第35話 宴の終わり ⑵
「となると悪意も害意もなくとも、ハグマイヤー侯爵やアイゼンシュタット辺境伯は警戒するに越したことはないですね」
っていうか、中立派の高位貴族はなんか変な人ばかりじゃないか。中立派の貴族とは関わり合いにならない方がいいかもしれない。アイゼンシュタット辺境伯、悪意はないらしいけど変な人だったもんな。
ヨゼフィーネ伯爵夫人とベアトリクスも戻って来て夕食を済ませた後、コモンルームでお茶を飲みながら今日のおさらいをした。ヨゼフィーネ伯爵夫人が顎へ指を当てながら頷く。
「アイゼンシュタット様の母君がハグマイヤー侯爵家から嫁いでおられるはずですわ。アイゼンシュタット様とメスナー伯爵夫人は従兄妹ですわね。今日もサロンでご一緒いたしましたのよ」
「でもアイゼンシュタット様のご令嬢のマルグレート様は、メスナー伯爵とはあまり交流がないとおっしゃっていましたわ」
ああ、ぼくに婿に来いって言ってた娘さんか。娘さんも変わった子なんだろうか。ちょっと怖い。
「メグが言うには、メスナー伯爵がアイゼンシュタット様を避けているようだ、と……」
分かる。ちょっと予測不能な人だもんなぁ。意図して狂人を演じている感じがする。何を考えているのかが分からないから、こちらからの接触は避けたい。
「なんでだろうな、ルーヘン様すっげぇおもしろいのにみんな何でか避けてるんだよなぁ。オレは好きだけど」
ローデリヒがそれだけ言うと、ソーセージをパイ生地で挟んだホットドッグ風パイを貪った。甘いものが好きではない様子のイェレミーアス用に作ったのに、もう三つめだ。
「ベアトリクス様、アイゼンシュタット令嬢と仲がよろしいのですか?」
「ええ、辺境伯家で令嬢は、わたくしと、メグと、テスしかいませんの」
「テス?」
「テレージア・ヴァルター伯爵令嬢ですわ」
ああ、ライオンみたいな赤毛のヴァルター伯か。人の良さそうな武人を思い出す。何となく、娘を溺愛していそうだ。
「ハグマイヤーおじさんとこの奥さんは、とーちゃんの妹だよ。ハグマイヤーおじさんが惚れて、婚約者が決まってたのにどうしてもって日参したんだって。おばちゃんを嫁にするためにとーちゃんと決闘したって言ってた。負けちゃったけど、それでも諦めずに再戦しようとしたからおばちゃんが根負けしたって言ってた」
思い出した、という素振りでローデリヒが言う。バリバリ良家の令息なんだよ、ローデリヒはね。こういう時思い知るけど。ただいかんせん、本人の態度がいけない。ぼくにとっては親しみやすいんだけども。
「つまり、ハグマイヤー侯爵夫人とエステン公爵はご兄妹で、ハグマイヤー侯爵の妹がメスナー伯爵夫人で、ハグマイヤー侯爵とメスナー伯爵夫人は兄妹で、アイゼンシュタット様とハグマイヤー侯爵とメスナー伯爵夫人は従兄妹、と」
「訳わかんね。アス、分かる?」
「……とりあえず、リヒは黙って最後まで聞いてなよ」
イェレミーアスはローデリヒに容赦がない。まぁ、親友だからこその気安さなのだろう。多分。
「重ねてお尋ねしますが、ミレッカー宮中伯の夫人の生家はどちらですか?」
「メッテルニヒ伯爵の、お姉さまだったはずですわ」
「ロンの伯母さんってわけだ」
「つまりメッテルニヒ令息とバルタザールは従兄弟、ということですね」
「ロンのかーちゃんは子爵の令嬢だったって言ってたぞ」
「もうそこまで行くと辿るのが大変だ……」
紅茶を飲んで、ふう、とため息を吐く。
「今のところミレッカー宮中伯かシェルケ辺境伯、そこがどうやってハンスイェルクと繋がったのかが知りたいですね……」
