第123話 お役所にて、割とやけくそ気味な12人目 (ツバメ視点)
「こんにちわ」
「はいこんにちは」
聞き覚えのある声に返事をして顔を上げる。
うぎゃあ?!
内心で悲鳴を上げた。
先日も顔を合わせた面々と言うか、本家の主要メンバー勢ぞろいだった。
「本日はどのような?」
補助金かな? いや、このいっぱいいるのは?
「はいこれ」
ぴらっと、ミサゴが届け出用紙を出してくる。
1234・・・11と・・・・・・
「早くない?」
深刻に。
「基本的にこの界隈、万が一こうなったら、真っ先に飛びつけるようにって準備万端だったりするからと言うか、この人が魅力的すぎるのが悪い」
若干苦虫を噛んだ様な口調で、ミサゴが言う。 思わず、その旗印で元凶な人に目線を向ける。
ニコッ
目線に気づいてか、にっこりと笑みを返された。
どくんと、心臓が早鐘を打ち。
のどが渇いてつばを飲み込む。
きゅんとお腹の奥が疼いた。
いやいや、いくらなんでも気が早いっての。 思わず落ち着けと、大きく息を吐きだす。
「所で・・・・・・?」
「一行、一人分増えたところで問題無いから、書いちゃえ」
冗談のつもりで売り込もうとしたら、本題の前に受け入れ表明された。
「え?! 良いの?!」
思わず聞き返した。
「どうぞどうぞ」
翡翠さんが気にする様子も無く、苦笑を浮かべて促してくる。
「知らんのが初期メンバーに増えるよりは、先ずは仲の良い身内で埋める」
客とか、その他の分は後だ、良いからとっとと書け。
そんな感じに、覚悟が決まったというか、若干やけくそ気味にミサゴが促す。
「そりゃあ、そうなるよねえ・・・・・・」
今回の届け出メンバー、鳥組は基本的に腹違いの姉妹で、多少は顔見知りだが、後ろの方の数人はイマイチ知らないメンバーである。
ミサゴがこの人を見つけてから数日でこの様子では、嫁100人とか、あっという間に埋まる。
「夜とかどうする?」
「最初の蜜月期間の3日は、出来る限り入籍準で回して、後は当たる日とか、お仕事の関係を考慮しつつ、多少フレキシブルに一晩交代で順番に・・・・・・」
最初の嫁としての強権とかはあまり使うつもりはない様子だ、となると、琥珀のお爺様の時の嫁プランとか、夜這いプランも有りだろうか?
三番にヤタ御婆様居るから、多分なぞる感じだろうなあ?
「仕送りは?」
「月に2万円」
インフレで多少上がったかな?
「バレたら全国単位で押しかけて来るよ?」
「だから一応口止め中」
「漏れるなあ・・・・・・」
絶対に漏れるなあ、内心で思わずしみじみと言う。
「昼間はフリータイム、色々な意味で」
夜の順番が回ってこなくて溜まったら、昼間の内に多少襲っても良いと言う意味なのだろう。
「独占期間は短そうだけど、まあしょうがないね?」
そろって肩を落として、ため息をつく。
「多分、次来るときは、トキ婆と、アオバと、後色々って感じになる」
流れ的に、旅館の従業員達も全員とかなのだろう。
「鳥系多いからなあ」
名前が出てくれば一目で身内と分かるが、私達自身が覚えきれていない。
「そういえばハクト姐さんから連絡あったよ? この辺の空き家接収したいから、役所 が管理する格安物件確保してくれとか」
まあ秘密と、人差し指を立てて小声で言う。
「また増えるなあ」
「美人だからね? ハクト姐さん」
美人と言うか、もはやちんちん付いて無いイケメンのたぐいである。 顔と身体のつくり的に、美の方向性的にはミサゴとハチクマ姐の系譜と言っても通じる。
だから、多分馴染むことだろう、色々と。
「んじゃ、名前を呼ぶんで、順番にIDカードお願いします」
「はい」
ぴっ
特に偽造やら何やらのデータ異常は無し、因みに結婚した証明的には、結婚相手のIDともリンクされるので、読み込ませた際には、無造作にばれる。
まあ、顔見知りだったらおめでとうございますとか言われる程度だが。 因みに、苗字はあまり変えない、カードやら何やらの手続きがかなり面倒であるし、一 緒に住むわけでもないので、結局諸々の手続きが面倒なので、皆そのままだ。
「んで私っと」
ぴ
私がまさかの12人目である、なんつうか、まだ実感はないけど、にやけるなあ。
なお、その後散々撮影会した、やっぱ良いなあコレ。
追申
身内割、鳥の名前がついている、腹違い連中の為の割引と言うか。
腹違い連中の為の顔見知りの元従業員割引。そんな訳で、ちょっと違う。
この旅館は何だかんだ良いお宿で、シーズンには例の琥珀の没後、居なくてもそこそこ部屋が埋まる、そんな訳で、そこそこ忙しいため、シーズン中は身内連中がアルバイトに来る。
特に夏休みやGW、春休みに冬休み、学生アルバイト先として色々と手っ取り早い為。
竿姉妹とかの関係上、子供の頃は親に連れられて来て居たりして。
そんな訳で、客として来るより、従業員として働いた覚えがあるのが大半。
アルバイト先として、就職先としても、琥珀も翡翠が居ない頃でも、そこそこ優秀なので、かなり固まっている。 そんな感じの関係性。
だから、ミサゴはハチクマとスズメとかは乳姉妹として育ったのでベッタリなのだが、 その他でちょっと扱いが違う。
夜這いプラン、もしくは嫁プラン。
対象者は、正妻として、届け出済みの連中。種付け予定日に、満室であろうと泊まれたりする、宿泊場所は言うまでも無く翡翠が 泊っている離れ。
やるだけやっちゃえという、わかりやすい奴である。
宿泊料金は、正妻なんだからと格安。
仕送りが実質無料とかは、この辺からも来る。
札束で殴った場合、種付けレートがえぐい事に成って居るのに、暢気なものである。
実は、別の旅館であろうと、翡翠がふらっと、堂々とフロント通って客室に突撃かますのも別に問題は無い。
代金採れるようなのも先ず居ない。
おこぼれとか色々、励みに成るから寧ろ推奨とか言われる。
実は近くに傘下の旅館が結構有る理由。
地元民なら、同意さえあれば、むしろ無くても、突撃隣の晩御飯なノリで飛び込んでも問題なかったりする。
護衛的には、流石に色々怖いので、出来れば不動の引きこもり気味に旅館の中に居てほしいが、自由に外に出られるからこその城である。出られない城は、ただの監獄と変わらないため、ヤタちゃんとしては、物理的に縛り付ける事はしない、あくまで自由意思で、情とかで縛りたい。
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