第一章エピローグ あとしまつ

 「あ、そういえば」

 魔王の部屋から出る直前、私の師匠、フォーレイは口を開いた。

「王都騎士団の生き残りの奴ら、置いてきたんだった。」

 え?ん?王都騎士団?あれ?てっきりロゼリアたちに任せたのとばかり思っていたが、違ったらしい。というか、たったの半年でトップになれるようなところの小隊なので、まあ、死ぬだろうとは思っていたが。どうやら生き残りはいたようだ。フォーレイは私達を見回し、私とキルラ、そして優火の方を見た。

「君たち、生き残りの連中を回収してきてくれる?」

 嫌だ。と言いたかったが、彼女から何か殺気にも似た圧を感じたので、三人は引き受けざるを得なくなった。

 廊下を歩いていくとすぐ見つかる、と言っていたが、いかんせん廊下が長い。それを見つけるまでに、数十分廊下を走り回る羽目になった。そこには、騎士服姿の二人の男性と、一人の女性の姿があった。どうやら眠っているようで、意識はない。

「コイツラで間違いないんだよね?なんか見覚えがあるきがするんだけど」

「奇遇だねカルラ。私も同じことを思っていたよ」

こんな会話をしていても、起きる気配はない。そうか、仕方ない。

「起こすか・・・」

隣りにいた優火とキルラはうなずき同意の意を示してくれた。なので私は剣を取り出し、大きく振り上げ、地面に向けて思い切り叩いた。

_____________ドゴォォォォォォォォォン

幸い後ろにいた二人は耳をふさいでいたようなのだが、前にいた男性と女性は、一気に意識が覚醒したようだった。

「ひやぁぁぁぁぁっ!なっ、何事!?まさか、この私が誘拐されたというのかっ!?いやぁァァァっ!どうかぁ、乱暴にはしないでくださいよぅ」

うん。このテンションで思い出した。こいつ、アホだった。同じ状況にあったであろう二人の男性も戸惑っている。まあ、これが普通だろう。こんな奇人、あまり見たことがない。

「や、レクラ。久しぶり。王都騎士団でうまくやってる?」

「優火先輩、お久しぶりです!で、先輩がなんでここにいるんですか?はっ!まさか私を誘拐してあんなことやこんな事をしようと」

「違う。自意識過剰も程々にしろよ。私達は、あなたたちを、助けに来たの!」

「まーたそんなご冗談を。私はもう、騙されませんからね?だってあなたは__」

そのタイミングで彼女の言葉は遮られた。後ろにいた騎士団の二人の男性が抑えにかかったからだ。彼女を抑え、口をふさぎ、私達の前へと出る。

「すみません。うちのレクラが、迷惑をかけてしまって。」

「んーーー!んーーーー!」

レクラも抵抗しているが、無駄だろう。流石に男の力には勝てない。

「いえ、礼には及びませんよ。さ、帰りましょう。あなた達を助けてくれた恩人も、外で待っていますから。」

そう言い私は、この長い廊下の出口へと向かって歩き出した。これでようやく、魔王討伐任務は終わった。討伐したのは魔王ではないけど。

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