第69話 1発逆転
「dolphin達暴走し過ぎだろ、最後に戦うために遠いところ降りといて正解だったな」
俺たちは確実に勝つため、激戦区を避けてあまり人が降りない過疎地帯に居た。
俺たちの様に大会でみんな慎重に立ち回るため、1か所に人が集中せず、あまり他のチームとポジションが被らない様な場所にいた。
なのに人の減り方が変だ。
準々決勝、準決勝共にかなり中盤でも人が残っていたが、もう既に人が3分の1減っている。
キルログにはdolphinチームのメンバーが敵を倒したという報告が大量に流れていた。
「俺たちも少し敵倒しに行くか」
これだけdolphin達が敵を倒しているとなると武器も相当強い筈なので、俺たちも強い武器を手に入れるため近くに居たチームを倒しにいった。
「あれ?あと1人どこいった?」
「居ないわね?逃げたのかしら?」
屈んでバレない様に近づいていき、マシンガンとショットガンでゴリ押したのと、奇襲だったので相手も対応出来ず、3人は倒すことが出来たのだが1人がどこかに行ってしまった。
「そこそこ良い武器にはなったしまぁ良いか、これならdolphin達とあってもどうにかなるでしょ」
「そうっすね〜これなら中盤までは生き残れそうだし」
大会中とは思えない程呑気な会話をしながら、操作していると遠くにさっき逃してしまったチームの1人が居た。
「あ、居たっすね」
「早く倒そ」
1人だったとしても混雑している終盤まで生き残られると逆転勝ちする可能性があるので早く倒そうとスナイパーを構えた。
「溶けた……」
直後、逃げていた1人が一瞬で物資に変わってしまった。
そしてキルログにはまたdolphin達の名前。
だが、いつまで経ってもdolphin達はその物資を取りに来ない。
「あいつら元々の武器強過ぎてもう武器要らないんじゃねぇの?」
さっきの敵が落としたのは最高レアリティの武器。
でも、dolphin達はプロ選手を虐殺しまわっているため全ての武器が最高レアリティだから要らないんだろう。
「じゃ、おこぼれを頂戴しますかね」
そう言って、隠れていた場所から出て物資を取りに来た時だった。
「やられたわ」
「え?」
一瞬で冬樹が倒された。
シールドもHPも一瞬で削り取られアイテムをばら撒いた。
「ごめん、やられた」
「死んだっす」
俺は即座に建物の中に隠れたが、2人は間に合わなかったらしい。
冬樹と同様一瞬で体力を削り取られてアイテムをばら撒いた。
「まじかよ……」
キルログにはdolphin達がエンジェル、メルタン、ダークマターを倒したと表示されている。
「いくら何でも強過ぎるっす……」
文字通り瞬殺だ。
1ダメージも与えられなかった。
「樹君、頑張って」
3人とも死んでしまったので、俺の画面を食い入る様に見つめている。
「樹君、もう1発逆転に賭けて、爆発物いっぱい集めない?」
ここから実力で勝ち残るのは不可能だ。
dolphin+プロ選手、尚且つ数的不利な状況で俺が勝てる可能性はほぼ0。
「あぁ、そうするか」
そして、俺はあの思い出の爆発物大量ポイ捨て戦法に賭けることにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「いや、本当に手持ち殆ど全部爆発物でここまで残るんか〜い」
「逆に残んなかったらどうするんだよ」
「泣き叫ぶ」
「泣き叫びたくなるのは分かるけどせめて泣くだけにして」
dolphin達が暴走してくれたお陰で凄まじい勢いで人が減っていき意外とあっさりと終盤まで残ってしまった。
しかし、1番大切なのはここからだ。
終盤になると人口密度が上がる。
なのでそこでいかに上手く隠れることが出来るかが勝利の鍵だ。
「こっち見るなこっち見るな………」
俺は建物の屋上付近の床からちょこんと頭を出してブツブツと呟きながら下の戦況を見ていた。
すると、dolphin達と戦っていた諦めてヤケクソになりチームが爆弾を起動しながら捨て身特攻した。
しかし、dolphin達は体力がほぼマックスだったため、そいつらはあえなく爆散した。
「あっ!足場がっ……!!」
捨て身特攻の影響で周辺の建築物が全て破壊され、俺のいる足場まで破壊してしまったのだ。
「一か八かやるしかねぇ!!」
持っていた爆発物の全てを足元にばら撒き、ショットガンに持ち替えた。
爆発物は自分にもダメージを与えるため、ほぼ自殺行為だ。
だが、俺はショットガンのエイムだけは自信がある。
爆発物する前に全員にダメージを与えれば、HPの少ないdolphin達が先に死ぬ。
外せば俺が死ぬ。
俺は落下しながらdolphinチーム全員をレティクル内に入れ、ショットガンを打った。
dolphin達もダメージを喰らえば先に自分達が死んでしまうと分かっているので、焦って俺にショットガンを構えた。
「いっけぇぇぇ!!」
ショットガンの銃声と同時に足元で大爆発が起こった。
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