断章 Origin

むかしむかし きがとおくなるような ずっとむかし せかいに ひとりのかみさまが うまれました


かみさまは じぶんがうまれたことをよろこび ずっとひとりで おまつりをひらいていました



だけど どうしてか かみさまは とてもかなしくなりました 


どうしてわたしは かなしいのだろう なにがわたしには たりないのだろう


かみさまはようやく おもいつきました 



そうだ わたしがかなしいのは わたしいがい “だれもいない”からだ



かみさまは じぶんいがいにも じぶんでかんがえ うごけるものを つくることにしました  


なかまが ほしかったのです


“もの”とよばれ いしをもたないかれらに じぶんの じょうほう をあたえました



すると かれらは じぶんのちからで うごきはじめたのです


ずっと とおいみらいで “せいめい” とよばれるかれらは 


かみさまと おなじように なかまを ほしがるかれらは 


じぶんたちの ちからで どんどんふえていきました



みためが かわりました  


いきかたも かわりました  


しだいに なにもかも かわりました


かみさまは おどろきました 


じぶんは すごいものを うみだした と



すると とつぜん かれらの ありかたが おかしくなりました 


“もの” も “せいめい”も すべては じぶんたちのものだと しゅちょう しはじめたのです


かみさまのうまれたせかいが みんなのすむせかいが どんどん しはいされて いきました


かみさまは

もっと  


おどろきました




おこりました






かなしみました     








それ以上に、人間のことが嫌いになりました。

あらゆる生命が暮らすこの世界を我が物とし、穢し続ける人間のことが。

だから思ったのです。



―――—人間を滅ぼして、この世界をやり直そう、と。



時間。

それは、泡沫の夢のように――――――――――——

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