四次元バッグ?


ある日、仕事帰りに通る商店街の路地裏に小さな雑貨店を見つけた。


こんな所に、いつのまに開店していたんだろうか?と不思議に思いながらも、興味本位で中に入ってみた。


商品棚には、バッグやコンパクトミラー、小箱などが陳列されていた。


へー、いろいろな商品があるなーと店内を一周していると、一つ商品の中で、気になるトートバッグを見つけた。


トートバッグにポップがついていて、そこには、荷物が大量に収納可能です、と書かれていた。


「あの、すみません、このバッグなんですが、こんなに小さいバッグに大量に荷物が収納可能って信じられないのですが?」


店員らしき黒いフードをかぶっている女性に聞いてみた。


「あら、そのバッグに興味を持たれるとはお客さんお目が高いね!」


「このバッグは、特殊なバッグでしてね、そうですね、試しにそこにある電気ストーブを入れてみますね」


そう言うと、一般的な電気ストーブを手にするとバッグに入れようとする。


「バッグよりストーブのが大きいですけど入るんですか?」


「問題ないですよ」


『ボフッ!!』


「ほら!入りました」


「なんか変な音がしたけど‥」


「それは、仕様ですよ、バッグから物を取り出す時は、電気ストーブちょうだい!と言ってバックに手を入れれば‥」


『ボフッ!』


「ご覧の通り、電気ストーブが取り出せますわ!」


「おー、すご〜い!」


たしかに、便利そうだ。


「そうでしょ?今なら開店セールで500円、いかがしら?」


「うーん、なんか怪しい音がするけど値段が500円だし、買うか!」


「では、買います!」


「ありがとうございます!、それからこのバッグには、取扱説明書がありますから読んでから使ってくださいね」


「取扱説明書がついているんですか?そのバッグ!」


「お気になさらず!ちゃんと理解していただければ、便利なバッグですから」


「はい、わかりました」


雑貨店後にして、自宅のアパートに帰る。


「ただいまー」


「お帰りなさーい」


私が、朝とは違う紙袋を持っていたからか、妻が、


「なに買ってきたの?」と聞いてきた。


「そこの商店街にさ、いつの間にか雑貨店ができていてね、そこで買ったんだ」


「新しくできた雑貨店?いつも買い物に商店街行くけど、そんな店あったかしら?」


「路地裏の所だから気がつかなかったんじゃないか?」


「そうかなー?」


そういや、説明書を読んでから使ってくださいと言われていたな。


バッグの説明書を紙袋から取り出してみる。


「えっと、なになに‥」


バッグから物を取り出す時は、決してバッグの中を覗かないでください。


この一言しか書いていなかった。


「このバッグすごい機能がついているみたいで、なんでも収納可能なんだって!」


「うそー、そんなバッグあるわけないじゃん!」


「それがね、実際あるんだよ」


「店の中で店員が電気ストーブを入れていたし、そうだ!通勤に便利だから、こないだ買って折り畳み自転車を入れてみよう!」


「そんなでかい物入るわけないじゃん!」


妻が疑いの目を向けてくる。


「試しに入れてみるよ」


折り畳み自転車を持ってきてバッグに入れようとする。


『ボフッ!!』


「ほら、入った!」


「すごーーい!、中どうなってんの?」


バッグの中をのぞこうとする妻。


「バカッ!のぞいたらダメッて説明書に‥」


と言う前に、妻がバッグの中に入ってしまった。


『バキッ、バキッ!!』


何やらえげつない音が聞こえたような‥



大変だ!えっと、取り出す時は手を入れて、名前を呼べばよかったんだよな。


私は急いで、妻の名前を呼んだ!


すると、手に何か感触を感じた。


よかった!無事か!と思って、その何かを取り出してみた。


なんと!手にしていたのは、【頭蓋骨】だったのだ!!!


「ギャーーーーー!!!」


私の叫び声が近所中に鳴り響いた。




終わり。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る