第40話 きよらの苦い現実

 私はきよら、男性保護局で働く社会人。

 背が小さいのと、ぺったんこの胸のお蔭で未成年者扱いされるが、コレでもちゃんと成人済みの大人である。

 性的には処女で妊娠も出産も未だなので、まだまだ子供と言われるが、そこら辺は追々だ。

 希望すれば出産自体は出来る、処女で人工受精で妊娠出産するとマリア様と若干馬鹿にされるので、膜をいかに破るかが大事になる。

 当然だが、自分で破るのは邪道だし、女同士で破るのも以下略、恋人同士でも無いのはお呼びじゃない。

 そもそも私はノーマルなので、是非とも格好の良い男の人と巡り合って、自然な流れで破って欲しい所だと......思ってた時期が有りました........

 私等の仕事は保護局であって、保護しなきゃ行けないのは、基本的に女嫌いとか、中年熟年の女性にレイプで搾り取られたなんかのトラブル関係。

 男性には護衛官が常についているけど、完全にどうにかなる訳でも無く、思春期のどうしようもない自由への渇望で男性自身が逃亡したりと色々有るので、やはり大変です。

 酔った勢いでの良い潰し誘拐とか、海外に売られる寸前とか、出会うのはもうどうしようもない感じの女性不信の男性達ばかり。

 当然、私達も基本的に女性の集団、男性の社会人なんてほぼ居ないので、めっちゃ八つ当たりされます。

 通報や要請から動くこの組織の性格上、どうしても後手後手で、何かあった時にしか動けません。

 助け方の印象、助かった感が少しでも弱いと、助けなかった以上に恨まれます、だからかなり大げさな騒ぎに成ります、犯罪者に人権は無いと言う事でコレは納得いただけるかと。

 でもって当然と思われると思いますが、以上の流れで保護から恋愛に発展するなんてまず有りません。

 しょうがないですよね? 男性から見れば全員女性で見分け付かなくて敵に見えるんですから。

 希望とやる気に満ちていた社会人一年目の私は死にましたが、お仕事なので、お仕事はきっちりします、正直まじめにやってる私達より楽しそうにしているレイプ犯とかは本気で殺したいです。


 わあー

 わー

 わいきゃいしている公園の前を何気に通過する、楽し気に騒ぐ子供達と、井戸端会議をしつつ子供たちを見守るその母親達が目に入った。

「はあぁ………」

 無意識に溜息をつく。

 親子で居られるって、それだけで羨ましいなあと思う。

 私は物心つく前に赤ちゃんポスト、正式名称、こうのとりのゆりかごで孤児として預けられた組なので、親子で一緒に居ると言う時点で何気に羨ましいのだ。

 同年代の子供達と言うのは山程居たが、父親母親と言うのは理解の外だ。

 身受けの話も無いまま孤児院は追い出し年齢に成ったので、義理親と言うのも言わずもがなだ。



 そんな最中、一軒の男性トラブルの報が上がりました。

 寂れた海岸沿いの道路で、男性が発見された、車両に乗せられ連れ去られた。

 容疑者は地元有力者の関係者。

 男性の戸籍及び国籍不明。

 連れ去りの現場以前での発見、目撃報告は無し。

 嫌がっている様子は無かったと言う事ですが、信用できません。

 何だか妙に質の良い精液も提出されてると?

 質は兎も角、問題は絞り方なんですから、実物見るまでは解んないじゃないですか。

 私達がどれだけ酷い現場を見て来たと思ってるんですか。

 と言う事で、先輩の琴理さんが手続き自体は問題無いので、推定無罪っぽい様子で解説してますけど、私はあくまで有罪視点で行きます、地元有力者なんて特に信用できませんから。

 


 嫌々婚姻届けの書類を書かされていたと見たので、もう許せんと突入しました。

 あっと言う間にぐうの音も出ないほどの正論で殴り返されました。

 セクハラが一番ひどくて距離感が近いあの幼女が本丸の有力者だなんて聞いてませんよ?!


 私達保護局は、男性を保護すると言う至上命題を掲げる関係上、大抵の権力組織より強い影響力が有るのですが、男性が同意と言って居る以上手を出せません。

 この男性が、レイプされました、助けてくださいと言った時点でしょっ引けると言うのに……

 そんな内心で一方的に喧嘩を売りますが、こっちの内心を見透かしてか、これ見よがしに男性、翡翠さんといちゃつかれます、抱き着いて、おしりを撫でて、股間を撫でて、腕を引っ張ってひそひそと内緒話をして、そのままキスまで……


「良いなあ……」

 無意識に口をついてでたその言葉、それはもう、どうしようもない羨望と渇望と絶望が綯い交ぜに成った、どうしようもない感情だった。



 追申

 この世界での社会人カースト

 書類で結婚済み>書類では無いが内縁の相手有り>相手の分かる子供在り>国からマッチイングした精子で人工授精、通称処女懐胎のマリア様>子供無し、処女、おぼこ、そもそも子供。

 と言う感じで、子供無しだと成人で有ろうとほぼ子供と言うか半人前扱い、社会人カースト的にも大分下。

 この話開始時点では、ヤタちゃん普通に最上位で、ミサゴ最下位なので、ヤタちゃんの余裕具合と、ミサゴの童貞臭い焦りっぷりも納得かと。

 人口減少を避けるための義務と権利の関係上、高齢出産を避けるため、30で大体人工授精と成ります、ギリギリまで後回しなのは、あくまで自分で見つけたいと言う悪あがき分。

 基本的に男は大事なので一番上扱いだけど、同時にアクセサリーでもあるので以下略だし、女性の性欲も有る関係上、数の暴力で蹂躙されます。この世界の男性欲フィジカル共に微妙に弱いですし。

 必ず付いてるはずの護衛官は巻かれたり、殺られたり、共犯しちゃったりとケースバイケースで。

 あくまでデストピア気味なこの世界の話です。フィクションですのでご容赦を。

 

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