第3話 義妹のおっぱいを揉むとか。
なんだろうこの状況。
北嶋瑠樺の引越し初日に、まさかのおっぱいイベントが発生した。
まぁ、触れと言うなら、触っても……と、思ったが、何か裏があるのか?
僕を陥れる罠の可能性も否定出来ない。
コイツには前科があるからな!
もし、僕が北嶋の胸を触ったとしよう。
その瞬間、大声で悲鳴をあげて、僕に襲われたとか言うのかもしれない。
いや、それは無いか。
北嶋の母と僕の父の再婚に関してはコイツにとってメリットがあるからだ。
だとすると、おっぱいを触らせた見返りは? 例えば……。
あれだろ。
北嶋め……僕に惚れたな?
それしかないな。
いやいやいや! それはないだろ!コイツに限って! てか、惚れる要素ないし! ただ、あれだ。
コイツはバカだから、僕に胸でも触らせておけば、僕の理不尽な要求を無いものに出来ると思ってるのかもしれない。
その手には乗らない。
だが、せっかくなので胸は触っておこう。
「どうしたの? 触んないの? この体勢つらいんだけど早くしてくんない? 触らてあげるんだから! ただし、興奮したら負けね」
北嶋が手を上げながら、少し恥ずかしそうに、でも勝ち誇った顔で言ってくる。
「負けたらどうなるのそれ?」
「今日一日、勝った方の言う事聞くの。 いいでしょ?」
「そうか……だったら僕が勝ったら、僕の事は、お兄ちゃんって呼ばせるからな!」
「は?」
「お兄ちゃんだ。わかったな!」
「いや、え? ちょっと待って! 本気で言ってる? キモすぎで草」
「勝ち負けはどうやって決めるんだよ。 興奮したらって曖昧だろうよ」
「そんなの……は、反応したらに決まってるじゃない……アンタの、アレがさ……」
「た、勃ったらって事?」
「そうだよ! 勃起したら負けね。 ま、直ぐに勃起するに決まってるけど笑笑」
勃起連呼すんなよ……ビッチめ!
「お前はどうなっら負けなんだよ?」
「ぬ、濡れたら……負けでいいよ……」
顔を赤くして俯きながら北嶋が言った。
その顔はヤバい。
不覚にも可愛いと思ってしまった。ズルいぞ!
そんな顔されたら、触る前に負ける!
顔は見ない。ならばこの手しかない。
僕は北嶋の後ろに回り込み、抱きしめるようにして、両胸に触れた。
Tシャツの上からでも分かる、自己主張の強い二つの膨らみから、北嶋の熱を感じた。
人生で初めてのハグの相手が北嶋になるとは、人生何があるか分からない。
その上、初めての女子のおっぱいが、嫌いなクラスメイトの北嶋なのが、素直には喜べないが、顔も見えないし忘れよう。
「はぅ……」
身体を背後から密着させていると、北嶋の体温を身体全体に感じる。
それと同時に、北嶋の体臭かシャンプーか、ほんのり甘い香りが鼻孔をくすぐり、なんだか頭がクラクラしてくる。
下腹部に衣服越しでも分かる北嶋の柔らかなヒップと太腿の感触。
女の子ってなんて柔らかいのだろうと感慨にふける。
ただ重なり合っているだけの様な体勢で不思議と心臓がうるさく高鳴る。
この心臓の音を、北嶋にも聞かれているのだと思うと、なんともいえない気持ちになる。
こんなに密着させていても、嫌がる素振りを見せない北嶋。
しかし、僕の左手は確かに北嶋の鼓動を感じとっていた。
ドクンドクン―――。
やがて北嶋の鼓動と僕の鼓動が重なって一つになっていく。
静寂の中で、僕達二人に聞こえて来るのは鼓動だけとなっていた。
すると、北嶋の頭が下がって行き、前かがみの体勢になる。
どっちが先に反応してしまうのかという駆け引きの中で、北嶋の攻勢が始まったのだった。
「うっ……き、北嶋ぁ!……んふぅ!」
「耳元で何ハァハァしちゃってんの? キモいんですけど〜」
北嶋のふんわりとしたヒップが、僕の股間を押してくる。
この状態はまるで……仲良しみたいじゃないか!
