第2話 書置き

数時間後、そこには読み終わった厚い本が机の上に置いてあった。


「大体8時からだから……4時間……か……」


6冊の本を4時間で……つまり1時間で???

さぁ分かる人~~?正解は~~~~?


「そう、一時間で1.5冊ということだッッ!!!」


俺は虚空に叫ぶ。

しかしその声はもちろん虚空に消えていった。

残されたのはなぜか知らないが誇らしげな俺と虚しさだけであった。


「……下行こう……」


2階の自室から降りて、1回のリビングの扉を開ける。

そこには一枚の書置きとサランラップに包まれているおかずが置いてあった。


書置きには「ちょっと出かけてくる。勉強しといてね。」


そう書いてあった。


俺が勉強をすると本当にそう思っているのか?


俺は母親ではないのでわかるわけがない。


「その期待が……俺には……」


期待されればそれに答えなければならないという「責任感」や「義務感」がわき上げってくる。しかしそれに答えられない俺に責任感というもう一人の「俺」が攻めてくる。


俺は無心となり、ご飯を食べる。

おかずをあっため、そしてご飯をよそる。


「……いただきます……」


俺は静かに食べる。

学校に行っていないと言う罪悪感を感じながら……


「どうして……期待なんてするんだ……っ!!」


俺はいわゆる「台パン」をする。

しかしすぐに我に返り、自分をまた攻める。


「……ゲームしようか!」


俺は気分を無理やり上げる。

しかしその心は……笑ってなどいなかった。

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