シナズノキミ

人生

プロローグ1 同じ月を見上げる




 鉄格子から射し込む月の光が、アルヒナを祝福しているようだった。


 冷たい地面に跪き、頭からその月光に身を浸す。

 左右の牢から聞こえるすすり泣きやわめき声もどこか遠く、その白いヴェールを浴びていると心はどこまでも透きとおり、静けさに包まれた。


 静謐のなか、ただ――祈る。


 ……何に、何を?


 ……神に、平穏を。


 今夜は満月だった。冷え冷えとした地下牢、その壁の上部に設えられた鉄格子つきの天窓から、流れ込むように差し込んだ熱のない光。

 それは祝福だった。運命だったのだ。そう思い、自分を納得させる。そうやって心の平穏を保つ。


 ……いや、嘘だ。心はとっくに決まってる。考えるまでもなく落ち着いている。


 わたしはもう、この満月を目にすることはないだろう。


 自分が明日死ぬという事実を、とっくの昔に受け入れている。


 ふっと息を吐くと、体に震えが走った。

 昨夜は雨で、その雨水は天窓から容赦なく地下牢を襲った。むき出しの地面は今もまだぬかるんでいる。こんなところに長く居れば頭がおかしくなっても仕方がないだろう。他の房から聞こえる奇声、嘆き、怒鳴る声。昨夜は、まったく眠れなかった。


 ……数日前までの暮らしが夢のようだった。事実、夢だったのだろう。敵国の人間であるにもかかわらず、まるで賓客であるかのような待遇だった。

 しかし、これが現実だ。着衣こそかろうじて清潔なものだが、出される食事はかたいパン切れに味のないスープ。食器は欠けていて、スプーンは錆びついている。本来の自分を想い出せば、なんてことはない。それに、ぜんぶ明日には終わるのだ。


 眼を閉じ、両手を合わせ、ただ時が過ぎるのを待つ。


 心に平穏を。これが神の思し召しだというなら、わたしはそれをただ受け入れる。


 だけれど、月明かりはこの身の震えを静めてはくれない。この光には陽射しのような熱がない。それを「良し」とする環境で生きてきたけれど――


 ……神は、救ってはくれない。


「……?」


 こつ、こつ、と。アルヒナの沈思を遮ったのは、石づくりの床を踏みしめる硬い靴音だった。

 その足音はアルヒナの居る房の前で止まる。驚きはなかった。なので振り返るつもりもなかったが、しかし疑問はあった。こんな時間に、誰が、なんのために?


「"皇女殿下"におかれましては、ご心中お察し致します」


 アルヒナが反応しないにもかかわらず、房の前に現れた人物は言葉を続けた。


わたくし、東国辺境、このエン・ビギニーゲンの地を預かる"領主"ギィエス・ハッキンブロールと申します」


 高すぎず低すぎず、声量を落としていてもよく通る響きをした声だ。並べる言葉は礼節を重んじた丁寧なものであるが、どこか慇懃無礼な感をまとった口調をしている。


 ……「囚われの皇女殿下」を意識した、自らの地位に確かな自信を持ち相手を下に見ている者だ。


 アルヒナは振り返らずともその人物の性質を直感し、それは概ね的を射ていたが、その男の"人となり"まではさすがに見抜けるはずもなかった。


 仮にも"皇女"が幽閉されている地下牢に堂々と現れたこのギィエンなる男が、領主であるハッキンブロールの家に名を連ねる者であることは間違いない。しかしこの男は領主その人ではなかった。ハッキンブロールの長子でありながらその「面汚し」と陰でささやかれる、一癖も二癖もある異端児である。


 牢の格子に青白く骨ばった指を絡ませるその姿は、さながら白子アルビノの蛇のようである。長身にして痩躯、その肌は青白く、髪も同様に色素が薄い。白い長髪を束ねるその後ろ姿は女性のようにも見え、実際その顔立ちは中性的だ。身にまとっている服も女性ものの華美なブラウスに、ぴっちりとした黒のパンツ。しかし彼は根っからの男であり、今もケダモノ然とした欲望に身を震わせていた。