「あら、だってハンスイェルクの婿入り先であるヘーゲン子爵夫人とシェルケ伯爵夫人はメルヒャー子爵家の姉妹ですもの。シェルケ辺境伯の娘と、ヘーゲン子爵の娘は従姉妹ですわ」
「シェルケ辺境伯の妻と、ハンスイェルクの妻は姉妹、ということですか」
「ええ。メルヒャー子爵姉妹は頻繁にお互い行き来するほどで、その娘たちもとても仲が良かったはずですわ」
「待ってください、でも現シェルケ辺境伯も入り婿なんですよね?」
「ええ。前シェルケ辺境伯令嬢だったエステール様は、お体が弱く結婚して三年ほどで亡くなったのです。お子にも恵まれず、メルヒャー子爵令嬢を後妻として迎えることになったのですわ……」
「前シェルケ辺境伯は?」
「確か、エステール様のご結婚を見届けてお亡くなりになられたと記憶しておりますわ」
「……」
疑ったらきりがないが、何となくその一連の死も怪しく思えてしまう。
ローデリヒがなるほど分からん、という顔でパイを口へ放り込んだ。イェレミーアスは頭の中で家系図でも書いているのか、目を閉じて静かにしている。
「つまりハンスイェルクの妻とシェルケ辺境伯の妻は姉妹で、シェルケ辺境伯とミレッカー宮中伯は従兄弟……」
「ミレッカー宮中伯は正直、誰もが付き合いを避けておりますけど、唯一付き合いが固いのがシェルケ辺境伯だったと思いますわ」
ああ、やっと繋がった。しんどかった。ぼくも理解に時間がかかったのだ。ローデリヒなど完全に思考を放棄した顔でこちらを見ている。ぼくかイェレミーアスが説明するのを待っている顔だ。ローデリヒは十歳で、ぼくより歳上なのになぜ君がぼくからの説明を待ってるんだ……。そしてこれ以上どう簡略化して説明しろというのだ。
「つまりですね、リヒ様。シェルケ辺境伯とハンスイェルク、シェルケ辺境伯とミレッカー宮中伯が、知り合いなのです。だからシェルケ辺境伯を通じて、ハンスイェルクとミレッカーが知り合った可能性が高い」
「……ほへぇ~」
絶対分かってないだろ。ローデリヒの何も考えていない顔を見たら腹が立って来た。そんなぼくの気持ちなど知らず、ローデリヒはフレートに尋ねる。
「なぁ、フレート。今日の夕飯、何?」
「メインはロールキャベツのデミグラスソース仕立てと白身魚のアヒージョからお選びいただけます」
「やったぁ! オレ両方食うから!」
ローデリヒはすっかり餌付け完了で、ほぼ毎日ぼくの家でご飯を食べている。気を取り直して、イェレミーアスとヨゼフィーネ伯爵夫人へ顔を向けた。
「イェレ様、ヨゼフィーネ伯爵夫人。シェルケ辺境伯だけ、薬学士の派遣が優遇されているとかそんな話をお父上から聞いたことがありませんか」
「……!」
「……!」
「あります!」
「ございましたわ!」
二人は同時に、同じ顔で同じタイミングで叫んだ。ローデリヒが驚いて軽く飛び上がったほどである。
「シェルケとアイゼンシュタットだけ、薬学士の派遣が早くて。でも、皇都から近いからだとか要請が早かったからだとか、色々理由を付けて公平に派遣しているとミレッカー宮中伯には聞き入れてもらえなかったと父上が何度も愚痴を言っていました……」
「その通りですわ」
「……アイゼンシュタット……アイゼンシュタット辺境伯の領地には、元フリュクレフ王国があったヴィカンデル連峰が含まれていますよね……、イェレ様」
「今は西のウォズロニシュとの国境ですね」
イェレミーアスの返事を聞きながら考える。元フリュクレフ王国の国土を抱える辺境伯、アイゼンシュタット。シェルケ辺境伯は間違いなく、クロ確定だろう。しかしアイゼンシュタット辺境伯はどうだろう。分からない。疑問が臓腑に落ちても、消化されなくて重たく圧迫している。ぼくは覚えず、胃の辺りを押さえた。
