第2話

ボーッ

船の汽笛の音で我に返った。間違いない。ここは船の上なのだ。しかし、一体なぜ僕がこんなところにいるのだろうか。僕は船に乗る予定などなかったはずだ。まして自分で乗った記憶など微塵もない。携帯も何度か試してみたものの、やはり繋がらない。僕は混乱したまま、ひとまず部屋に戻ることにした。

 部屋についてとりあえず今の状況を整理しようとしたが、情報があまりにも少なすぎる。いつ、どうして、僕がここにいるのかが全くわからないのだ。最後の記憶は...だめだ。思い出せない。薄く靄がかかったような気持ちの悪い感じがした。

 ふと僕はあることに気づいた。さっき、甲板に出た時、そして部屋に戻る時に誰にも会っていないのだ。僕は急に不安になった。この船には誰もいないのだろうか。いや、そんなはずはない。船が動いている以上、操縦者はいるはずだ。

 僕は恐る恐る、部屋の外を覗いた。やはり誰もいない。すると突然、頭上から声が聞こえた。

「皆さん、ロビーに集まってください。さもないと、  殺します。」

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船の声 non @Kanon20051001

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