6

「転移ゲート」


それは人間界とこの世界を繋ぐ役割を果たしている

深い歪みであった。


隠れるように密やかに、森の奥にそれはあった。


どこまでも漆黒の闇が詰まり、不定形に渦を巻く中

プラネタリウムのようにゆらゆら、チカチカと

朧な光が揺れている。


誘うように怪しげに揺らめくその縁に

拓斗はそっと足をかけていた。


「ほ、ほんとにほんとにゆくのか?!」


拓斗の肩先でバタバタと羽をばたつかせて

黄色い小鳥が焦った声音で叫んだ。


「ああ」


「い、行ったが最後どのようなことになるか分からぬのだぞ!?どんな事態を招くかわからんのだぞー

!」


ピー太郎の大騒ぎするのも最もなことであった。


ここを通れるのは、数限られたもののみ。

それも、この磁場を隔てる場所の呪力とも言える

力量に対抗しうる能力を持つものだけ。


つまり、神と言える存在のみ。


それも当然とも言えよう。死によって肉体を失い魂となった存在を厳然に隔てているのがこの世界の理で

ある。

死者がおいそれとこの世に舞い戻ってはならぬ事なのだ。




なぜこのようなことになったのか。


ー始まりは、無事に任務を終えて

好物の青菜と粟を食べていた彼の元に

思い詰めたような表情の拓斗がいきなりやってきた。


そしていきなり


「人間界との出入口はどこにある!?」


掴みかからんばかりの勢いで叫んだのだった。

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