第71話 夏祭り 後は楽しむだけ!!
「ここで100万全部使い果たすっーー」
「逆に難しいよ、それ」
祭りが行われている神社の鳥居に着いて早々、優葉がとんでもない事を言っていた。
俺たちはインタビューを終えたあと、速攻で持って来ていた浴衣に着替え、バスに乗って神社へと訪れていた。
優葉は葉の模様が描かれた浴衣を、矢吹は涼しさを感じさせる水滴が描かれた浴衣、冬樹はシンプルに白い浴衣を着ていた。
ちなみに俺は波みたいな模様が描かれた黒い浴衣を着ている。
「ふっふっ、樹くん、射的は1回6発500円つまり射的4人で2000回やれば簡単に達成出来るんっすよ!」
「途方もない時間がかかるよ!?」
祭りに来たと思ったら射的を2000回もやる奴がどこにいるだろうか?
神様も呆れる様な金の使い方をしようとしている。
「流石に冗談っすよ、お金も明日明後日あたりに振り込まれるんっすから無理っす」
「じゃあ借金すれば良いのよ、優葉ちゃん」
せっかく優葉が現実を見始めたのに、冬樹が悪魔の囁きをした。
「確かに……それにそのまま逃げちゃえば借りパクできる………」
「神様の前でなんて話をしてるの!?天罰下るよ!?」
神様の前でする話ではない話をし始めた。
「ところで矢吹は?」
「ん、ほんとっすね、さっきまで居たのに」
「もしかして本当に天罰下って神隠しにあっちゃった?」
矢吹がどこかへ行ってしまった。
さっきから後ろが静かだなと思っていたら、矢吹が失踪していたからだったらしい。
何故、いつも俺たちは一生行こうと言うと、誰かしら失踪して勝手にどこかへ行ってしまうのだろうか?
俺も例外ではないが協調性が欠如しているのかもしれない。
「3人とも〜」
「どんだけ食いしん坊なんだよ……」
矢吹が戻ってきたのを見て俺は思わずそう呟いてしまった。
それもそのはず、矢吹の右手には既に食べ終わったチョコバナナの棒と俺たちに上げるためのチョコバナナ3本、左手には特大綿飴を持っていたのだ。
「我慢できなくて買って来ちゃった、右手限界だから早くチョコバナナ取って」
「は〜い」
俺はそう言われ矢吹の手からチョコバナナを受け取ってそのまま口に運んだ。
「祭りのチョコバナナうめぇ……」
やっぱりお祭りに来ると食べ物の美味しさが倍増する。
「屋台のお菓子はどんなお菓子にも負けないわね……」
「2年経ってもチョコバナナはチョコバナナっすね!やっぱ美味しいっす!」
そんな事を言いながら俺たちはチョコバナナを一瞬で完食した。
「よし、じゃあ小腹も満たせたことだし思いっきり遊びますか!」
「「「レッツゴー!!!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「最初はやっぱり定番の金魚すくいよね」
「やるのは良いんだけどうやって持って帰る?」
「そのためにちっちゃい虫籠を持って来たっす!ホテル着いてこの中に入れれば金魚ちゃんも家に着くまでは生きてくれる筈っす!」
カブトムシとかを捕まえる為に買って来たのかと思って何も触れなかったが、この為の虫籠だったのか。
「そこのお嬢ちゃん!やるかい?」
「やりま〜す」
冬樹がそう答えてお金を払い、店主からポイを受け取った。
「折角なら可愛い金魚獲りたいわよね……」
4人でじーっと水面を見つめていると、不意に端っこから四つ又の小さな黒い出目金が現れた。
「これ可愛いくないか、4つ又だし、出目金だし」
「本当だ〜可愛い〜」
「よし、この金魚狙いましょう」
すると4つ又黒出目金がゆっくりと矢吹の近くに泳いで行った。
「柔らかく手のバネを使ってこうやれば簡単に………網が破れたね」
はっや、矢吹めっちゃうまそうな雰囲気出して一瞬で散ったな。
「私金魚すくい得意なんっすよね、だから任せてください!!」
「頼むぞ優葉!」
「やったあ!取れたっす!」
矢吹同様一瞬で散るかと思ったが、そうでもなかった。
意外とすんなり金魚をすくった。
「このまま小さいのな狙い続けると前みたいに乱獲して出禁になっちゃうから、欲張って大きいの狙うっす!」
「乱獲し過ぎて出禁………?」
「そうっす、小さい頃に50匹くらい乱獲したら出禁になっちゃったんっすよね」
「バケモンだ……」
あのうっすいポイでどうやって50匹も獲ったのか気になったので実践してもらいたかったが、金魚を弱らせるのは良くないので何も言わないでおいた。
「まあ、この金魚ちゃん取れたので満足っす!」
その後、俺も冬樹も当然の様にポイに大穴を開けて金魚すくいの屋台を離れたのだった。
後書き
自転車をパクられて、いつも小説を書きつつコーヒーを飲んでるカフェにいけなくなり、筆者のメンタルがズタボロだったのですが、最近そこのカフェのコーヒーのボトルを買っていつものコーヒーを飲める様になりメンタルが回復したので、また復活します。
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