第47話 搾り取られる話の、前振り
「え?」
「精液採取です」
聞き間違いかと思ったけど、どうやら聞き間違いじゃないらしい。
下ネタ警報を発するハチクマさんが反応しないので、正当な医療行為では有るのだろう。
「失礼ですが、今日は出せる日ですか?」
「出ると言えば出ます」
曖昧気味に答える、基本的に毎日出る物なので、出せるかと言われても逆に困る。
おしっこ出る日ですか? と聞かれるような物だと思うのだ。
「どう出しましょう?」
聞き直しても先に進めないので、促す、先に進もう。
さあ出せ、今出せと言われても困るけど。
「このように、3種類から選んでいただきます」
手順書らしいチラシが出て来た、いらすとやの様な性的に見えない性的な絵が手順を説明していた。
「まずは1、自分で、紙コップやオナホール的な物が有ります」
テーブルの上にコンコンと紙コップやらオナホールやらコンドームらしきものが出て来た。
「これから案内する小部屋に、それ用の色々は在りますので、ソレを使ってですね?」
「はあ……」
正直それは気が進まない。
「その2、私か、医療従事者の誰かを指名していただければ、補助させていただきます」
一瞬で部屋の空気がガラッと変わった、部屋の中に自分達以外にも数人、他の看護師さんが忙しく行ったり来たりしていたのだが、誰も声を出さない、一瞬で動きを止めている、選ばれるか選ばれないか、どちらか分からない緊迫感を発している。
部屋の構造的に、廊下からは扉で仕切られているが、行き来をしやすい様に、奥の通路が素通しで、丁度人が多かったタイミングだったのだ。
「個人的にですが、私を、選んでいただけると、嬉しいです」
そんな沈黙の中、真っ赤に成り、意を決した様子でそんな言葉が続いた。
周囲の視線がギョッと動く、先を越されたと言う感じの無言の圧が見える。
その一言で、目の前の女性がそういう対象として見えてくる、男は単純なのだ、気が弱そうな、メカクレぱっつんの娘だが、ここで勇気を出して誘って来た事を評価したい。
胸元の名札には、【精液検査官 山田ツブリ】と言う名前が刻まれていた。
なんだその役職………
「これでも、搾精技師一級持ってますので、でも、折角取ったのに、出番が無いので、是非……」
何と言うか、目線が前髪で隠れているが、パニック気味に目がぐるぐる回って居るのがすごく良く分かった。何もしていないのに全身が揺れているし、手がなんだかわたわた動いている。
「………その3、その護衛官の方にお手伝いを、お願いします」
たっぷり時間をかけて貯めてから、そんなのが出て来た。
え?
斜め後ろに立ったままついていたハチクマさんを見る、意を決した感じに、赤い顔で頷かれた。
「どちらを選びますか?」
この一瞬で選べるんだったら、多分長年童貞やって無いと思うんだと、そんな泣き言が一瞬浮かんだ。
お誘いを断れるほど人間出来ていないと言うか、いきなり回転寿司でウニとトロとっちゃってどっちからと言われている感じに近い。
「医療行為なので浮気では無いです、と言うか、色々蒔いてくれると嬉しいです、私の予約は。生きてるんですよね?」
コチラの迷いを読まれてか、困り顔だが、そんな言葉がハチクマさんから発せられた。
「はい、それなら大丈夫です、夜までには溜まります」
思わず答える、クズっぽいなあと自分でも思う。
「夜まで?!」
別の所から変な声が上がった、朝昼夜位の一日3回なら余裕だ。
一時間に二回は其れなりに大変だけど。昨日のミサゴ相手は結構回数出している。
「でも……そうですね? 私の中に入れるまで、挿入禁止でお願いします、流石に嫉妬とか、しますので」
何と言うか、精一杯の誘惑なのだろう、
「あの、流石にそこまで言われると、私の方も悪い気が………」
ツブリさんが申し訳なさそうにしている。
「一応正妻の余裕的なのですので! 後でいっぱい注いでもらうので!」
ハチクマさんが少し声を荒げた、何故か謎のマウント合戦みたいになって居る、なんでそうなる。
「それはおめでとうございます」
ツブリさんが、ハチクマさんに深々と頭を下げた。
「では、お言葉に甘えて、少々翡翠さんをお借りしますね?」
そう言って先程出してきた搾精器具らしき物達をツブリさんが抱え込むと、立ち上がる。
「翡翠さんはついてきてくださいね?」
小さい身体で、長い髪を弾ませてツブリさんが歩き出し、部屋の戸を開ける。
歩き方を見る限り、かなり気持ちが弾んでいる様子だった。
追申
翡翠は結局好きだと言ってくれた相手を好きに成るタイプです、今まで相手が居ないので、執着心強めです。
この世界で、社会的常識として、女性が男性を束縛するのはみっともない事という事に成ってます、多少のNTR味を感じるかもしれませんが、ハーレム物としてはしょうが無いという事で。
で、孕ませた数とかが男の価値に成ります、納入された精子のランクや量も加味して。
だから、種をまく人が理想で、アプローチあったら嫁も其れなりに補助するのがお約束。
上手く行ってるかは別、あくまで理想論。
新キャラと言うか元から居た娘
山田ツブリ、メカクレパッツンの内気キャラ、と言うよりは、初対面では猫かぶってるタイプ、慣れてる相手の時には髪を縛って上げているので、それほど内気には見えない。
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