6.
液体はすぐに舌に触れる。ガラスのような透明な味と、ほのかな冷感が口の中に広がっていく。
それはすぐに痺れるような感覚に変わった。
視界がぼやけ、光が滲む。男の姿がぐにゃりと曲がり、カーテンから指す光が虹色に見えた。
「気持ちよくなってきただろう?怖がることはない。君は夢を見ているだけだ」
言葉の一つ一つが、頭の中でとろけて消える。頭蓋骨の内側が痺れて痒い。
遠くで低い笑い声が聞こえた気がした。ベルトを外すような音もしたし、肌が外気に晒されているような気もした。何が起こっているのかは分からないが、体の奥が熱くて仕方なかった。男のひんやりとした大きな手が圭介に触れるたび、それをとても心地良く感じた。
――圭ちゃん。
ひび割れた天井に、カーテンから漏れ出た夕暮れのオレンジの光が、虹のように細く幾筋も揺らめいている。キラキラと、キラキラとしてとてもきれいで、
「いい子だ。」
圭介は、ずっと続いていた苦しみを一瞬の間忘れた。
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