第137話 ハクトと翡翠
「重くありません?」
「羽のように軽いですよ!」
何馬鹿な事言ってんだと言う感じに返される。
「これって勝利条件とか有るんですか?」
気に成った事を聞いてみる。
先程から疾走するハクトの肩に担がれた、いわゆる”お米様だっこ”と言う状態で旅館の中を移動している。
「単純に逃げ切ったらこっちの勝ち、捕まえられたらハチクマの勝ち、時間無制限」
疾走しながら、弾む息で律儀に返してくれるハクトさん、息も上がって居ないのでよっぽど鍛えて居るのだろう。だがそのルールだと……?
「負ける前提?」
勝つイメージが湧かない。
「最終的にハチクマたちに勝ち癖とか着けて置きたいし、護衛組がそれなりに強いってのをうちの隊員に見せて置きたい」
負け前提だったらしい。
「大変ですね? 汚れ役」
ノリと勢いで抱え込まれたのかと思ったが、思ったより考えていたらしい。
「上官は、部下その他が良い感じに働ける場を整えるのが、お仕事ですから!」
追いついて距離を詰めたハチクマさんが手を伸ばすのに合わせてハクトさんが避けたり方向転換する。
背中に目があるような避けっぷりだった。
ココでセクハラなりなんなり、暴れれば一発でハチクマさんの勝ちに成るわけだが、訓練と言うのなら、大人しく見ておくのが筋だろうか?
「所で、ハニーはどこまで行きたい?」
ハクトさんが足を止めず、流石に上がって来た息で言う。いつの間にやら旅館の外に出ていた。
地元走りなのか、裏口やら何やらと知らないルートてんこ盛りだ、足元と後ろしか見えないからわかり難いが、それにしてもだ。
「そこはダーリンじゃないんですね?」
「ローヤルゼリー的なの出せるでしょ?」
酷い下ネタだった、因みに、ローヤルゼリーはミツバチが女王蜂に成る為の特別な専用食、ハチミツ的な物だが、白くてドロッとして甘くは無い。
「そりゃあ出ますが」
男なら基本出る。
更に言ってしまうと、足と言うか、腿辺りにプルプルと揺れる塊の感触とか感じられて、本体棒の方が半起動状態である、これフルに成ると腋の下辺りに挟まるんじゃないかと、変な事を考える。
「ゆ・え・に!」
回り込んで来たハチクマさんの走行妨害を、返事をしながらひょいひょい避けるハクト、コレでも体重50㎏有るのだが、肩に担いでこの動きはバケモノにも程が有ると思うのだ。
ちょっと持ち替えると、ひょいひょいと走りながらお手玉のごとく扱われている。
現在もマラソンと言うには歩幅がデカい、一体時速何キロで走って居るのやら。
「後で! 私にも! 下さいな!」
直球なお誘いだった、男らしい、いや、漢らしいと言うべきだろうか?
と言うか、どんな顔で言ってんだろうコヤツ、現在の視界では背中から尻から足の筋肉質で健康的な艶めかしいラインしか見えない。
ちょっと残念だった。
「分かりました、順番、ですからね?」
「ふひひ、言質、とったぜ!」
走りながら、空いて居る手でガッツポーズ的なのを取ったのが見えた。
「あーもう! 正妻の前で! 逃げながら口説くな!」
ハチクマが叫んだ、確かに色々カオスが過ぎる。
風切り音と震動に負けないよう、それなりに大きい声で話しているからだが。
「良いじゃないか! 貴重な良い男は! 共有財産!」
相変わらず、悪びれた様子も、足が停まる様子も無かった。
追申
ハクトは色々な意味で非童貞。
でも何故か処女、嫁一同の共通認識で、下剋上とリバは許されなかった。
所で、若いイルカは遊びでホモセッしてて、その回数が多いほど、本番の交尾が上手くなるらしいです。
人間に当てはめると、人間も若いうちにホモに走るべきという感じの、愉快な論文。
という事で、ハクトは色々慣れてます。
因みに、逃亡時間、全力疾走で喋りながら10分強位の感覚です、普通にバケモン。
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