ノックに答えると、フレートがトレイを持って入って来た。
「スヴァンテ様、お手紙が届きましたがいかがいたしましょうか」
「どなたからですか?」
「……アイゼンシュタット辺境伯様からのようです」
「……」
何というタイミングだろう。疑惑が拭えぬ人物からの手紙とは。しかも先ほど、初めて顔を合わせたばかりだ。アイゼンシュタットは早くに宴を辞したようだった。つまりはあの後、すぐに手紙を書いたということだろう。ぼくには知り合いが少ない。だからぼくがここへ居を構えたことを知る人も少ない、はずだ。
しかしアイゼンシュタットは宴を辞してすぐ、この屋敷へ手紙を届けてみせた。それができる情報を持ち合わせているということだ。実に油断ならない。敵であれば脅威に、味方であれば頼もしい存在になるだろう。
トレイの上には手紙と、ペーパーナイフが載っている。ぼくはペーパーナイフと手紙を取った。中身を開いて便せんを広げる。そこには大胆かつ流麗な文字で、短くこうしたためられていた。
「遊びにおいで、妖精さん。明日から毎日、そちらへ馬車を送ろう。都合のいい時に乗っておいで。ルーヘン・アイゼンシュタット」
深く深く、息を吐き出す。ぼくへ眼差しを向けるみんなの前へ、手紙を広げて見せる。ローデリヒだけが、明るく笑い声を上げた。
「ルーヘン様らしいな。気に入られたぞ、スヴェン。こうなったらルーヘン様はお前が来るまで本当に毎日馬車を送って来るぜ?」
ローデリヒが軽く便せんを指で弾いた。イェレミーアスは便せんを封筒へしまって、フレートの捧げ持つトレイへ戻した。フレートへ頷いて見せると、トレイを持ったまま部屋を出て行く。
「……悪意はないんだ。行くしかないだろうなぁ……」
隣に座ったイェレミーアスの手へ、無意識に手を重ねてしまったようだ。ぼくの手を握りしめて、イェレミーアスが微笑む。
「私もご一緒します、スヴァンテ様」
ま、ま、眩しいぃぃぃ。美少年な上に優しいとか、イェレミーアスは前世でどんな善行を積んだのだろう。人間の徳が違う。よしよし、お兄ちゃんが絶対に守ってあげるからね!
「ありがとうございます、イェレ様」
「それなら、わたくしもご一緒しますわ。アイゼンシュタット様のご令嬢、マルグレート様とは親しくさせていただいておりますもの。お力になれることがあるかもしれませんわ」
この兄妹は察しが良くてありがたい。アイゼンシュタットの思惑が分からないこの誘いに、向こうの人間を知る同行者が居ると居ないとでは大違いだ。
「それにわたくし、メグに妖精さんを紹介すると約束してしまったのです、ごめんなさい。スヴァンテ様」
ベアトリクスはぼくへ向かって拝むように両手を合わせ、上目遣いをした。
妖精さん? 妖精さんたちのうちの一人を連れていけばいいんだろうか。でもきっとぼくが行くところには勝手に付いてくるから、別に謝らなくていいのに。返事に困っていたら繋いだぼくの手を軽く揺らして、イェレミーアスが苦笑いをした。
「トリクシィは、マルグレート令嬢にスヴァンテ様を紹介すると約束してしまったようです」
「?! あ、ああ~……。宴でシュレーデルハイゲン様やアイゼンシュタット様に呼ばれたのが、他の方にも伝わってしまったのですね……」
「いいえ。ジークフリード殿下が『妖精のように麗しい見目で、父上に苦い顔をさせるほどの知恵者だ』と自慢しておられたので皆様に知れ渡っておりますわ。しばらくはお茶会のお誘いが続くと思いますわよ? スヴァンテ様」
ヨゼフィーネ伯爵夫人が、薔薇の砂糖漬けを優美に摘みながら答える。
ちょっと、人がいない間に何してくれてんのジークフリードぉぉぉ!
