第14話 物語の始まり その①
「ありがとな…2人とも…」
「ユキ…」
「アキラの事…頼んだわ!…」
花火の途中
俺の口から自然と出た言葉…
「おいおい!何言ってんだよトモキ?」
「マジで今日のお前おかしいって!!」
「…なんか雰囲気違うっつーか…」
「これで最後…みたいな感じの言い方やめろよな!」
「来年も…3人で来るんだろ!?」
「………うん、そうだよ…来年も…」
「私と…アキラと、トモキで見るんだよ…」
ユキ…お前があの時、未来から来たことを話してくれなかったら…
俺はこの景色を見れなかった…
「あぁ…もちろんだ…」
「来年も3人で必ず見よう…」
これでアキラが心臓麻痺を起こせば
俺にはもう、なす術はない…
自分でも感じる…
もう戻る命もないことを…
あとはユキに託すしかないか……
午後21時30分
夏の花火が終わりを迎え
俺たちは神社の屋根から降りた
「キレイだったね!花火!」
「…おう!」
「今年も3人の思い出ができた…」
「そしていつも通り、神社の階段下で解散!だな」
アキラが最初に階段から降りようとした時
俺は確かに聞いた
『本当にありがとう…トモキ…』
『これでやっと完成する…』
『私達の物語が…』
その瞬間…何者かが俺を追い越して、アキラを階段から突き落とす
一瞬何が起きたのかわからなかったが
とっさにポケットに入れていた赤い時計のスイッチを押した!
時間を止めていられるのは10秒
俺はアキラを突き落とした人物の服をひっぱり、顔を確認する
『…………ユキ……!!!?』
『…じゃない!?……誰だ!!!?』
髪型や服装、身長など
ユキと全く同じ身なりをしているが
顔つきが全然違う!
今アキラを突き落としたのはユキ…?
だけど………
コイツはユキじゃない!
誰なんだコイツは!!!?
なぜアキラを!?
満足げな表情でアキラを突き落とした
俺の知らない不気味な表情の女
残り2秒!
俺は急いでアキラに手を伸ばす
『くっ!!間に合わない!!』
時は動き出す…
「なっ…トモキ!!!?」
「ぐぁああああああああああああああ!!」
「あああああああああああああああああ!」
俺はアキラを抱きかかえ、落下の衝撃を全て引き受けた…
午後21時36分
俺たちの思い出の場所…
石階段は何度も俺の頭と体を殴り続ける…
俺は…
アキラを救うことができたのだろうか?…
痛みだけが、俺の中で暴れている…
そして、その痛みさえも…
遠く…なっていく…
これが…死ぬってことか…
怖いよ…死ぬのは……
……アキラ…
………ユキ……
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