『祝福を!』で終わるあの小説のスティールっていうのを一回使ってみたい。

シチューうどん風呂~あぁ~^

おっと、こほんこほん。さて、俺は多分死んだ。きっとそういうことだ。理由としては簡単だ。思い返してみれば、登校中、急に砂漠か何処かよく分からない場所に来たと思ったら、覚えてないうちにこんな訳の分からない空間にいる。流石に分かる。

確かに、確かにだ。砂漠っぽいところに着いた時はそりゃあもう驚いて何も行動出来なかった。しかし、あの時点ではまだ生きてたってことくらい誰にでも分かるだろう。

なんせ自転車にまたがったまま数分はぼーっとしていたが、その後は意識を取り戻して、周りを警戒しつつ、何かしらの手掛かりや居場所を突き止めようとして、自転車を走らせていた。

あの漕いでいた感覚は、それこそ自転車以外の何物でもないものが気がした。

それに、あの自転車はまだ買ってもらってから数ヶ月しか経っていないのにも関わらず、タイヤがずれて自転車屋さんに修理をお願いしに行ったり、サドルがいきなり大破して自転車屋さ(以下略

等々、ちょっとした珍事件を共にした自転車である為、あの自転車には思い入れがある。だからこそ、あの感覚を忘れることはない自身があると言える。

その時、俺に電流走る。


でも死んだんだとしたらあの自転車壊れちゃってね…?


背中の肩甲骨を伝って冷えた水の雫が滴る。と同時に、背筋に氷を入れられて、ひっ冷たっとびっくりする様な、あの冷たさを、背後から目一杯感じられた。陽がカンカン照りの暑い夏に、冷たい水が入ったペットボトルやガラスのコップを用意して欲しい。放置しておくと、コップの外側に水滴が付くはずである。

もしくは、外出した時にひゅうっと音を立てながら、目にも止まらぬ速さで駆け抜ける、凍てつく様な寒さの日を見計らって、部屋に暖房のスイッチを押して欲しい。すると温かくなる。部屋が温かくなって来たと感じたら、すかさず窓を見て欲しい。

するとどうだろう、窓ガラスには水滴が付いている。

この両者は、内側と外側の温度差によって発生することだ。

コップの中、つまり内側には『水』という『冷たい』物質が入っている。その外側は、先程言った通り暑い。要するに、『温かい』のである。

窓ガラスも同じように言える。外側は凍てつく様な寒さ、要するに『冷たい』。部屋の中は『温かい』。

ここから分かる通り、温度差が激しいと何かしらの変化が起こる。今回の状況では水滴が出来た。

世の中不思議だと、改めて思う。


「あのっ!」

少し震えた声で呼びかけられた。どうやら、自分の世界に入り込みすぎていた為、俺の耳まで伝わっておらず、勇気を振り絞って大きな声で呼んでくれたらしい。考察でしかないが、多分そうだろう。

こちらも十分人見知りで、かつコミュ障という最悪のコンビネーションを獲得したしているので、自分から聞くのも少しばかり不安だが、

あ、えーっとすいません。なんでしょうか…?

「あっえと、その、」

想像以上にキョドキョドしてらっしゃる。なんかホント、すいません。

突如として、ガタッという音が空間上に鳴り響く。

はぁっ…はぁっ…という、呼吸困難になった時もしくは喉に何かしらのものが詰まってしまい、息が出来なかった状況を打破した後にする呼吸のような音が、微かに耳に入ってきた。


正直いうと俺は、滅茶苦茶キョドキョドしていた。心の底から湧き出たこの申し訳なさといい、そこまで無理をしなくても、という果てしない心配が同時に襲ってきた為の産物である。

彼女はついに決心を固めたようで、クソデカ椅子を回転させ始めた。

一度、また一度ずつ、一生懸命に回転をさせる。はぁはぁと荒い息を立て、床と椅子との間から鳴り響く、そのずる音が、彼女の努力を示す。


言っちゃ悪いが長くなりそう____。

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