第2話 主人公視点、無人島?
ざざーん
がらがらがらがら
ざざーん
ざざーん
がらがらがらがら
何とも言えない音が響いている。
足先がちゃぷちゃぷと冷たい液体に触れる感触がある。
異様に怠い身体に内心で活を入れ、目を開ける。
海だった、しかも波が荒い、水温が低い、島スタートにしても難易度高めの北の海かな?
内心でそんなアホな事を内心で呟いた。
一先ず体温確保だろうと水から離れる。
「よっこい……せ……と」
何だか重たい身体を気力で強引に動かす。
落ち着いて周囲を見渡す、人や生き物の気配は無い、差し迫った命の危険は感じない。
ざざーん
ざざーん
がらがらがらがら……
荒い波がひいてはかえす、砂浜の砂と言うにはやたらと粗く、丸い石ががらがらと転がり、独特の音が響いていた。
地元の海じゃないなあ……
どっちかと言うと昔旅行したことがある、新潟とかの親不知海岸だ。
あの辺だとすると、翡翠とかあるかなあ?
緊張感の無い事を考える、色々と出来事が唐突過ぎて現実感やら緊張感が喪失していた。
「どん詰まりじゃねえか」
落ち着いて周囲を見渡す、左右後方の三方向は断崖絶壁の崖の下、崖はほぼ垂直、装備無しで登れそうな手がかりや足がかりは存在しない、対して表にはやたらと高い波に冷たい海。
太陽の位置的と言うか、何と無くの体内時計的に、夕方ぽいのだろうか? これから暗くなっていく予感がする。
やはりというか何と言うかな、目の前の水は塩辛かった、やはり海水らしい。
泳ぐには辛い、冷たい水温と、やたらと粗い波、この全身怠い謎の衰弱状態では泳いで脱出は辛そうだった。
「泳ぐのは最後の手段かな?」
今が大潮の満潮と仮定して、コレからの引き潮を祈るべきか?
「この上があって、完全水没する場所だったら泣くぞ?」
泣いたからと言って如何するモノでもないし、如何にか成るモノではないので、自分の精神安定以外の意味は無いのだが。
ちなみに、荷物や何やらは一切無い、スマホも携帯もありゃしない、いつも持ち歩いている適当なサバイバルキットも手元には無かった、着の身着のままで服しかないというやつだ。
叩いて石を割って打製石器作るべきかというネタもあるが、握りこぶしより大きい玄武岩やら何やらの硬い系鉱物はそんな簡単に割れる物ではない。
石英系ならどうにか成るのだろうか?
そもそも割ったのなら、次は海に飛び込んで餌の確保と言う棘(いばら)の道だ、そもそも現在がサバイバルルートなのかどうかは、まだ確定していない。
「眠い、怠い……」
結局力尽きて倒れこんだ。
ちょろちょろちょろ
不意に波とは別の水音が耳に届いた、目を開く、もう薄暗い、そういえば喉が渇いた、湧き水なら大丈夫だろうか?
怠すぎて頭が働か無いが、無意識に石をガラガラと転がして退ける。
割と綺麗そうな湧水地点が現れた。
無色透明な水が地面の下、岩盤の割れ目から湧き出している。
生水はどうだろ?
手ですくって透明度や汚れを確認する、異臭や違和感は感じない。
そんなことをしている内に、水を目の前にして喉の渇きが耐えられなくなって来た。
少量なら問題ないだろう。
欲望に負けて手にすくって水を飲む、乾いた身体に染み渡る水は美味しかった。
喉の渇きが収まり、再び怠さと眠気に負け、意識を失った。
事態が好転してれば良いなあと言う、我ながら楽天的な希望的観測を胸に秘めて……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます