第18話 裏側のボヤキ(ヤタ視点)

「いやしかし、よく出たのう......」

 ずっしりと重くなったそれを手に呟く。

 諸々の手続きを自分たちに都合良く先延ばしにする代わりに、先にブツをよこせと要求されたのだ。こちらとしても病気や何やらのチェックはしておきたいので、やはり先に絞って置きたかったのも確かだ。

 できそうならミサゴにやらせるところだったのだが、先ほどのようにキスだけで絶頂した後、戻ってこないクソ雑魚具合を発揮している。

「まあしゃあないか、あやつは処女じゃし」

 世代的に一番若いので、一度もそういった機会に恵まれていない。妄想逞しくいい歳なので、性欲も溜まって、実際のモノより良い物だと認識しやすい。

 実物が予想より悪いと落胆が酷いが、どうやらあの翡翠は当たり枠だ、見た所、予想や妄想の目一杯上をいかれている。

「経験豊富は両刃の剣じゃし」

 前の男と言うか、寝取られ感が出ると一時的にドバドバ出るのだが、その後は疎遠になったり、萎えたり、不能(ED)になったりと、あまり褒められた物ではない副産物が付いて回るので、あまり推奨されない。

「儂ぐらい極端じゃないとな?」

 一番経験豊富で、あの場でやれそうなのが自分なので、そのまま流れで搾り取った次第である。


 ところで、今日ぐらいの絞り方をすると爺様の場合殺す気かと怒られたのは良い思い出だ。

 あの時の爺様は二日ほど足腰立たなくなった。

 ついでに、お掃除で残っていた分はしっかり吸い出した味を見る限り、しっかりと濃い、良いお味だ。これで一日3回出るのなら、ランク的にBやCと言う事は無い、Aは確定として、Sクラスが出かねない、補助金と言う名の買取金額的に、それこそ出してるだけで生活できるランクだ。そもそもあいつ、翡翠は恐らく最初に出て来た場所が悪いだけで、自力で勝手に生き残れるタイプの人物だ。

 その事を含めて、繋ぎとめられるかはミサゴの手腕にかかっている。


「責任重そうじゃなあ?」

 他人事の様に思わず口に出して噴出しながら、上機嫌に歩く。


「お祖母様!? 何処行ってたんです?!」

  そんな事を考えている内にツグミが出て来た。

「丁度良かった、ほれ」

 無造作に先程の搾り取って封をしたホールを下から軽く放り投げるように渡す。

 因みにコレ、一般的には絞精器具として使われるが、中身のローション的な液体は精子を効率的に絞って保存する為に、人工精漿(じんこうせいしょう)いわゆる精液の精子以外の液体部分と同じような成分を、生理食塩水ベースで人工的に再現したモノである、出してから丸一日ぐらいはコレのままで保存できる。

 なお、流石に唾液や体液を入れると消化酵素や雑菌、他者の免疫細胞なんかが入る関係上、前準備を上や下のお口ですると台無しである。当然、上の口や下の口に出して絞り出したり吐き出してと言うのも推奨されない。

「え? わ?!」

 ツグミが慌ててお手玉するようにしてソレを受け取る。

 内部に独特の弾力がある為、跳ねると暴れるのだ。

「例の、ミサゴが連れて来た翡翠から搾り取ったアレじゃ、儂の名前で病院の方に送れば通じるはずじゃから、後はよろしく頼んだぞ?」

 何だコレ? と、察しの悪い表情を浮かべるツグミにそういう事でと肩を叩いて横を抜け……

 がしっ

 捕まってしまった。

「どういう事です?」

 ツグミの目が血走っていた。

 片手でホールを大事そうに抱えつつ、もう片方の手で首根っこを掴まれてしまった。

「そのまんまじゃ、ミサゴが連れて来た男子、翡翠の出したて搾りたて白濁液、手っ取り早く届けんとランクが下がるぞ?」

 ツグミの目線がこっちかどっちだと泳ぐ。

「人工精漿に劣化防止剤入ってるんで少しぐらい変わりません!」

 あまり時間がかからずツッコミが帰って来た。

「ちぃ、知っておいたか」

 爺様の晩年も直で注ぐのは負担が大きいため、コレを使う機会も有ったせいだろう。

 男の客が来て咄嗟になんて先ず無い。

「大丈夫だったんですか?!」

 客として失礼が有ったとか、男の相手としてどうなのかとか色々含んでだろうが。

「儂から見た限り喜んどったぞ? 礼まで言われたわい」

「そんなまさか……」

 因みに、普通の雄の時点であの量を絞ると次の日まで足腰立たない所か、命の危機を感じたとか訴えられる位の絞り具合である。今回はお互い楽しく搾り取った訳だが、そこらはお互いの呼吸と言うものだ。

 そもそも3日に一回ぐらいが現状の一般的な雄の性欲で有る、一日三回と言った時点で色々規格外なのだ。

「翡翠、ありゃあ善人じゃ、爺様と同じぐらいにな?」

 伊達や酔狂で客商売で長生きしていない。人を見る目は有るつもりだ。

「お祖父様と?」

 端的に説明する、その一言で十分分かるだろう。

「ツグミ、恐らくお主も十分行けるから、後で強請って見ると良いぞ?」

 多分、こやつと翡翠で同い年ぐらいだ。こやつも見目は良いのだから勿体ない。

「ひゃっはっはっ」

 流石に情報量が多かったのか、ツグミの顔が赤くなり、動きがフリーズしたので、改めて自室に引っ込む。若いのとの触れ合いは楽しいが疲れるのが難点だ。少し寝るとしよう。



 追伸

 鬱勃起でドバドバする話の解説。

 チンパンジーは乱交で常時寝取られの為、それでも自分の種でと言う生存戦略で玉がゴルフボールサイズ有るとかなんとか。

 対して体格的に一回りデッカイゴリラは寝取られ禁止の為、銀杏ぐらいだそうです。

 なお、作者的にはNTR大っ嫌いなので、ご安心ください、この作品はNTR禁止です。寝取っても寝取られはしない方向で。多少はハーレムする方向で。あくまで男主人公視点で。

 ついでに精子の保存に関してですが、変な高温や低温、あとは乾燥しなけりゃ精子なんて通常でも一日ぐらいもちますけど、この世界のはもっと華奢い感じですので。

 それ以前に精子に膣内分泌液以外を混ぜるとまあ死んじゃうので、ローションではよろしくないという事で、多少は言い訳を。

 因みに、人工精漿、魚類系で遊ぶと人工授精でよく使います、精子の生存時間が伸びて効率的に受精できるのです。

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