第59話 マジでみんな何をしてるの?
「勝てて良かった〜!」
ホテルに帰ってすぐに、俺はベッドにダイブした。
恥ずかしいかったり、緊張したりでかなり疲れた。
因みにちゃんとDolphinも勝ち残っている。
俺の紹介と実況を聞いて選手待機場で腹を抱えて笑っていたという話を小耳に挟んだが、抗議をしに行っても、揶揄われそうな気がするので不問にしておいた。
Dolphinとはトーナメントとの問題で何としても決勝まで残りたい。
「私たちのチームすっごい注目浴びたわね」
俺が性別を疑われたからでもあるが、実際かなり注目を浴びていた。
準決勝進出が決まった瞬間一気に敵を薙ぎ倒していったので、後半、殆ど実況は俺たちの視点を見ていた。
あと1位2位はインタビューをされて、美少女3人の顔が大画面で晒された事で、可愛い過ぎると話題になったからだ。
しかもだ、3人に対しては試合の感想やら気持ちやらを聞いてたくせに、俺に対しては「性別はどっちなんですか?」で終わりだ。
「男です!!」と声を張り上げた。
なのに、何故かインタビュアーにも観客にも疑いの目を向け続けられた。
「俺ってさ、顔女子っぽい?」
「たしかに女っぽい感じはあるわね」
「中性的っすね」
「ゴリラ」
「君たち3人には俺の顔がどう見えてるの?」
見事に3人バラバラの回答だ。
男っぽいという意見が矢吹しかないので、男装した女かと言われれば疑われてしまう感じの顔なのだろう。
確かに家から出ないので色白だし、最近は筋トレをやめてしまったので肩幅が狭くなり華奢な印象を抱かせる身体になりつつあるかも知れない。
「樹君さ、明日女装して行かない?」
「本当に何を言ってるの?」
「だって、これで樹君が男だってみんな確信して、他の選手から目をつけられたら色々困るわよ?あと、樹君を女装させてみたいし」
「最後にサラッと本音を付け足すな」
俺を女装させて何になるのだろう?
超絶厚化粧の化け物が完成しそうな気がしてならないのだが。
「化粧品はあるにしても、髪がこんな短髪じゃ女装は無理だな」
俺はマッシュルームヘアに近い髪型をしているので女装は不可能だ。
髪の毛をそのままで顔だけ化粧で女子にしたら、それはそれで面白そうだが、その状態で公衆の面前には出たくない。
「こうなると思ってミーはウィッグを持ってきておいた」
「どういう思考で今日こんな展開になる事を予期してたの!?」
時々、矢吹は常人には到底理解出来ない思考をしている時があるので、偶々それが当たってしまったのだろう。
「これを1回付けてみて」
「なぜ金にした?黒とか無かった?」
矢吹が取り出したのは、明らかに外国人の為の金髪ウィッグ。
純日本人の俺の顔とは、おもしろいくらいに似合わないだろう。
ただでさえ、女装しているのだから金髪ウィッグなど被せたら目も当てられない姿となるだろう。
「樹君、ものは試しっすよ」
「人の身体で試すなぁぁ!」
そのまま俺は冬樹と優葉に拘束され、金髪ウィッグを被せられた、顔に粉を叩きつけられたり、ペンで何かを書かれたりした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「「「おわぁぁ………」」」
「なに、その中途半端な反応」
途中で暴れて目にペンを刺されたり、変な化粧にされたら嫌なので大人しくしていたのだが、なんとも言えない反応をされた。
1番いやーなやつだ。
俺はまだ鏡を見てないので自分がどんな姿なのか見ていない。
なので尚更怖い。
「試しに外出てみるっすか?」
「やめて!これ以上俺にデジタルタトゥーを刻ませないで!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今気づいたんだけどさ、もしかして俺に人権無い?」
「そうっすね」
「そうっすね、じゃぁないよ!!」
自分の姿を見る事も叶わぬまま、ホテルの外へと連れ出されてしまった。
俺に個人の尊重というものはないようだ。
「でも、意外と視線受けてない……?」
「それは樹君が上手くミーたちに馴染んでるって事っすよ」
つまり、俺は今3人レベルの美少女になっていると言うことか。
「なあ、今言うのもなんだが俺めちゃめちゃトイレ行きたい」
「じゃあ信号の先にコンビニあるから先行ってて」
「分かった」
意外と女装しても方が注目されないと分かったらもうこっちのものだ。
怯えることは何もないので、俺は1人でコンビニのトイレへと歩いていった。
「そこのお姉さん、私と一緒にオチャはどうだい?」
「あんたもあんたで何をしてるの!?!?」
Dolphinにナンパされた。
後書き
ギリ今日です。
ディズニー行ってたら日が暮れました、すいません。
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