第3話 カフェテラス

お茶の水駅は深い

エスカレータは右側通行

左側で気だるい表情のまま地上へ近づくのを待っている人たち

長いトンネルの先にある眩しさの中に みんな飛び込んでいく


小山のてっぺんから水道橋方向へ5分ほど下ると

右手の建物が途切れて 谷にいくつもの線路か見えてくる

片側1車線の道路を渡った先が今日から通い始める学校だ


中2階へと続く階段を上るとカフェテラスがある

登校初日 ここでオリエンテーションがある

とりあえず 一番後ろの端の席に座った


前方には心躍らせている生徒達

初々しい顔と言ったら 見ていて可愛いものだ

私も少し前までは きっとこうだったんだろう


定刻まで20分程 本でも持ってくれば良かった

窓の外をぼんやり眺めるしかなかった


背中越しに 缶が2本乱暴に置かれる音がした

振り向くと あの時のカレがいた


「ああ、いたね」目が合った瞬間 カレに話しかけられた 

と同時に

「おひとつ どうぞ お近づきのシルシに」

買ってきたであろう 缶コーヒーを徐に手渡された

「えっ あぁ どうも」

受け取った其れは まだ温かかった

同じ銘柄を2本 普段から2本買うのか 甘党なのか

とにかく さっき買ってきたであろう缶コーヒーだ


カレはもう一人と一緒に私の左隣に座った。


オリエンテーションは1時間程で終わった

カレらとは別のクラスだったので

ホームルームが終わった後 合流して 昼食に出た

神保町まで

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