第48話 搾精部屋の安全性を語られる

「しゅうぅぅぅぅぅ」

 人気が無い静かな病院の廊下で、何だか独特な深呼吸の音が響いていた。

 臍下丹田に力を込めての腹式呼吸の音だ、長く時間をかけて、大きく息を吸い込み、長く息を吐き出す手法だ。

 音の発生源は、ツブリさんからだった、緊張を解す為に深呼吸でもしているのだろう、なぜソレに成るのかはアレだが。

 武道系女子なのだろうか?

「よし」

 ルーチンワークが終わったのか、反対側を向いて、目立たない様に小さくガッツポーズをしている、どうやらそちらも緊張している様子だった。

 緊張しているのは、コチラも同じなのだが、昨日の荒療治分だけ、多少の余裕が有った。


 ぴ、ぴ、ぴ。

 扉の横のロックシステムらしき物を操作して、監視カメラらしき物を覗き込んでいる。

 ガチャリと鍵が開く音がして、自動的に扉が開いた。

「何だかすごい構造ですね?」

 思わずそう呟く。物々しい。

「搾精や種付けの際に使えるVIP専用ルームです。一定以上の権限と登録が無いと使えませんし、使用ログとか色々取られてて、監視カメラもガッツリ仕掛けてあります、何かあった時には私は逃げられませんと言う事で、信じていただきたく。尚且つ、外からの乱入も防止できますし、防音もばっちりです、有事の際にはシェルターみたいに使えますが、基本的に病院の地下構造体は気密と強度はがっしり作ってあるんで、それとして使うのはあんまりありませんね?」

 部屋に入り、見やすい位置の監視カメラとか指さして、色々と説明してくれている。

 部屋に入ると自動的に扉が閉まり、ガチャリと鍵がかかった音がした。

 コレで密室に成った訳だ。

 後半何だか脱線しているが、緊張している分のアレコレだろう。

「暴徒なんかの時には、男性保護局に直通するホットラインが有るので、ソレ使うとここに立てこもって安全に一掃できますよ?」

 壁の電話機らしき物を示される。

 部屋の構造は、10畳一間程度で、ソファーや、ベッド、冷蔵庫の中には飲料水やら、栄養ドリンクやら、壁掛けのTV、洗面台や簡易だが、シャワームも付いていた。

 棚には例の搾精道具とか、色々揃っていた。

 生活感だけが無い、実際やるだけ部屋なのだろう、何処と無くラブホテルの部屋とかこんな感じだろうかと想像する。

「物騒だなあ……」

 部屋の中をきょろきょろ確認しつつ、適当に相槌を打つ。

「無い話では無いらしいので、念のためです」

 無言が怖いと言う感じに、やたらと早口で途切れなく説明してくれる。

「録画録音はされてますが、あくまで安全とプライバシー保護の為であって、第三者が見ると言う事は有りませんのでご安心を……」

 何だか搾り取る雰囲気とかそんな色っぽい感じではなく、安全性をアピールするだけタイムに成って居る、最後の一押しとか思いつかなかった類だろうか。

 内心のわくわく感が、段々と萎えて行くのを感じる、多分これ結構かかる。


「さてと、準備とかどうします? 脱ぎます?」

 促してみる事にした。検査着の紐を解いてみる。

 ぎゅるんと目線がこちらを向いた。

「脱いでくれた方がこちらとしても楽です、お願いできますか?」

 一瞬飛び掛かってくるのかと思いきや、未だ理性的だった、流石の社会人である。

「はーい」

 一息に脱ごうとして、一瞬動きを止めた、どうせなので相手も脱がせておきたい。

「一人で脱ぐのも恥ずかしいので、一緒に脱いでくれません?」

 そんな事を言ってみた。

「え? 良いんですか?」

 不思議な事を言われた。

「勃起させるのにも、視覚刺激欲しいので?」

 ツブリさんの喉がゴクリと動いた。

「分かりました、それでは私も脱ぎます、脱がせていただきます」

 そう言うと、ツブリさんも服を脱ぎ始めた、ジーッと一気にジッパーを下げ、ナース服の上をガバリと開く、焦らしとか、恥じらいは無い、豪快な脱ぎ方だった。

 裾が長いワンピースタイプだったので、一気に露出度が上がる。

 結構おしゃれなレースで淡いブルーのブラジャーと、白い肌が眩しい。

 下には直ぐ下着では無く、活発なショートパンツが着用されていたので、その健康的な色気に、思わず目線が吸い込まれる。

 スカートに見えるけど、下から覗いても見えないタイプか。

 下着ではないけど、それはそれで趣が有って良い物だと思う。

 足元はストッキングやタイツでは無く、黒のオーバーニーだった、半脱ぎで初めて分かる、大分若いコーディネートだった。

 畳むのではなく、椅子に順を追って引っ掛けて行っている辺り、結構豪快だ。

 まあ、あっという間に脱いでいくので、そんな趣なんてあんまり無いのだが。

 基本的に女性の裸自体が芸術品だと思うので、文句は無い。

 下着を外した瞬間、フルンと揺れるそれとか、ツンと尖ったそれとか、とても良い物だと思う。

 そんな訳で、ツブリさんの豪快な脱衣をがっつり見つつ、自分の服も脱ぐ。

 上は検査着一枚で、後はパンツぐらいなので一瞬なのだが。

「では、前準備、シャワーとウエットティッシュどちらが良いですか?」

 お互い脱いだ辺りで、ツブリさんが話しかけて来た。

「シャワーの混浴でお願いします?」

「はい!」

 やたらと嬉し気に返事された。



 追申

 すいません、しつこく前振りに成ってしまいました。

 服装については趣味が出ました、コスプレなら兎も角、そんなの現場に居ねえよとは思います。


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