「随分と強調していたからねぇ。『オレの侍従だ。将来オレの片腕になるだろう』って」
チーズスティックパイを貪っていたルクレーシャスさんが口を挟んだ。口の周りをパイのカスだらけにしていても、今日もぼくの師匠は麗しい。
だがぼくは、ルクレーシャスさんからそっとチーズスティックパイを取り上げ、イェレミーアスの前へ置いた。イェレミーアスもこれはお気に入りなのだ。ルクレーシャスさんに食べ尽くされるわけにはいかない。ぼくがイェレミーアスの前へ移動したチーズスティックパイの皿へ、手を伸ばしたルクレーシャスさんの手を叩き落す。
ぼくが容赦なくルクレーシャスさんの手を叩き落した瞬間、イェレミーアスが「んふっ」と漏らして肩を揺らしていた。ルクレーシャスさんは「酷いよっ!」とか「わたくしの扱いが雑じゃないかい、スヴァンくん!」とか言っていたが目を向けずに答えた。
「ジーク様は大げさなんです。そんなに吹聴して回られてもぼくは普通の六歳児ですし、すごく頭が良いわけではないので困ります……」
「ははっ! あのなスヴェン。普通の六歳児は自分のこと、普通の六歳児だなんて言わねぇんだぜ」
自分の膝を叩いて笑ったローデリヒに、一同が深く頷く。ああっ! ヨゼフィーネ伯爵夫人やベアトリクス、イェレミーアスまで頷くなんて!
「けれどスヴァンテ様。事前の打診もなく、いきなり招待状を送ってくるような不躾な方のお相手をする必要はございませんわ。それは社交界ではルール違反。スヴァンテ様が幼子だからと侮っている者の証です。ですのでしばらくは、わたくしとエステン公爵夫人が場を設けるお茶会にのみご参加くださいませ」
そうすることによるメリットはぼくにも、そしてヨゼフィーネ伯爵夫人やエステン公爵夫人にもある。ぼくに関することを、公爵家夫人とヨゼフィーネ伯爵夫人が取り仕切る。それは社交界で、ある流れを完全に二人で仕切ってしまうということ。この手札は堅い。
つまり懇意の貴族のお茶会に参加し、そこで知り合った人物に事前に「お誘い」の打診をする。そこでよい返事をもらえたら、正式に招待状を送るというのが失礼のない作法ということらしい。あとは貴族としての作法を親から学べないぼくからすれば、単純に自分がホストのパーティーをどのように準備するか、フレートたちに知ってもらうことができるのは大きい。
「分りました。よろしくお願いします、ヨゼフィーネ様。フレート、委細よろしくね。ヨゼフィーネ様も、必要なものは何なりとフレートへ申し付けください」
「スヴァンテ様の社交界デビューを、しかとお支えいたしますわね」
「ありがとうございます」
ヨゼフィーネ伯爵夫人がいなかったら、ぼくは誰の誘いに応じていいのかしばらく悩んで無駄な時間をかなり消費することになっていただろう。悩んだ末に参加したお茶会が好奇心から送ってみた、ぼくが来るとは思っていなかった誘いなのだと知ったら大分精神的に削られていたはずだ。ぼくからしてもこの出会いは行幸であったと言えるだろう。
「ヨゼフィーネ様にマナーの講師をお願いしてよかった」
「あら。わたくしも妖精さんのマナー講師ができるだなんて光栄ですわ」
「もう。妖精はやめてください……」
男に対する賞賛の言葉としてはおかしいからね。妖精って。どうなのよ。あ、あれか。ぼくが細くてちっこいからか。そうなのか。さすがに手のひらサイズではないぞ、酷くないか。
「そうだ、かーちゃんが近々会いたいって言ってたぜ、スヴェン」
「あ、それはエステン公爵と夫人、どちらも都合が良い日にご招待しますので、良い日をお教えくださいとお伝え願えますか、リヒ様」
