした後、その子を見るとそれは親友だった。少し固まると、親友はいつの間にか目の前まで来ていた。

「大丈夫!? 今から会いに行くつもりだったんだけど、どうかした?」

 先に心配の言葉を出した親友は何も考えずに話しかけようとした私とは違う。何度目か覚えてないその感覚をまた思い出す。良かった、いつも通りだ。そんな安心をしながら教室の前で話しているとチャイムが鳴った。

またね、その一言を聞いて私もまたねと返した。またがあるのだ。

 保健室に戻って家に帰ろうと準備した後先生にさよなら~と言って学校を出る。

 家に帰ってお風呂から上がり長くてうざったい髪を少し引っ張るようになびかせてドライヤーを向けて乾かしていた。

するとスマホから通知音が聞こえたので見てみると親友からだった。

「今日学校来てくれてありがとね~! また話し行くから来るとき教えてよ!!」

 私は「わかった」と返して髪を乾かす。ある程度乾いたところでやっと曇ったガラスが溶けるように見えてきたので顔をみるとうざったい前髪はともかく、何か変わった気がした。いい意味だ。何が変わったのか分かってない。でも、たしかに変わったんだと思う。今日の踏み出した小さな一歩がきっと変えた。私は部屋にもどってイヤホンをつけた。

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