 ギィエス・ハッキンブロールはその筋では有名な人物だった。


 性的不能者。しかし毎晩のように女を買う。男も買う。それらはいずれも美少女であり、美少年だ。美しく年端もいかない男女を彼がどうしているのか、知る者はいない。知りたくもないだろう。なぜなら彼の屋敷に招かれた者は皆、以降その行方をくらませているのだから。


 本来なら彼は、檻の中にいるべき人間である。罪に塗れた外道で、畜生も同然のクズ野郎だと人は言う。しかし彼はこの街の領主の一人息子だった。そのために今、男は檻の外に立って一人の少女に熱い視線を注いでいた。


 目的の少女がこの地下牢のどの房にいるか、ギィエスは知らなかった。仮にも王族、見れば分かるだろうという軽い気持ちで通路を歩いてきた。するとどうだろう、天窓代わりの格子から差し込む月明かりに照らされ、祈りを捧げるその背の神々しさたるや。


 一目でそうだと確信した。この少女こそ、我が身のうちを焦がす熱い昂ぶりを解き放ってくれる存在だ。それは俗に言う一目惚れというものであった。この邪魔な鉄格子さえなければ、今すぐにでも――


 しかし、彼は情欲と獣性が人の皮をかぶったような男ではあったが、それでも礼節を重んじる東国エアスト貴族の端くれだった。その頭には確かに脳みそが詰まっていて、それゆえに彼は今日までの地位を保ってきたのである。欲情あいに身を焦がしながらも、飽いた玩具を未練なく捨て去る冷徹な理性を有しているのだ。


「あぁ、麗しき皇女殿下。長きにわたる兄弟戦争に一つの終止符を打つべく自らの身を挺し両国の橋渡しとなられた、勇敢にして華憐、知的にして恐れ知らずの我らが至宝の美よ……明日の正午には、貴女の骸が野に晒されていることでしょう。汚臭を放つ庶民どもの白濁とした眼球になぶられ、その矮小な自尊心を慰む見世物として。はたまた祖国勇士の胸の内に復讐心愛国心という名の炎を燃やす供物として……」


 烏に啄まれるその死体を夢想し、背徳と耽美に酔い痴れたのは一瞬のこと。誰もこの男が胸に抱く異常性癖について想像だにしないだろう。しかしその片鱗は彼の迂遠にして装飾過多な物言いから窺えるはずだ。


「私めであれば、貴女をそのような悲劇からお救いすることが可能であります。さながら戯曲の王子のように、貴女さまをこの暗がりから連れ出して差し上げましょう」


 その言葉に、かすかにアルヒナの肩が揺れた。それを男は見逃さなかった。


「貴女の処刑は王命であるがゆえに、覆ることはまずありますまい。しかし、私であれば、貴女の『身代わり』を立てることができる……。そっくりな人間を用立てるはさすがに難しいが、私であればいくらでも理由をつけて貴女の顔を隠すことはできるでしょう」


 口のきけない者に布袋でもかぶせ、身代わりに使えばいいのだ。そうした人間なら今すぐにでも見繕える。その辺で息をひそめている囚人の一人や二人、いなくなろうと誰も困らない。


 そうやってアルヒナを救出する理由はといえば、すべては彼女の祖国である西国シッセンに取り入るためである。そしてこの時世において今や両国の"国境と化した"この辺境地を西国に明け渡し、自らは現領主である父に代わり、その座に就こうという魂胆だ。


 ……そんな、仮にも東国貴族であるギィエスの企みなど、彼に視線の一つも寄越さないどころか背を向けたままのアルヒナに分かろうはずもないが――


「…………」


 アルヒナは何事もなかったかのように瞑目し、かすかに項垂れ己の内に心を沈めた。


「……なるほど」


 その反応をどのように受け取ったか、ギィエスは唇を笑みのかたちにしたまま、慇懃無礼に迂遠に飾り立てた、この場を去ることを意味する言葉を述べると踵を返した。


 こつ、こつ、と。靴音が離れていく。


 地下牢が再び独自のその静寂を取り戻すころになって、アルヒナは顔を上げた。


 鉄格子越しに見える夜空、聖教のシンボルであるミナスを仰ぐ。


 ……今の男は、神が差し伸べた救いの手だったのだろうか?


