第6話 36時間
ホームでの惨劇を悲しむこともなく
俺は足早にあの店に急ぐ
今は絶望よりも
込み上げる怒りが俺を包んでいる
あの時間屋…フードの男
「知ってるも何も、来てましたから…」
「彼も………」
「だからアナタも来たのでしょ?」
アイツは絶対に何か知っているはずだ!
アキラも店に来ていただと?
まるで自分の死を知っていたかのように…
アイツは知ってて、俺に時計を売ったんだ!
許せねぇよ…問い詰めて一発ぶん殴る!
俺は時間屋のドアを強く開け入店した
「………何を…知っている!?」
「アキラが死んだ…」
「自分の死を受け入れろと言った!!」
「お前は何なんだ!何を知っているんだ!!」
俺はフードの男の胸ぐらを掴みながら激昂した
「はて?…お客様のプライベートは把握しておりませんので、何のことか分かりませんね…」
この距離でも男の顔はよく見えない
奇妙な奴だ…
「私は何も知りませんよ?」
「ただ…」
「そう感じるのです」
「彼が来たから、アナタが来たのだと」
俺は怒りを通り越し
また混乱する頭を掻き回す
「なんでアキラがこの店に来たんだ!?」
「何のために!!?」
「はて?…それは」
「アナタしかわからないのでは?」
「!!?」
わからない…
何が起きているのか…
もう一度、アキラに会えば…
何かわかるのか?…
「俺は今アンタをぶっ飛ばしたい…」
「でも、このままアキラのことを放っておけない」
「店が無くなったら戻れないからな…」
「…ほう…では」
「戻る…もう一度…」
「少し余裕が欲しい…」
「36時間前に戻る…」
「はーい!毎度ありーっ!」
「お気をつけていってらっしゃいませー」
相変わらず元気な女店員に少しイラッとしたが
俺はもう一度アキラに会いに行くことにした
今から36時間前…
前日の朝9時頃…
またユキとのデートをドタキャンしなきゃいけない
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