「ん。もうさ、かーちゃんがスヴェンに会いたい会いたいってしつこいから、早く連れて来るよ」
「今日のサロンでもスヴァンテ様の話題で持ち切りでしたのよ。麗しの妖精王子と」
ようせいひめ……。そこはさぁ、王子じゃないの? なんで姫? ぼくは微妙な表情をしてしまったのだろう。イェレミーアスが微かに困ったように笑い、ぼくの手を揺らす。
「自覚がないのも、罪なものですね」
「? イェレ様は、とても美形でいらっしゃいますよ。ご自覚ございますか?」
「……私のことを北東のピンクサファイヤと呼ぶ方がいらっしゃることは、存じておりますよ。スヴァンテ様」
あ゛――っ! はにかんで僅かに顔を俯け、甘く笑みを浮かべたイェレミーアスのイケナイ色気にぼくも照れてしまう。ピンクブロンドに優しく穏やかで柔らかに整った顔立ち。まさに誠実、慈愛、正義を表す宝石に相応しい美貌っ! おまけに永遠の愛を象徴する宝石だというから、その二つ名を付けたご令嬢方はそりゃもううっとりしながらそう呼んだに違いない。
自覚がある。自覚があるんだ、この美少年っ。なんてことだ、この魔性っ。でも優しくて穏やかで落ち着くから好きっ!
「ですから皆がスヴァンテ様のことを、『夏の終わりに現れた春と花の妖精』とお呼びになるのも無理からぬことです。スヴァンテ様は大変に可憐でいらっしゃいますから」
「……それは妖精たちがお外に出られることを喜んで、花をまき散らしたせいでぼくの容姿が優れているからではないと思うのですが……」
しかも登場と共に花が舞い散るって少女漫画じゃ古典的な手法だけど、現実に起ったらホラーだしイタイ子だよね。恥ずかしいからそこはもう、イジらないでほしいと切に願う。これ黒歴史生産中だ今ぼく。恥ずかしいぃぃぃぃ。
両手で頬を覆い、目を閉じて悶絶する。
「だから言ったでしょ、イェレミーくん。言っても無駄です。自覚がないのですから」
「まぁ、毎朝自分の顔見てたらそれが基準になるよな。それにさ、スヴェンの周り見てみろよ。使用人もみんな美形だけじゃん。そりゃ美醜の判定が厳しくなるぜ」
フレートやベッテたちが美形なのは完全同意だがぼくは凡顔だよッ! 誰よりぼくが一番理解してるに決まってるだろ! 失礼だなっ!
それにそう放ったローデリヒだって、まだ幼いが黙っていれば貴公子然とした美貌の持ち主である。……確かにうち、美形ばかり集まっているな。眼福。
「……とにかく、明日アイゼンシュタット伯の馬車が来たら、ぼくとイェレ様とベアトリクス様で出向くということでよろしいでしょうか」
「ええ。お願いいたしますわ、スヴァンテ様」
「私はどこへでも、お供いたしますよ。スヴァンテ様」
「オレも一緒に行ってやるよ、スヴェン。だから昼飯はここで食ってっていいか?」
身を乗り出し、手を上げたローデリヒが元気に言い放つ。君、お昼ご飯が目当てだろう……? 呆れた眼差しを隠しもせず、ローデリヒへ問いかけた。
「リヒ様に、重要な質問があります」
「うん?」
「アイゼンシュタット様は、甘いものがお好きでしょうか」
ローデリヒは度々する、残念な子を見る目でぼくへ答えた。
「それそんなに重要か……?」
「大事ですよ。完全に胃袋を掴まれてほぼ毎日うちでご飯食べてるリヒ様がそれ、言いますか?」
「んっふ!」
珍しくイェレミーアスが、堪えきれない様子で体を揺らして笑った。
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