 アルヒナは最後まで振り返らなかったため、男が隠し持つ邪悪さを知る由もなかった。しかし彼がなんらかの政治的な思惑でやってきたのであろうことくらいは察しがつく。だからその言葉も、提案も、振り返らなかった。


 ただ、物言わぬ光を見つめていた。




   *




 槍を手にした軽装の男たちは、鉄板よろいで覆われていない生身の箇所に思わず目を背けたくなるような負傷をしていた。しかし流血はなく、傷口からは代わりに、月明かりを吸い込むような黒々とした結晶体が顔を覗かせている。


 ――不死者アンデッドである。


 聖教共通の見解によれば、死者の亡骸に、未練を残したまま世を去った人々の霊魂が悪霊となってとり憑いたものだとか、不浄王の魔力によって偽りの生を与えられた悪意の先兵であるだとか言われている、人ならざる化生の一種だ。


 一見しただけではすぐにそうだとは分からない。それほどにその男たちは人間としての原型を留めていた。つまり、簡単な板金で身を覆い、槍を手にし、敵を取り囲む軍隊のような動きをしている。眼球は白く濁っていて焦点は失われ、半開きの口からはすでに水分が涸れ切ってよだれの跡がわずかに窺えるばかり。


 しかしそれでも、その後方に控える、骨に腐った肉片を貼り付けたような"いかにもなそれ"に比べればまだ人間的といえるだろう。


 後ろの骨の集団はそれぞれ、ほとんどぼろ切れと化した皮の軽装を身に着けている。手にはわずかに湾曲した刀身を持つ片刃の片手剣。東国戦士団の制式装備だ。


 それら元・軍属と思しきアンデッド九体が取り囲むのは、二頭の騎馬と、黒の外套に身を覆った二人組だった。

 騎馬の一頭には指向燈ビームライトが灯されており、アンデッドの群れはこの光に反応して現れたのである。


 今宵は満月のはずだったが、しばらく厚い雲に覆われており、地上もまた完全な闇に覆われている。はるか遠くに街の明かりが見えるばかりで、周囲は騎馬の首元に提げられた指向燈の光だけが照らし出している。

 しかしこの指向燈というものはある特定の一方向に光を照射するものであるため、その反対の方はむしろ闇が深みを増してしまう。現在目視できるアンデッドの数は九つだが、闇に紛れてあと何体潜んでいることだろう。


「不浄王のお目覚めか。やはり俺の勘は当たっていただろう? ……しかしまったく、いったいどこからこれだけの数の不死者シナズが湧き出してきたんだ」


 指向燈をつけていない方の騎馬の上で、その若者、リーオ・オーゼンハントはため息交じりにそうぼやいた。忌々しげに頭上を睨む。今にも一雨来そうな暗雲が立ち込めていた。


「だいたいこいつらはなんだ、日中はどうしてるんだ。日陰にでも潜んでいるのか? いいご身分だな、日が沈むまでは汗水流して働くことが帝国市民に美徳だろうに」


 声には焦りからくる苛立ちが窺えたが、それでも陽気に振る舞おうとする気丈さが感じられた。


 これに、もう一方の騎馬に乗る青年が呆れたような返事をする。


「貴方は今、とても理不尽なことを仰っていますよ。死んでまでコキ使うとはこれ如何に。……まあ、私としてもこいつらの生態は気になるところではありますが」


 死体を前にして「生態」という言葉に若干の苦笑をにじませながら、青年、チシャ・イルサーバーは馬の首元に提げられた指向燈を手に取り高く掲げた。これで多少周囲の状況が把握できたが、あまり芳しい結果は得られなかった。

