第48話 ドラッグストア、タイミングが悪すぎる再会
「ハーレム4P」
「だろうな……で、それをした時俺たちは避妊したか?」
「部屋をみれば分かるっす」
俺は部屋の隅々を見渡した。
が、そこに避妊用具らしきものは落ちていない。
「してる訳がないな、やらかした」
つまりだ、3人を妊娠させてる可能性がある。
そうなったら、多分3人とも退学か何かしらの罰を受ける事になるだろう。
笑えない。
「なので、誰かアフターピル貰って来て欲しいっす」
「いや、今みんなリンゴ病罹ってる」
「私たち3人妊娠させるか、感染症対策バッチリして3人とも妊娠しないの、どっちが良いっすか?」
「感染症対策バッチリしてピル貰って来た方が良いです、はい」
「じゃあ誰が行くのかしら?私?」
「いや、俺行くよ」
この中で1番体調が良いのは俺だと言うのと、3人が妊娠したら完全に俺の責任なので俺が行くのが筋だろう。
「じゃあ頼むっす、私たちは寝てるっすから」
「じゃあ、着替えーー」
「これ持ってって」
矢吹が何かの紙を渡して来た。
「何これ??」
「私たちたちの個人情報とか色々」
なんで俺に個人情報を渡して来たのだろうか?
「樹君が寝てる間に3人ともオンライン診療でアフターピルの処方箋発行してもらったんだよ」
アフターピル貰うのに処方箋必要なんだ………
さっきまで玉無し腰抜けくそ童貞で、性行為とは無縁だったので初めて知った。
「1番近いツル◯ドラッグで受け取れるようにしておいたから、受け取るのに必要なやつ」
俺が呑気に寝てる間に3人とも事を済ませておいてくれたのか………
マジで俺は何をしてるんだ。
勝手に生でヤッた挙句、診断中は爆睡。
ゴミムーブ過ぎる。
「じゃ、着替えて行ってくる………」
「マスクとかちゃんと付けて行って、商品不要に触らないようにしなさいよ。あと帰り道気を付けてね。少し暗いと思うから」
「はい…………」
「なんでそんな元気ないの?ピル飲めば多分どうにかなるから、今は安心しなさい」
「はい………」
まだ妊娠していると決まった訳では無いのに、矢吹から母性を感じて怖かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あちぃ………」
と言う訳で俺は、炎天下の中歩道を歩いてツル◯ドラッグへと向かっていた。
「俺はなんてことをやらかしてしまったんだ……」
記憶が無いあたり、文字通り理性が飛んでいたのだろう。
熱で抵抗力が下がっていたのだろうか?
だとしても、それで同級生3人妊娠させるのは笑えない。
「3人もやっちまったのか……」
1人ならまだマシだったかもしれない。
1人なら良いと言う訳じゃ無いが、周りから事情を少なからず理解しては貰えるはずだ。
だが、それが3人となったらどうなる?
多分周りの人も、親も、医者の大混乱を起こす。
何より、俺、矢吹、冬樹、優葉の親に向ける顔がない。
今回の件は完全親4人の信頼を裏切っている形だ。
いや、俺の親は「孫を見るのも近いかな〜」などとふざけた事を言っていたので喜ぶかもしれない。
矢吹たち両親にとってはブキギレ案件だが。
「ま、取り敢えずピル貰って駄目だった時はその時で考えるしかないか」
いくら考えても、やってしまった事には変わりはないので俺はツル◯ドラッグに無事につく事に専念した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「やっと……長い道のりだった……」
マスクを着けてて息がめっちゃしずらいのと、身体が少しだるかったでせいで普段より遥かに時間がかかってしまった。
(涼しぃぃ〜)
店内はクーラーがガンガン効いていて、さっきまでの暑さを忘れるくらいには冷えていた。
(さてと、ピル受け取るか)
俺は矢吹から貰った、個人情報とかの書かれた書類を持って専門薬剤師のいるところへと足を1歩進めた。
その時だった。
「湿布〜どこだ〜、お!樹!奇遇だな!」
「五月…………」
清水五月が商品棚の間から目を覗かせていた。
「どうしたの?五月?あら!久城さん家の!!」
「……………」
コツコツとヒールが床を叩く音が聞こえ、商品棚の横の通路から女の人が顔を見せた。
綺麗な黒髪をしていて童顔、身長はl70cm近く背の高い女性だ。
そして、それについて来るように五月も顔を出してきた。
「よっ!樹!」
「久しぶりね!久城くん!」
快活な声が店内に響く。
「お久しぶりです、真澄さん」
そう、そこには五月の母、清水真澄が居た。
後書き
スランプ落ち着いてきたかも。
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