声変わりドリンク
最近、すごい飲み物が発売された。
その名も、『声変わりドリンク』。
発売1ヶ月で、ぶどう味、いちご味、みかん味などいろいろな味があり、しかも美味しいから老若男女幅広い世代に人気の商品になった。
特に○チューバー界隈がダントツの人気で、毎日のようにこのドリンクの動画が投稿されていた。
今、ここにもそのドリンクを飲もうとしているアイドルもそうだった。
「配信中でーす、今回はこの話題の声変わりドリンクを飲んでみたいと思いまーす」
「いただきまーす♪」
飲んだのは、ぶどう味だ。
本当にドリンクとしても美味しいな。
声が変わっているかなー、試しに
「あー、あー」
声を出してみた。
「嘘ー、何コレ、男性の声になってるー、おもしろーい!」
「みんなも面白いから飲んでみてねー、バイバイー」
それからというものこのドリンクをSNSなどに投稿するため、4回も飲んでしまっていた。
声変わりドリンクには、1人、4回までしか飲んではいけませんと注意書きが書かれてあるのに。
「今日は友達のマコちゃんも呼んで、またこの新発売の声変わりドリンク炭酸入りを飲んでみたいと思いまーす」
「はーい、マコでーす!」
「そのドリンク飲み過ぎじゃない?、確か4回までじゃなかった?」
「今日で5回目だけど、大丈夫でしょ!いただきまーす!」
ゴクゴク
「炭酸入りも美味しいでーす」
「今日は、どうやらおじさんの野太い声になったみたい、ヤバっ!」
「その声で、歌ってみたらバズるんじゃない?」
「いやだよ、こんな声で歌うの!」
「あははは」
「キャハハ」
その後、いつもなら1日で声が元に戻るのに一週間経っても治らなかった。
アイドルは、怖くなり病院に行き、医師に見てもらったが、原因が不明で元の声に戻るのは難しいと言われた。
なんと、このおじさんの野太い声でコレから生きていかないといけなくなったのである。
当然、アイドルは続けることはできず、メディアには休養宣言をしたが、そのまま引退となってしまった。
元アイドルは、駅のプラットフォームの椅子に座っていた。
「なんで、こんな目に‥」
ポロポロと泣いていた。
しばらくたった後、通過列車が音を立ててホームを通り過ぎていった。
翌朝
「次のニュースです、昨日、若い女性が〇〇駅で、通過列車にひかれました、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました、自殺と見られます」
その後、ドリンクは販売禁止になり、製造会社も破産に追い込まれた。
終わり。
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