第5話 にょろにょろ

何時だったかお盆の時に12歳年上の姉が東京から帰省

して来た。その時幼稚園児位の女の子を連れてきていた。

いわゆる姪っ子だが、その頃のじいじには自分が叔父

だなんて自覚は無かったので、普通に年下の女の子の

友達感覚じゃったよ。

お盆だから母ちゃんが花火を買っておいでとお金をくれた。

俺は男の子だからバンバン大きな音がする爆竹みたいな

花火(それをじいじは爆弾花火とよんでいた)

と女の子用に線香花火とか手持ちの音の静かな花火を

買って帰った。

夜になって、松明まつあかしが始まった。

あの世に行ったご先祖様が道に迷わないようにと松の木

を燃やして道しるべにするんだそうだが、どこの家でも

一斉に燃やすから、ご先祖様がかえって迷ってしまうん

じゃないかな?と心配になった。

松の木の油の燃える匂いと、もうもうとあがる煙が

ああ、お盆なんだなあとおもわせてくれた。


で、待ちに待った花火の時間だ。あちこちでバンバンと

爆弾花火の音がする。

じいじも生まれて初めて爆弾花火に火をつけてちょっと

遠くに放り投げた。すると思ったよりでかい音でバーーン

と鳴って母ちゃんが飛んできて、

「この馬鹿者!近所迷惑だ」と言って残っていた爆弾花火を没収

した。男の子の夢だった爆弾花火はたった1発で終わってしまった。

あれ以降、じいじは爆弾花火を買うことは無かったなあ。


花火と云えば黒い1㎝位の円筒形の花火が有って、火をつけると

にょろにょろと黒い燃えカスが伸びて来る花火が有った。

あんな小さなものから30㎝位の長さの蛇みたいなものが

にょろにょろ出て来るなんて不思議でしかたなかった。

いまでもまだ残っているのだろうかと通販サイトをみたら

有った有った。

蛇玉とか蛇花火とかいって5個入とか10個入とかで売っていた。

ねだんは1個あたり140円位。気を付けないと送料別

だったりするから注意が必要だ。

今では猫のうんちとか言って、猫のイラストの肛門から

にょろにょろ出てくるのも有った。


不思議な花火だがなんと、

砂糖と、ベーキングパウダーと、砂とアルコールで出来る

ようだ。

YouTubeで見れるから調べてみたらいいよ。

実際に作るときは、お父さんお母さんとか大人の人と

一緒に作ってね。じいじからのお願いじゃ。

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