第11話 変なヤツら

「いらっしゃいませー♪」

「あ!やっぱり戻ってきた!」


時間屋の女はいつも同じノリだけど

このテンションには慣れていた


「あの…今から3にも、この店ってこの場所にありますか?」



「ありますよー♪っていうか…」

「……店長!この店いつからありますっけー?」




「……いつからですかね…」

「500年…くらいですか…」



「……え!?」

只者ではないと思っていたが、不思議と冗談を言っているようにも聞こえない


「あんた達は…何者なんだ?」

「そもそも、この店はいったい…」

「もう…教えてくれてもいいだろ?」




「……そう、ですね…」

「あなたとは


フードの男が自分たちの事を話すのは初めてだ…



俺も、この2人も感じているのか…


次の逆行が、だぶん最後になるって…





「時計の製造方法は秘密ですが…」

「私たちは昔から、人に時間それを売って」

「購入者の時間いのちを頂いております」


「そうやって、ずっと生きてきました」




「時計の力で…」


「天下を取った者…」

「戦争で勝った者…」

「ビジネスを成功させた者…」

「色々な人を見てきました…」

「そして、これからも…」


「私たちは…自分たちが何者なのかわからない」


「ずっとここで時間を売り、生きながらえる」


「まるでゲームの中に配置されたキャラクターのように」


『今は、あなたという物語の主人公に時間を操る時計を売るという、ただのキャラクターなのです』






…………







聞かなきゃよかったかも……

話しがぶっ飛び過ぎて本当なのか?と疑ってしまうほど、現実離れしている…


まぁ、ここまで時計を使っておいて

現実離れもクソもないか…




「ありがとう…話してくれて…」

「あんた達の事は正直『変なヤツら』だって今でも思ってるけど…」


「…今は、なんでか…」

「会えてよかった…って少し思ってる…」




「変なヤツらって酷いですよーー!!」

「お客さんも十分変わり者ですー!」

「変なヤツら!の仲間ですー!」


はは…女店員の言うことも

ある意味間違ってないか…








「……では…」







「…あぁ…」

「ケリつけるよ」

「たぶん、アキラを助けるならしかない」

「それに寿命的にも…限界が近いと思う…」

「最初の時から5年以上も戻れば、支払いは50年オーバー…」


「でもいいんだ…」

「アキラが助かればそれで…」







「…そうですか……」


フードの男は俺に一つ時計をくれた


、時間屋に来なくても大丈夫なように


彼なりの気遣いかもしれない



赤い時計…時止めの時計…



「特別仕様です」

「強く握っていれば、過去や未来に持ち込む事ができます」

「もちろんお代は頂きますが、24時間の命で10秒時を止めます」

「格安です…いざという時にお使いを…」







俺は2人に最後の挨拶をして



今から3年前…2013年の8月…

高2の夏へ意識を戻した…














「おーーーい!トモキーー!早くーー!」


「遅せぇーぞトモキ、ダッシュダッシュ!」



懐かしく、若い

俺を呼ぶ2の声の元に


俺は走って向かった











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