第4話:こんばんは…僕
「全く……彼女には困ったものです。ねぇ……
「ふふ……あの子は自由にしている方がいいのよ?」
「ですが!」
「こら、これ以上は駄目。お兄さんに聞こえちゃうから」
その話し声を聞き、振り向く。その声には聞き覚えがあったからだ。
「こんばんは……僕」
その言い回しは先程の女性と同じだった。そして、公園にいた少女は楽しそうな顔をして俺を見る。
「ふふ……神々龍太君。君に1つ言わないとならないことがある」
そう微笑む少女は、少女というよりも幼い見た目をした女性と言った方が良いと感じた。そして、なぜ彼女は俺の名前を知っているのだろうか?
「私は君の家を代々見守ってきた者なんだけどね? 君の体質は歴代よりも強いらしい。ということで、君を預かることになったのだが〜よろしいかな?」
そんなふうに聞く彼女の言葉が一切理解できなかったのは俺だけじゃないはずだ。正直、急展開すぎる! そして、俺の心の準備がまだだ。
「それは、どういうことだ? それに、体質って……。」
俺は神々家代々に伝わるという体質を知らない。その為、その事がとても気になった。
「人でないものの世界……私は
「それが、神々家代々の体質とでも言うのか?」
そう俺が質問すると彼女は嬉しそうに俺の方を見て。
「その通り! 本来、人は
───ドゴッッッン!
そう少女が言おうとした途端。大きな爆音と共に餓者髑髏は倒れた。それに伴い、行進していた骸骨や腐敗死体も倒れていく。その光景は地獄と言ってもいいだろう。
そして、その中からあの女性が出てきた。何やら黒っぽい液体が顔に付いている。それを見た俺は安堵感と恐怖を同時に感じた。俺と変わらないであろう女性は簡単にあの化け物達を殺したのだ。そんな俺のことなど知らず、彼女は後ろの少女に話しかける。
「姫〜この死体どうしましょうか?」
「ん〜いつもの101番に電話するしかないでしょうね。」
「えぇ〜安倍くんに連絡ですか〜」
「うん。なにか駄目だった?」
「いえ……彼、愚痴愚痴うるさいので……。」
「そりゃ……いつも面倒事を彼にあげるからよ。」
そんなふうに話す彼女達は親子や姉妹のような既視感があった。そして、昼間ファンタズマと呼ばれていた男がこちらを見る。
「この青年はどうするんですか?」
「ん? 勿論、私の保護下だよ? 当たり前じゃない……代々そうして来たんだから〜」
俺は彼女の発言に疑問を持った。
「代々?」
「ふふ……。まぁ、説明等をしたいから、1回屋敷に戻りましょうか♪」
「えぇ!? コイツらは!?」
この化け物がもし動きだしたり、他の人にでも見られたら大変なことだ。まぁ……見られることはあまりないが。
「それは、安倍くんに頼むのよ♪リーリヤ。ここに残ってて」
「はーい」
リーリヤと呼ばれたのはさきほどの女性だった。見た目と2人の関係がアヤフヤなのが少しバグってしまう。
そんな事を思っていると、少女は不敵な笑みをしながら俺を見る。
「気をつけてね」
───パチン
その一言で俺の見ている世界は一瞬に変わった。
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