その上、いやらしい腰使いで求めて来るような動きを織り交ぜて僕を煽ってくる。
「いやーん♡ もっと突いてぇ♡ なんつって〜あはっ♡」
「くっ……」
急に声色変えて追い打ちの様な口撃。
このままでは確実に僕の僕自身が目覚めるのは時間の問題だ。
ならばやはりこの手しかないか!
僕は北嶋の膨らみから両手を離し、Tシャツの中へと潜り込ませる。
直に触ってやろうというわけだ。
だが、これは諸刃の剣。
流石に直接触れられたら、嫌でも感じるはずだ。
僕の指先が北嶋の胸を覆うブラジャーの隙間から滑り込む。
「ひゃんッ!」
北嶋の口から今まで聞いた事もない、可愛らしい声が漏れた。
僕の手のひらには温かく柔らかい感触と、
突起物の感触が―――。
「―――わ、わたしの……か、勝ちね」
僕は北嶋に負けた。
僕は、Tシャツから両手を引き抜き、北嶋から離れた。
僕の下半身が敗北の証をその姿で表していた。
しかし―――。
「―――判定だ」
「へ?」
北嶋が間の抜けた声で返事をした。
確かに僕は見るからに反応を示してしまった。だが北嶋はどうか?
北嶋だって反応してしまっている可能性がまだ残っている。
「お前だって濡れてんじゃないの?」
「ぬ、濡れてないし! 濡れるわけないし! 負けを認めろよ! へ、変態! 私の勝ちだもん!」
ヤケに慌てる北嶋。これは怪しい。
「ちょっと確認させてよ」
「は?」
僕が後退る北嶋を追うように近付くと、ベッドの上に押し倒し、覆いかぶさった。
「きゃあっ!」
至近距離で向かい合う形になり、お互いの顔が赤くなる。
少し潤んだ瞳と、北嶋の色白の頬が赤みを帯びてる顔に僕は―――魅了された。
性格と素行に問題あるが、間違いなく学校一の美少女と見つめ合っていた。
北嶋瑠樺の小さくて柔らかそうな朱唇に吸い込まれるように顔を近付けると、北嶋はどうしていいか分からないのか、瞳がキョドりまくっていた。
僕の右手が北嶋の腹部に触れ、その手が下へと伸びて行く。すると、
「い、いや……やめてよ……」
か細い声で恥ずかしそうに言った。
僕は手を止めた。
そして、少し迷ったが、北嶋から離れることにした。
何をやってるんだ僕は……。
いくら憎くても、北嶋は女の子だ。
それを知ってしまったばかりだというのに、僕は……。
「ごめん……悪かった……」
少し気まづい空気感の中、僕は北嶋から少し離れた所に正座すると頭を下げた。
今の僕に出来る最大限の謝罪だった。
パシャリ。
「はい、土下座ゲット〜♡」
見ると、乱れた衣服を直しながらスマホをこっちに向けてニヤニヤしている、金髪の悪魔がいた。いや、北嶋瑠樺だ。
「え? は?」
「にひひ♡ これで勝ち確だからね? 分かった?」
「クソが……ッ!」
「じゃあ……何聞いて貰おっかなぁー♡」
「き、北嶋ァ……」
「あ♡ それやめよーよ、家族になったんだし、家の中で苗字呼び合ってるの変くない?」
僕の事をキモオタとしか言ってない奴が、どの口でそんなことを言いやがる? と言い返したかったが、プライドが邪魔をして、その事が言えなかった。
「わ、分かったよ。―――瑠樺」
「じゃあよろしくね。 優斗」
そう言って瑠樺はベッドを下りてトイレの方に歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます