番外編 矢吹式ナンパ撃退方法
「海に来たら日光浴に限るわよね〜」
「日焼けが怖いけど気持ちいものは気持ちいもんね」
ミーは冬樹ちゃんと椅子に座って日光浴をしていた。
肌にジリジリと照りつける日光が気持ちいい。
「今度海くるときはちゃんと外れない水着着けてきてよ」
「波に揉みくちゃにされたから仕方ないじゃない〜」
冬樹ちゃんの水着が取れるというアクシデントで慣れない海で散々泳いだから、太ももがパンパンになっている。
冬樹ちゃんは波に揺られていただけなので元気そうだったらが。
「あの2人は何やってるのかしらね」
「浅瀬にいる小魚でも捕まえてるのかな?」
少し離れたところで2人が顔を海に突っ込んだりしてバシャバシャと泳いでる。
はっきりとは見えないが海の中で何かしているんだろう。
楽しそうなので行きたいが、身体が「このまま寝転がろ〜よ」と言っている。
「矢吹ちゃんってさ、樹くんの事どう思ってるの?」
「どう思ってるってどういう事?」
別にミーは優葉ちゃんみたいに樹くんと昔に関係があった訳でもないし、冬樹ちゃんみたいに同じ学校という訳でもない。
完全にゲームから始まった関係だ。
どう思うも何も、樹くんとリアルで関わってまだ長くないので何も思わない。
「数ヶ月一緒に住んで一緒に住んで、何も思わないのかな〜って」
「逆に冬樹ちゃんは何か樹くんに対して思ってるの?」
「性奴隷になりたいし、したい」
「はい?????」
冬樹ちゃんがわけの分からない単語を呟いた。
私も性の知識が0じゃないので性奴隷が大体どんな意味かは想像がつく。
「樹くんとセック◯したい、チ◯チ◯舐めたい、樹くんにーーー」
「もう、言わなくていいよ、心の中に閉じ込めておいて」
ミーも冬樹ちゃんが痴女だというのは分かっていたが、さっきの話を聞くと想像以上の特級呪物かもしれない。
開けてはならない箱の中身を見てしまった気持ちだ。
「と、こんな感じの事を常々思って生活してるわけなのよ」
「それを常々思いながら良く生活できるわね」
そんな事を日頃考えて生活していたら無意識で色んな事を想像して濡れてしまいそうだ。
「矢吹ちゃんもそういう事想像した事ないの?」
「………ない」
1度もない、かと言われたら嘘になる。
男嫌いだが、全くそういう事を想像しないほど性欲が萎えてるわけではない。
樹くんは、父親の次に信頼していると言っても過言ではない。
初めて話したときは「どうせ、他の男子と同じみたいにチ◯コに脳みそついた猿なんだろうな」と思っていたが、そうではない事も最近分かったきた。
だから(この人には身を預けても大丈夫なのではないか?)という安心感と若干の性欲が湧く。
あまり考え過ぎると妄想が加速してしまい変な気持ちになってくるので、樹くんを叩いたりして気分を誤魔化しているわけだ。
だが、それをここで話すのは悪手だろう。
「矢吹ちゃんはやっぱり硬いね〜」
「ねぇねぇ、そこの2人」
女子水入らずで会話していると、雑音が混ざってきた。
声の方向を見ると、海水が付いたらすぐに錆びてしまいそうな金属ネックレスとイヤリングを着けたチャラけた格好をした大学生くらいの3人組がこちらに顔を向けていた。
「なに??」
どう考えても海水浴ではなくナンパを目的にしている人なので、ミーは軽く睨みつけながらそう返した。
「2人今から暇?」
「あそこの2人の連れだよ」
ミーはそう言って少し離れたとこで遊んでる2人を指差した。
「あの2人?」
「そう」
「あそこはあそこでイチャイチャしてるし、ねーちゃんたちも暇そうだから俺らと遊ぼうぜ?」
「ミーチャラい人無理だから」
「さっきからなんでそんなに不機嫌なの?」
何故自分で察さないのか?
連れに男がいるのになおも諦めず話しかけてくるほどの無神経さでは、日が暮れるまでナンパしても成功する事はないだろう。
「あんたらのその無神経さを直さない限りは、ナンパ成功しないと思うから頑張って」
ミーはもうあなたたちとは会話しませんと言う意思を込めてそう言って、そっぽをむいた。
「おい、ふざけんな」
さっき話してたやつがミーとの距離を詰めてきた。
若干声に怒気が含まれている。
まさか相手にされなくて怒ってるんじゃないだろうか?
いくらなんでも沸点が低過ぎる。
「あのさ、その無神経さが問題だっってんの、いい加減気付けよ」
「チッ」
さっきまでは声に怒気が含まれる程度だったが、いよいよ顔にも苛立ちが現れはじめた。
「いいからこっち来いよ」
ミーの肩に手を伸ばしてきた。
力尽くで連れて行ったところで、コイツらの目的は私たちとヤることだ。
レイプでもするつもりなのだろうか?
「はっ、バコッ」
「お、ぁぁ」
結構強めの裏拳を、男の股間に打ち込んだ。
しっかりと当たった感触があるので、クリーンヒット間違いなしだろう。
横にいた2人の男が股間を押さえて悶絶する男を可哀想な表情で見ている。
「どうする?まだ私たちとヤりたい?」
男側も自分の金的を潰そうとしてくる人とヤりたくなどないだろ。
「「「……………」」」
股間を殴られて悶絶してた男がお腹を痛そうにして立ち上がり、2人に背中を撫でられながらそそくさと去っていった。
「これで撃退完了」
すると、ずーっと何も言わずに黙っていた冬樹が唖然とした声で呟いた。
「にしてもよ」
「何?」
「あの3人のチ◯チ◯小すぎないかしら?海パン越しでも形無かったらのよ?」
「ミーが必死でナンパ撃退してる間にそんな事考えてたの!?」
痴女は腐っても痴女だった。
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