文例4『お飲み物はいかがなさいますか?』 (傍観者型、語り手非人間、語り手複数、一人称との混在型)
ある日のクイーンズサンド某店。
「おっと、今日は当たりだ!」という声を聞いて三番レジのあなたは顔を上げ、眉をひそめる。
「え、何だって?」という声に一番レジのあなたはうきうきした。
二番レジのあなたはいつもの笑顔で「当たりだ!」と言った男子高校生を迎えた。
「いらっしゃいませ、こんにちは。店内でお召し上がりですか?」
「はい」
「では、ご注文をどうぞ」
「ヒューストンバーガーのセットで」
「お飲み物はいかがなさいますか?」
「これで」と二番レジに立った男子高校生は一枚の紙きれを見せた。
少し間をおいて、二番レジのあなたは答えた。「承知しました。お会計は六百円です」
一番レジのあなたは、ドリンクに迷う男子高校生に対してメニューのコーラを指して無言の笑顔でコーラを薦める。あなたにとっては至福の時だ。
二番レジのあなたは紙切れを見せられてわずかに動揺したが、すぐにいつもの自分を取り戻す。
三番レジのあなたは影の薄い男子高校生のオーダーを聞いたあと、三人分のドリンクをまとめて用意する。あの男子高校生のドリンクはウーロン茶にするよう二番レジの子に言われたが、あなたはそこにジンジャーエールを混入させた。
三番レジに並んでいた影の薄い男子高校生はその様子をしっかりと見ているが、三番レジのあなたは気づかない。
やがて三人分のオーダーがトレイにセットされた。
「お待たせしました。ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
三人の男子高校生たちがテーブルに向かった。
しばらくして二番レジでジンジャーエール入りのウーロン茶を受け取った男子高校生がそれを飲んで「……だよねー」と叫んだ。
三番レジのあなたはほくそ笑む。
二番レジのあなたは次に現れた意中の予備校講師の相手で幸せいっぱいだ。
「ん?」という声を発した一番レジに並んだ男子高校生の顔を一番レジのあなたは微笑ましく見つめる。
私は
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語り手が人間でない場合があることをあなたは知っている。今回はメニューに描かれた店のマスコットキャラだ。
それがメニューの数だけいることをあなたは理解する。そして最後に語り手は「私は女王」と言って名乗り出る展開だ。
二人称と一人称の混在はやはり自然に行われるとあなたは改めて認識した。
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