 目につく人影アンデッドは他になさそうだが、膝丈ほどに伸びた下草は風以外の何かによってかすかに揺れていた。肉のついたアンデッドの周囲には大抵の場合、その腐肉の匂いを嗅ぎつけた肉食獣が控えているものだ。


 指向燈の光量は常人であれば思わず目を背けてしまうようなもので、直接その目に当てれば大きなをつくることが出来るだろう。しかし獣を怯ませることは出来ても、アンデッドは視覚を頼りに動いている訳ではない。あの目がこちらを見ているはずがないな、とリーオもチシャも頭の片隅で同じことを考えていた。


 光に群がる羽虫のようであるが、アンデッドは人間の気配を感じ取って近づいてきたのだろう。今更指向燈を捨てたところで意味はない。こいつらは待ち構え包囲したのではなく、遠くからリーオらの存在を感知し、それぞれのろのろと近づいてきた結果、こうして現在二人の前に立ち塞がるようなかたちになったのだ。

 こうなると行く先にもまだまだうじゃうじゃ控えているかもしれず、無策で突き進むことも、ここでその相手をするのもあまり良策とは言えない。

 アンデッドは知能こそ失っているが、決して無能という訳ではない。その装備を見るに生前は軍属、身体に染み付いた戦闘経験というものはどうやら死後も失われないらしく、前に突出したアンデッドの一体が、馬上のリーオに槍を突き出そうとするような動きを見せる。リーオは剣を抜いてその一突きを打ち払うが、周囲を囲まれれば対応も次第に追いつかなくなるのは目に見えていた。


 ではどうするか?


 どうしようもない。


 ……絶体絶命である。


 そもそも、夜間に城塞都市の外に出るという行為が無謀なのだ。それは帝国市民なら子どもでも知っている。いや、子どもは知らないかもしれない。なぜなら多くの一般市民は都市の外に出るような愚かな真似はしないからである。

 多くの一般的な帝国市民は、自身の生まれ育った、壁に囲まれた都市の中でその生涯を終える。その小さな世界が彼らの全てであり、そうした都市国家ともいえる城塞都市群を一つにまとめる皇帝家の存在こそ把握しているが、彼らにとっては遠い存在だ。生活は都市の中だけで足りる。外に関心を向ける者は少なく、またそのような余裕もないだろう。あるいは向けたくなどないのかもしれないが。


 都市間を行き来する市民といえば商人やその護衛隊くらいのもの。それだって移動は大人数の隊商キャラバンで日中に、そして夜間に都市外で立ち尽くすことがないよう計画的な旅程を組んでいる。各地の都市も日のある時間内で行き来できるような距離にあるし、そのための街道もいちおうは整備されている。


 しかし現在、リーオとチシャの二人は整備された街道は使わず荒れ果てた平原を走り、健全な市民なら安全な壁の中で各々気を許しあえる相手と食卓を囲んでいるだろうこの時刻、アンデッドの群れに取り囲まれているのであった。


 そんな窮地に陥るような真似をしでかすのはよほどの無謀者か、よっぽど急を要する事態に直面にしている者くらいであろう。そして二人はその両方であり、少なくとも内の一人は無謀が過ぎるきらいがあった。


「チシャ、残念だがそっちの馬を捨てる。こっちに乗れ。指向燈で荷を燃やすぞ」


 リーオの指示はなかなか常軌を逸しているが、いちおう理にはかなっていた。

 月明かりすらないこの闇夜を光なしに突き進む無謀さはもはや語るまでもないが、指向燈を使えば手っ取り早く火をつけることが出来き、荷を捨てれば馬が軽くなるのは当然だ。炎はアンデッド共の弱点でもある。そして、リーオの馬はチシャの馬を風除けとして進んできたため、脚もまだ残っているはずだ。


