3

『運命』


そして『生命』を司る


女神エイル


彼女の仕事は、迷い縺れる世の

人々へ、御使いを遣わし、迷える魂を導き

新芽のように芽吹きを始めた生命を見守ると同時に


ー不幸に、道半ばで生をついえた

魂をみちびき

転生の輪へと送ることだった。



「…つまり、死神?」


ゲインッ!!


初めて拓斗が、彼女の役割について聞かされた時、

思わず洩らした失言は、彼の頭にしばらく消えない

たんこぶとなってもたらされた。


「馬鹿が…、あのな拓斗

死と生命は一対。裏表になってるモンなんだよ」


生命


運命


それから、死という重すぎる言葉。


拓斗が、すぐにそれを理解することは出来なかったのも当然だった。



運命なんて、言葉だけじゃ片付けられねえもんだろ。


エイルは、背を向けて

それ以降は語ろうとしなかった。


ーだが、流石の拓斗にもわかってきたのだ。だんだんに。


女神エイルの元へと送られてくる

数多くの綺羅星のような光の塊


あるものは小さく、産まれたばかりのように淡く

あるものは元気に輝きーあるものは弱々しく


それは、志し半ばで

自身に幕引かなければならなくなった、命そのものの姿だった。



女神だからこそ、それがどんな運命を辿ってきたのかつぶさに知りながらも、止めることができずに


天界へとその手で返されていく。


そして、拓斗が拾ったあの書簡は


近々にやってくる運命を科せられた

魂の名だった。


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