第4話 対魔王用決戦都市
翌週。
日本の首都を改造してできたという、聖都シグニフィカティウムに招かれた。
なんでも、古代の預言者アイシャが、今年2023年に、東京の地に魔王が復活するとの予言を遺していたためだという。日本語を無視した都市名を付けるとは、教会もやりたい放題だ。
そんな対魔王用決戦都市の竣工式に、私も呼ばれたわけだ。まぁ、私はルーライ教会のトップなのだから仕方がない。
「しかし、アイシャも厄介な予言を遺しましたねぇ。ゼクスどのもこれでは天国に行きづらい。まるで私の計画を予見していたかのような鬱陶しさ。面倒ですね」
「それだけではありません。悪魔祓いの件数も増加しています。教会が魔王討伐に向けて様々な活動を展開しているのは明白。魔術学院なんてものも出来ましたからね」
隣に立つ男が言う。
彼はフィロストルギオス。悪魔が可哀想で祓えないエクソシストだ。
「魔術師を養成する魔術学院……エクソシストと何が違うのでしょう?」
「魔王討伐に向け、戦闘に特化した人材を育成したいようです。なかでも……」
「なかでも?」
「ジゼル・アイレスフォードは規格外と言われています。注意された方が良いかと」
アイレスフォード家の人間か。かつて教会に代わって魔女狩りを主導し、数多の魔術を奪い、所蔵しているとの噂だが、遂に表舞台に出てきたか。
「あなたも気を付けた方がいい。日本には
「それに関しては問題ありません。9体ほど悪魔を従えていますから」
9体とはまた、慈悲深いことだ。悪魔が可哀想で祓えず、挙句の果てには自らの眷属としてしまうとは。この男もまた、教会のはみ出し者といったところだろう。
「それにしても、大した兵装です。一体何門の大砲を備えているのでしょうね?」
今私たちが立っているのは城壁の上。だが、壁の上や中に、幾つもの砲塔が見える。さらには、悪魔祓い用の魔法陣が、所狭しと城壁に描かれている。結界や攻性防壁の数も相当なものだろう。
「分かりませんが、ゼクスを逃がすのは至難でしょうね」
厄介なことになりそうだ。
「しかしいけませんねぇ、魔王討伐にかこつけて、こんなに多くの投資を募るとは。絶対に私腹を肥やしている連中がいるはずです」
「でも、そんな悪人どもも救いたいのでしょう?」
フィロストルギオスも私の思想が分かってきたようだ。
「えぇ、もちろん」
私はなるべく慈悲深そうな笑顔を浮かべ、答えた。
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