第3話 合流
「お、ロゼリアにフォーレイか。珍しいね、この組み合わせは」
やっぱり気づいていたようだ。そいつと、騎士服姿のカルラと、その後ろに、背中に二丁、腰に一丁の銃を持った少年がいた。
「あら、久しぶりね、優火。魔法学校以来かしら?」
「そっちのメイド長にはよく会うけどね。最近なんかあいつの記録結晶にいっぱい貴方の写真があったけど。どうなってんの?」
一応、両者首席卒業という意味では共通点もあるが、お嬢様のほうが先輩である。敬意が一ミリも感じられない。
「敬語を忘れているわよ。それはそうと、あなたも行先は同じかしら?できれば、別のルートをとって欲しいのだけど?」
まあ、間違いなくそうだろうし、こちらとしても居られると困る。かぶると思い、最悪戦闘になると読んでいた。だが、
「言われなくとも、そのつもりだよ。まあ、すぐに再会するだろうけど。」
そう言い、すぐに離れていった。どうやらすることは違うらしい。じゃあ、何しに来たんだ?わざわざ道なき道を通ってここまで来た意味は?______考えると終わらなそうなのでここらへんにしておく。魔法学校で出会ったときも、中々読めない人だったし。でも良かった。あの人お嬢様と仲悪いし。でもよく話したりはしていたような気がする。不思議なもんだな。
「じゃあ、行きましょうか。」
そういい、魔王城へと再びあるき出した。
「キルラ〜早く行くよ。」
おっと、いかんいかん。そんな事を考えている場合ではなかった。それを聞き、リボルバーを持ちつつ、走り出す。行き先は魔王城。のはずだが、何故か少し回り道をしている。
「姉さん、これ道合ってるの?遠回りしているみたいだけど。」
ふと気になったのでそんなことを聞く。
「あ、やっぱり?私もそう思ってたの。でも、迷ってるとかじゃなく、なにか意図があるんだと思うよ。優火のことだし、何も考えていないわけがないわよ。」
そう返してきた。親友とはいえ、ここまで信じられる姉さんには驚く。だが同時に納得もした。なぜ優火さんにこの仕事を頼んだのか。それはこの信頼があってこそなんだろう。そしてそのまま、魔王城ではなく、ある洞窟についた。
「私達の向かってる場所って、魔王城だよね・・・」
そう姉が口に出す。というか普通、こんな反応をする。これから語られる事実を知らなければ。
「そうだよ。ここが、魔王城地下牢への入り口さ。」
魔王城城下町へ歩きだして数分。ようやく入り口についた。だが不自然にも、警備員と思しき人物はいなかった。なにか違和感を感じつつ近づいていくと、
「しっ、なにか気配がする。」
真っ先に気づいたのはフォーレイだった。私も杖を構え、臨戦態勢に入る。美咲も感知できているようだ。数は______20人ほどだ。こんな大人数で来られるものには、あいつ等しか思い浮かばない。
「王都騎士団のお出ましか。」
その方向を見ると、騎士団の副団長とその部下が押し寄せてきた。
「お出ましとは失礼ですね。誰だか知りませんが、反抗するようなら殺しますよ。」
質を数で補っている集団が何を言う。そう思ったが、団体が団体だ。反抗したときの被害は計り知れない。
「反抗はしませんよ。で、何の用ですか。」
「魔王城の下見に来ただけですよ。ちょっと見て帰るだけ。さあ、道を開けてください。時間を取りたくはないんです。それとも殺されたいですか?」
仕方がないので私は道を開けることにした。だが、フォーレイは違った。
「やだ。」
「は?」
そう言い、副団長の前に立ちふさがった。まあ、らしいといえばらしいが、今はそんな場合じゃないだろう。
「ちょっと、フォーレイ様、何をしているんですか。早くどいてくださいよ。」
美咲がそう言いつつフォーレイを退かしていく。ムスッとしたような顔をしているが、意外にもあっさりどいた。力が弱いのだろうか?
「はっ。最初からそうしておけばよかったんですよ。」
副団長様(笑)はそう言い去っていった。そして足音が聞こえなくなった頃、美咲はため息を付きつつ、こんなことを聞いた。
「どうして正直にどかなかったんですか?あんなのに数で押されたらひとたまりもないですよ。」
それはそうだ。私だって思った。だが、こいつは違うのだ。
「数は関係ない。重要なのは一人一人の強さだ。多分あいつ等、運が良くても生きて帰ってこれるのは一桁だろうね。全滅___はないか。何人か骨のあるやつがいた。」
あの一瞬でこれだけの情報を!?やっぱり歴戦の魔法使いは違う。このまま行かせていいのかは疑問だが、気にしないようにしよう。うん。
そこから彼等が行った数分後、私達も動くことにした。
警備がいなかったので、正門から堂々と入った。城下町のメインストリートには、不自然なほど人がいなかった。気配は家の中のみ。避難勧告でも出ているのだろうか?そのメインストリートを駆け抜け、魔王城の前についた。門は開いていた。
「ようやく本番、ってとこかしらね。もうすでに嫌な予感がするのだけど。」
「奇遇だねロゼリア。私も同じことを感じているよ。」
「あら、フォーレイ様もですか。私も、なにか嫌なものを感じます。」
やっぱり、この城から異様な雰囲気が出ているのは間違いない。だが物怖じせず、私達は進む。
「さあ行くわよ。決戦の場に!」
そう自身と周りを鼓舞し、魔王城に足を踏み入れた。
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