 残る懸念は一頭の馬で男二人を運ぶことだが、これも意外とどうにかなる。


 リーオ・オーゼンハントは今年で十七になるが、青年と呼ぶには幼い容姿をしていた。少年という表現が相応しい小柄な体躯なのである。にもかかわらず、その騎馬は彼の立場に相応しい壮健な駿馬だ。彼の騎乗するその姿は馬に乗っているというより乗せられているといった感が否めないほどであるが、だからこそ、多少無理を強いることにはなるが二人分の重量にも耐えてみせることだろう。


 しかし、それが確かにこの場を切り抜ける最善手だとしても、この先はどうする?


 夜はこれから深まっていく。遠くに都市の明かりこそ見えるが、あとどれだけの時間を、どれほどの距離を駆けることになるか。指向燈と積み荷を捨てることは命を投げ出すことにも等しいだろう。


 そして、何より――


 ……この夜駆けに、命をかけるだけの価値があるのか?


「安心しろ。俺たちの人生はこんなところでは終わらん」


 ……普段からその"根拠"に懐疑的なくせに、こういう時には都合よくそれを自信に変える。リーオ・オーゼンハントという男は、まったくもって自身に都合が良い男だ。


 そして、この世界はどうやら彼にとことん甘い。


 頭上を覆っていた雲が晴れ、月光が地上に降り注いだ。


 西方聖教曰く、静謐にして神聖なる神の威光――月明かりは亡者の群れの動きを緩慢にさせる。


「ツキが巡ってきたじゃないか――……行くぞ!」


 チシャの答えを待たずして、リーオが低く声を上げた。


 チシャは指向燈を掛け金から外しながら、少なからず同じ旅程を共にした自身の馬の首筋をひと撫でする。そして意を決すると、その手でナイフを取り出し馬の首筋をかき切った。


 馬がいななき、血が迸る。チシャは横を駆け抜けていくリーオの騎馬に飛び移った。アンデッドの隊列を突破する。……我ながら曲芸じみた芸当をやってみせたものだと、安堵と同時に肝が冷えた。

 それから、前に乗るリーオの腰に片腕を回しバランスをとりながら、器用に指向燈の金属板を動かし種火を露出させると、それを後方へと投げ放った。荷物には食糧の他に消毒用のアルコールなどが含まれていた。うまく引火すれば火の手はしばらく止まないだろう。そうでなくても、この一帯には背の高い下草が密集している。振り返らずとも、すぐに後方で炎が酸素を食らうおぞましい雄叫びが上がった。


「ふう――」


 と、安堵の息をついたのはリーオだ。彼は手綱を背後のチシャに押し付けると、彼にもたれかかるようにして天を仰いだ。後は任せた、俺は寝る、そんな理不尽な命令が聞こえるようだった。


 手綱をチシャに任せ、リーオが意識を向けるのは、後方の火の手でも前方にわだかまる暗がりでもない。天に在って地上を見下ろす、今も光を放って自分たちに救いの手を差し伸べた――


 ……月。


 自分たちが足をつけ駆けるこの地上も、あの頭上に浮かぶ巨大な球体と同じ、「星」の一つであるという。夜空に散りばめられた宝石のような輝きの一つ一つが、遠く離れた天の向こうに存在する星々である。


 ならば――と、リーオ・オーゼンハントは考える。


 暗黒時代ダーケン・ネージと呼ばれるこの戦乱絶えない地上と同じく、あの星々にもまた、武力を有する軍隊が存在していたとしたら。


 もしもそれらがこの地上に攻め込んできたとしたら、この星の人々はどうなるだろう。


 身内同士で争い続ける我らエンリングス帝国に、明日はあるのか?


 月明かりはこの地上に遍く等しく降り注ぎ、その威光の前には生者も死者も、貴族も囚人も皆ただただ無力な泡影に過ぎない。



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