第118話 寝起きの距離感が近い話(翡翠視点)
「すう……すう……」
(熱い……)
静かだが、やたらと寝息が響く寝室で、ふと感じた熱さに目を覚ました。
(近い……)
緩く首元に回された腕に、抱き締められた状態で寝ていた。
腕の主はミサゴで、胸元に半ば埋まる様に抱き締められていた。
ほんのり感じる汗の匂いとか、温泉の匂いとか、逃げ場のないお互いの体温とか、触れた素肌の柔らかさとかで、くらくらする。
因みに、布団は蹴とばされて大分明後日の方向に飛んでいた。
布団無しでもかなり熱かったのか、発熱した分か、汗だくだった。
ついでに、汗をかいたおかげか、寝る時に有った怠さとかがスッキリ治って居る。
で、後ろにもやたらと熱い熱源が有る。こっちはハチクマさんらしい、何と言うか、柔らかいのに独特のがっしり感が有る。
(うごけない……)
柔らかく、抗い難い、柔らかな肉の檻、更に、情も多分に含まれる。
(まだ暗いし、起こすのも悪いかなあ)
動けないと言うか、もったいなくて動きたくないのだが。
ちょっぴり姿勢的に息苦しいけど、柔らかい感触とか、無防備に至近距離なその寝顔とか柔肌とか、それだけでも色々と凄い。
世話に成った分も有るが、好きだと言われておいて、アレだけ肉欲とか貪っておいて、嫌えるような図太い神経はしていない。
(多分、ヤタちゃんはコレ含めて仕込んでるだろうなあ……)
脳裏に見た目年齢にそぐわない、老獪な笑みを浮かべるヤタちゃんとか思い浮かぶ。
縄や鍵、檻を使わずに、身体と態度で。歓待する事で篭絡して拘束する、そんな男女の間でだけ成立する関係。
元がモテなかったせいも有るだろうが、この状態を手放すだなんて考えられなくなっている。
(負け負け)
してやられて居るのだろうが、悔しくも何ともない、ただのご褒美でしかない。
あのお客さん達の様子から見ても、自分の存在がただ事では無くて、自分で考えている以上にこちらでは価値が高いのだろうけど。
チュンチュン
外はまだ暗い様子だが、朝早くから鳥の声が響いている、もうすぐ夜明けらしい。
ぐぐっと
本体棒が、朝から元気にバッキバキに成って居た。
(期待とかには応えられるかな?)
元気な生理現象にちょっと嬉しくなる、過労状態の時はコレすら無くて本気で落ち込んだモノだ。
相手とか居なくても、純粋に体力とか元気のバロメータなので、死活問題なのだ。
今の所毎日元気で何よりである。
しかし、腕とか痺れないだろうか?
横寝の状態だから首と肩の隙間に入って居るのならいいけど、うっかり荷重かけて居るとハネムーン麻痺とか怖いし。
そう言う事で身じろぎして、ミサゴの手の拘束から、頭を下にすくめる感じに逃げだす。
ふに……ぽろ……
コチラの動きに合わせて、ミサゴの寝巻の浴衣、胸元が露になる。
ついでに、目の前に突起とか丁度良い場所に来ていた。
綺麗だし、美味しそう……
起こさない様にとか思いつつ、激しくはしない感じにとか、変な言い訳をしつつ。
ぱくっと
衝動的に唇の先で、優しく咥えた。
「ひゃん♪」
寝起きにしては反応が良く。打てば響くと言う感じに、可愛い声が上がった。
恐る恐る顔を上げると、やたらとギラギラした目つきのミサゴと目が合った。
「お返しです」
ちゅ
どうしようかと固まって居ると、抱え込まれる様にキスされた、前回より積極的だ。
「こっちも元気なんですね?」
うっとりと言う感じの目つきで、下側の本体を撫でられた。
「何時から起きてました?」
攻守が入れ替わった感が有ると言うか、捕食者ぽくなったミサゴに気圧されつつ、適当な話題を振る。
「呼吸が変わった辺りから? 多分起きたなーって」
「成る程」
何だか全部の動きを観察されていたらしい、何だか心の奥まで見透かされた気に成って赤く成るが、隠す事は無いので意味が無かった。
そもそも何を隠すのだろうか?
「今度は……」
ぎゅっと抱き締められた後で、全身でゴロンと転がされる、何時の間にやらミサゴにマウントポジションを取られていた。
「私が攻めますね?」
太陽が昇って来たらしく、外から光が入って来る薄明りの中で、薄暗くても今度は真っ赤なミサゴが、何だか得意気に自分の唇を舐めた。
視界の端に、何だか器用に退避したハチクマさんとか見えた。
やっちまいなーと言う感じに、無言で拍手とかして居たのが見える。この辺のノリはヤタちゃんとか影響が強そうである。
「お手柔らかにお願いします」
今度は搾り取られる番らしいので、俎板の鯉のごとく、観念する事にした。
何だかんだ、二人掛かりで結構いっぱい搾り取られた。
ついでに、二人の肌艶とかが目に見えて上がった。
こっちの女はサキュバスか何かだったらしい。
エッチな女の子とか大好物なので何も問題無いのだが。
そんな訳で、朝一賢者タイムと言う、何ともリア充っポイ状態で起動する事に成った。
追申
やっとミサゴが本性を現しました。
二人がかりで絞られたので、実は例のあの時、ちょっぴりチャージが足りて無かった説。
ハネムーン麻痺、腕枕で血流と神経伝達死んで痺れるアレ、時々洒落に成らない段階のが有ったりする。呼び方違っても段階違うだけで結局エコノミークラス症候群の血栓とかですし。
ギフトに★3に文字付レビュー、感想に応援、毎度ありがとうございます。
良かったらブックマーク、感想とか応援とか評価の★3とか文字付のレビューとかも、ご協力お願いします。
もっとレビューの星と文字と応援と感想を下さい!
こんなん幾らあっても良いので、下さい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます