第56話 大会day1 移動中に起きた2つの大事件 その2

「朝から災難だったな」


「そうね、まさか痴漢に狙われるとは」


あの男降りた駅で他の人も降りて行って行った事で、また電車の中に閑散とした光景が広がった。


「胸の大きさは15歳で決まる……こ、これは本当なの……?」


横ではまだ矢吹と優葉のおっぱい雑談が続いていた。


今ちょうど、15歳で胸の大きさは決まるという記事を見て絶望している最中の様だ。


俺的には小さいのは小さいので良いと思うが、優葉的にはそれが嫌らしい。


優葉の胸を毎晩揉み続けてはや2ヶ月が過ぎようとしている。


だが、一向に優葉の胸に変化は訪れない。


触ってる時に、指先が肋骨に触れる感覚が少しあるのも変わらないので優葉の胸は一切大きくなっていないと言っても良いだろう。


矢吹に関しては優葉の様に胸がデカくならなくて悩む理由が分からない。


冬樹を見ているせいで感覚がおかしくなっているが、矢吹も人並みくらいはあるはずだ。


「樹君、これからはミーの胸も揉んで」


「はい!?」


「両手に胸」


両手に花みたいに言わないでください。


あと、多分あれ効果無いから。


とはいえ、優葉の胸を揉み続けるのも悪くは無い。


なので口に出さないでおく。


「あの人身体ゴツいな」


「本当だ、すご、ゴリラみたいっすね」


雑談しながら車内を見回していると、隣の車両にえげつないくらい身体ゴツい人がいるのが目に入った。


なんかもう、ボディービルダーなんじゃないか?と疑うくらいの体つきだ。


外国人なのだろうか?


髪も金髪だし、ほりが深い。


「あ、」


俺がその人をジロジロみていたのが悪かった。


車両越しにその人と目があってしまったのだ。


2度目だが、知らない人と電車で目が合う時ほど気まずい事はこの世に存在しないだろう。


すると、突然その外国人が立ち上がってこっちに向かって歩いてきた。


立ったら身長もめちゃくちゃデカいし。


怖い。


さっきと同じパターンだし、俺は英語話せないし、どうしよう。


「となり良いですか?」


「え?い、良いですけど………」


近くに来たと思ったらめちゃめちゃ流暢な日本語を話し始めた。


英語で何を言ってくるのだろうかと怯えていたが、日本語がこんなに上手だとは。


「貴方達は今どこに向かっているのですか?」


この人めっちゃフレンドリーだな。


いや、またやばい奴が来るとかよりは何百倍も良いけど。


あと、なんかこの声聞いた事ある気がするんだよな………


「今からちょっと静岡県の熱海って場所に用事がありまして……」


「oh!奇遇ですね!私もちょうどアタミに用事があるんですよ!」


もしかしてこの人もGALAXYカップ参加するのかな?


だとしたらすごい奇跡だけど。


いや、夏は祭りとかあるからそれは無いか。


ただの観光客かもしれない。


「差し支えなければ、どんな用事なのか教えていただけませんか?」


良く「差し支えなければ」なんて日常で出てくるな。


この人俺よりも日本語上手だって。


「RITっていう、ゲームの大会出るんです」


「Oh my god!?!?」


「「「「!?」」」」


急に大声を上げたのでめちゃめちゃ驚いた。


朝から良くそんなに声を張り上げられるよ……


「私もその大会出るんです!!」


「「「「え!?」」」」


今度はこっちがあ大声を上げる番だった。


流石にないと思っていたが、まさか当たっていたとは……


「なんて名前で出てるんですか?」


「Dolphinだよ!まさかこんなところで相手と会うことが出来るとは!」


「「「「…………」」」」


知らない方がいい事って、世の中多いらしい。


なんでここで遭遇してしまったんだろうか?


痴漢といい、不運過ぎるだろう。


「貴方達はなんという名前で出るのですか?」


1番まずい質問が来た。


俺たちは、大会に向けてこの人に喧嘩を売る前から、名前の前にfortitude_って着けてたから一瞬でバレる。


詰んだ。


「あ、もしかしてfortitudeですか?」


察し良すぎだろ。


何食ったらそんな察し良くなるんだよ。


「あははは!大丈夫ですよ、あれはパフォーマンスですから!」


てっきり、「貴方達が……」とか言って来るのかと思っていたが、口を開けて大笑いしている。


「パフォーマンス……?」


「そうですよ、あれはパフォーマンスです!配信的にも、あそこまで気持ちが悪い戦い方をしてくるチームは珍しかったので!」


あっ、キモい戦法とは思ってたのね。


「しかもそのチームが大会出ると分かったなら、私がそのチームを倒す宣言みたいなものをしておいた方が大会もライブも盛り上がるでしょう!」


思考がエンターテイナーだ………


「なので怒ってなどいませんよ!」


「そう…なんですね…」


なんか色々安心した。


それに、配信で聞いた荒々しい声じゃなくてめっちゃ優しそうな声してるし。


「いつ頃から日本に来てるんっすか?」


「来たのはつい3日前だけど、日本には何十回も来ているよ!」


通りで日本語が俺よりも上手なわけだ。


俺は日本で16年くらい生活してる筈なんだけどなぁ、おかしいなぁ。


自分の国語力の低さに気付かされた瞬間だった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「では、また会場で会いましょう!」


アメリカの話や、日本の話で盛り上がっているといつの間にか熱海に到着していた。


俺たちがホテルに向かう為に向かうと、Dolphinが手を振ってそう言ってきた。


「「「「では、また会場で〜!!」」」」


終始フレンドリーなDolphinだった。



後書き


最近、というか今年は更新が不定期になってしまっていてすいません。


筆者が高2になって、テストもやらかさず済み電子機器の使用制限とかが消えたの

で、おそらく2日に1話ペースで更新することが出来る様になると思います。


よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る