第5話
朝の時計がわりのニュース番組。女子高生から現金二万円を奪った四十代の男が逮捕されたと報じられた。どうせ盗るならもっと何千万とかの方が清々しい。僕だったら二万如きで人生を棒に振りたくない。どうせ捕まるなら八千万とか、一億とか手にしてからの方がいい。たった二万で…って後悔する気がする。
「JKから二万奪うなんて…四十代からしたら二ま…」
「五十代でも二万は大金だからね⁈」
まだ言いかけなんだが。『二万なんて端金、ではないんだろうけども十代から四十代が奪う金額か?自分で稼げよ』って言おうとしてたのに。
「そうやって話の続きを勝手に想像して、勝手に怒りを抱いて、話を遮るの、母の悪い癖だよ。散々他人に話は最後まで聞けって言うくせに」
何も言い返せないのか、黙り込む。そうやって親父も僕も怒らせてきたのに。全く学習しないね。親父に関しては人のこと言えないんだけどさ。
「そうですね。ごめんなさい」
そうやけ気味に返しては出勤の準備を続ける。過ちを、間違いを指摘されて不機嫌になるのは親父そっくりだ。夫婦なんだし、多少は似るか。さて、そんなことは置いといて学校の準備でもしますか。
母が家を出て数分後、自分も家を出る。家の鍵は父に任せ、行ってくるとだけ言って家を出た。
あと一週間もすれば十二月。もうそんな時期だ。昨日はこの冬初めての吹雪だった。一昨日、土曜日の最高気温は十一度。昨日はマイナス一度。この差は一体なんだろうね。ちなみに今日は最高四度、最低マイナス二度。まだコートで出歩ける。というか、ジャンバーを買いに行くのがめんどくさい。こう言って去年もコートで過ごしたんだよ。周りみんな厚着してるのにさ、春秋に着るコートで越冬。一応、雪国。年間降雪率百パーセント。一年のうち、四ヶ月から五ヶ月が冬。必要なものを買わない僕の悪い癖。明日、買いに行ってもいいかな。
ぼーつ 夜桜夕凪 @Yamamoto_yozakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます