第3話 頂戴致します!

「いくらなんですか?金はそこそこ貯めてるんで」


「おや?…初めてですね、そんなリアクションをされたのは…」



俺は昔から察しがいい方だと、勝手に自分で思っている。

時間を売るなんて馬鹿げた商売があるかよ!

こっちの気分も知らずに…

会話全部録音して警察に突き出してやる。



「ウチは健全営業でやってまーす!」

「お兄さん!今から見本をお見せしますのでー」

「この時計、一緒に持ってもらえますー??」

「レッツ!ストップダーツ!!」



何言ってんだ、この店員は……


俺は疑いながらも、言われるがまま、

赤い懐中時計の様な物に触れた…


「じゃ、今から10秒止めまーす!」

「このダーツの矢に注目ぅ!」


女店員はダーツの矢を投げた瞬間に、懐中時計のスイッチを押した。





カチッ…















「……ほら、止まってるでしょ?」





「………えっ……」



女店員が投げた矢は、スイッチを押した瞬間に空中で静止した。

矢だけじゃない…

店内にある時計の秒針も、窓の外から見えるカラスも空中で静止している。




「3、2、1…」


スパンっ!!!




矢は動きだし、的に刺さる。




「こ……んな、映画みたいな事が…」

「現実…なのか…?」


正直疑ってしかいなかったので、衝撃を受けた。






「現実…って、何なんでしょうね?」

「世界は一つではない…私はそう思っていますよ」




このイカれたフードの店員…ヤバい奴に違いないが…時計の力はガチかもしれない…




「こちらに3つの機械がありまーす!」

「時間を止める時計!」

「過去に戻る時計!」

「未来に進む時計!」

「お好みでぇーーどぅぞーーー!」


「気になるお代の目安は!!!」

「時止め!1時間1年!」

「時戻し!36日で1年!」

「時進み!108日で1年!」


「お客様の御命!頂戴致します!」

「あ!細かい時間でも大丈夫ですよー!」




「!!!!!」

なんか、そんなパターンあるよな…

寿命と引き換えに…ってやつか…







「お友達に…もう一度会うことができますよ…」







!!!!!!!!?





「な、なんで知ってる…んですか?」


フードの奴、なんで知ってる??

この店、やっぱりヤバい…





「知ってるも何も、来てましたから…」

………」

「だから来たのでしょ?」





!!!?

「アキラが!!?」





何言ってる?何言ってんだコイツは!!?

絶対ヤバい!関わっちゃダメだ!くそっ!









………でも……





もう一度、会って…





話したい……





………アキラ………






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