第11話

次はヨーロッパで起こった出来事です

これは四年間続いた戦争で、戦争とともに一世代の命が失われました。通常の戦争では何百万人もの死者が出ていますが、行方不明者はまだカウントされていません。

この戦争の中で、医者は1つの否定的な語になって、これらの平日の命を救う白衣の天使はこの時凡人にとって最も残酷な作戦兵器を発明しました:毒ガス。これが発明されて以来、人類の戦争はある意味「天にまかせて食う」暗黒中世に戻ってしまったのです。殺傷力は絶大でしたが、風向きに頼りすぎた結果、戦闘のたびに兵士たちは、神が味方してくれるようにと祈るようになったのです。当時の田舎の言い伝えによると、一部の迷信深い将校は従軍牧師を雇うようになりました。これは古い職業で、従軍牧師が盛んだった時代、ヨーロッパ人の計量は王様の足の長さを基準にしていました。

この戦いで、馬の刀を持った騎兵は歴史の表舞台から完全に追放されました。彼らを駆逐したのは重機関銃という武器でした。戦争の残酷さなど気にしたことのない美しいお坊ちゃんたちですが、何しろ毎日のように舞踏会で「作戦の相談」をしているような人たちが、個人の能力で戦場からめそめそしないで帰ってくるのは無理です。

そして重機関銃の銃手は、自分たちがその将校の息子なのか、女性卿の愛人なのか、まったく知りませんでした。

この戦争は敗戦したグレーメに何億クローナもの賠償金をもたらし、その全額を支払わなければなりませんでした。無数の人が一夜にして何も残らなくなり、無数の人が職を失い、無数の人が貧困に陥り、無数の人が一夜にして家を失います。国内は動揺し、政府は危うくなります……

いずれも合理的な範囲内のことには違いありませんが、合理的である以上、不合理なこともある……たとえばこの戦争が終わって、タルアン半島のどこかの宗教国家が、とたんに人間の聖地になってしまったのは、何世紀も前のことですが、化学や物理学は異端と見なされていました。

ロレンスは教会のベンチに座って、これまで見てきたことを何度も何度も思い出しました。教壇の上で牧師が説教をしていたのですが、たまたま彼が最も多く耳にしたのは、戦場に降り立った「神」の噂でした。これは軍が研究していた秘密兵器だとか、毒ガスを吸い込みすぎた幻だとか、軍が研究していた覚せい剤で兵士の神経系が狂ったとか、いろいろな説がありますが……

この噂の真偽については諸説ありますが、ロレンスはそこから重要な共通点を抽出しました。まぶしい光と強烈な熱です。最も重要なのは、空に現れた人型です。ロレンスは、彼自身の一連の経歴と相まって、一連の異常事態の背後には必ず誰かが何かをしていたと断定します。彼らがやっていることは危険極まりないことです

牧師の説教が終わりに近づき、ロレンスは目を開けました。彼は壁にかかっている大きな木製の十字架を見ました。そのうしろに紋章の描かれた盾の形の旗がありました。旗の図案は一本の燭台ですが、普通の燭台と違って、この燭台は三本に分かれています。通常の燭台は六本に分かれています。牧師はロレンスに会釈をして誘いましたが、ロレンスはその意味を理解してまた目を閉じて休みました。そんなことをしているうちに、さらに三十分ほどして、最後に、教会にアーメンの歌が響いたところで、礼拝は終わりました。人々は教会の外に出始めました

「主任牧師からお手紙があります」ロレンスが口を開くより先に牧師が言った。「説教の旅に参加してほしいとのことです。詳しくはご自分でご覧ください」彼は自分の聖書を片付け、「これ以上、お邪魔しません」

牧師は手紙を教壇に残し、がらんとした教会にはロレンス一人が取り残されました。一羽の青い蝶が彼のそばを通り過ぎて、窓の外の冷たい冬の陽射しの中に音もなく消えていきました。

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