第33話 手遅れだしまぁいいか!

「これが終われば夏休みだぜ!!ふぉぉぉお!!」


五月が俺の机に寄っかかりながら叫んだ。


そう、俺たちはようやく前期の終業式を迎えたのだ。


意外と高校1年生の夏休みまでは早く感じた。


それだけ充実してたってことなんだろうけど。


「朝からそんなマックステンションで疲れないの?」


五月以外にも朝からマックステンションの人たちが沢山いる。


しかし俺は前日の夜約束通りに、優葉の胸のマッサージをしたことで寝る前に血圧が上がってしまいよく眠れなかった。


そして寝不足になりあまり体調が良くないから朝から五月のテンションに着いていくのは疲れる。


「樹こそ前期最終日に辛気臭い顔してどうした!?」


「寝不足」


「ネ友とゲーム?っていうか今は一緒に住んでるんだっけか?」


「そうだよ」


あいつらと一緒に住み始めてはや1ヶ月。


体感すごい短く感じたな。


色々と頭を悩ませる問題が多発したけど、案外楽しい1ヶ月だった。


「お前ら〜体育館に移動しろ〜」


担任が教室に入ってそう告げた。


時計を見ると終業式が始まる時間のなっていた。


結局寝れなかった………


俺は終業式中に睡魔に襲われる覚悟をして席を立ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「生徒代表の言葉って誰がやるんだろうな?」


「ああ、そんなのあるんだったな」


体育館に移動してる最中、五月がそう聞いてきた。


同波高校は夏休み前の終業式で生徒代表で少しスピーチをするのだ。


例年、生徒会に入ってる2年生がやっていると話を聞いたが今年はどうなんだろうか?


そんな事を考えてる間にもう体育館だ。


俺たちは指定された席に座り終業式の開始を待った。


「起立!」


教頭先生が壇上に出てきて、号令をかけた後校長先生の話という名のウトウトタイムが始まった。


なんでこうも校長先生の話は眠くなるんだろうか?


寝不足も相待って俺の瞼は殆ど落ちかけている。


「では、続いて生徒代表の言葉に移ります。冬樹 雪花さん」


その声を聞き、睡魔に朦朧とさせられていた意識が一気に覚醒した。


冬樹が生徒代表の言葉をやるなど一言も聞いていない。


「生徒代表の言葉、2年冬樹雪花」


そんな事を頭で考えたまま冬樹のスピーチが始まった。


「皆さん、前期お疲れ様でした。1年生は初めての体験………」


詰まる事なくスピーチが進んでいく。


遊んでいる姿しか見た事なかったが、俺たちが寝ている間に原稿を読み込んででもいたのだろう。


普段のイメージから想像できない程真面目だ。


「前期の6ヶ月間、私は人の繋がりの大切さというものを強く実感しました」


俺の頭を矢吹と優葉の事がよぎった。


今の冬樹は真面目だが、原稿を書いている時の冬樹の様子は分からないので、何を書いているのか分からないから怖い。


変な事を言って夏休み前に新しい爆弾を投下して欲しくない。


「私は1ヶ月前に引っ越しをしたのですが」


(おい!あの事言う気満々じゃねぇか!!)


そう思っても、今の冬樹に心の声が届くわけがない。


「その引っ越し先に、同じ中学校の友達が………」


(よかったぁぁ!)


てっきりあの事を言うのかと思ったが、そうではなかったらしい。


あの家の近くに、中学が同じの友達が居たとか言っている。


その後も俺たちに関する話題を出さずにスピーチを終えた。


「久城なんか体調悪そうな顔してるけど大丈夫?」


隣の椅子に座っていた男子が話しかけてきた。


さっきの冬樹のスピーチでかなり精神を削られたので、俺は死人のような顔になっているのだろう。


「大丈夫だよ」


俺はそれだけ答えて、先生の話に耳を傾けた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「樹は打ち上げ行く?」


「打ち上げ?」


終業式が終わって教室に戻ってきた後、俺と五月は先生が戻ってくるまで話していた。


「そうそう、クラスの奴ら全員で行くらしい」


「あ〜、俺は遠慮しとくわ」


俺は言わずもがな陰キャの部類の人間だ。


クラスの奴らと特別交流があるわけでもないので行く必要がない。


あと、普通に家でゆっくりした。


多分、矢吹も冬樹も優葉も打ち上げとかで家には戻らないだろう。


「そう?まぁ樹が行かないって言うならいいけど」


こういう時に深掘りしないでくれるはとても助かる。


先生が夏休みに注意する事を軽く話して、俺たちは帰路に着いた。


「なんで置いていくの!!」


1人で帰っていると、後ろから冬樹が怒った顔をして追いかけてきた。


「いや、打ち上げとかでそのまま遊びに行くのかと………」


「私、クラスの打ち上げ行かないわよ」


冬樹も行かないらしい。


学年1の美少女と言われているのに、誘われなかったのだろうか?


「誘われなかったの?」


「下心しかない人たちと誰が打ち上げに行くと思う?」


「あ〜」


打ち上げに誘われてはいたのだが、誘ってくるのが男子ばっかりだったのだろう。


冬樹は2年生に対してかなり当たりが強いので、拒否して帰ってきたと言うところか。


「早く家に帰りましょう?」


「そうだな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「なんで矢吹と優葉が居るんだ………」


俺と冬樹は家に帰って、矢吹、優葉と鉢合わせていた。


なんでこの2人もそのまま帰ってきたのだろうか?


打ち上げとかないのだろうか?


「打ち上げないの?」


「私、拒否してきたっす」


「ミーも拒否してきた」


どうしてみんな打ち上げを拒否するのだろうか?


俺も拒否してきたので人のこと言えないけどさ。


「じゃあやることは1つっすよね!!」


「寝る」


「4P!」


「RIT!」


見事にみんなバラバラの事を言った。


約1名、とんでもない事を言ってる気がしたが気のせいだろう。


「そこは4人で打ち上げじゃないんっすか!?」


確かに、その手もあったか。


4人で打ち上げ………人の目を気にしなければ楽しそうだな。


そう、人の目を気にしなければ。


「1つ質問、4人で打ち上げするのはいいけど、他の人たちからミーたちが仲良いって噂されると思うけど大丈夫なの?」


「それは心配無用っす!もう手遅れっすから!」


言われてみて、今までの出来事を思い返す。


冬樹と肉体関係を持っていると噂される。


4人で夜遊びをしているのを見つかって、全員で説教を食らっているのを見られる。


うん、確かに手遅れかもしれない。


「確かに………行っても大丈夫ね」


最初に爆弾を製造&爆破させて、同波高校の生徒の多くを混乱に陥れた本人がそう言った。


「じゃあ、打ち上げ行きますか!!」


俺たちは開き直って、打ち上げに行く事にしたのだった。


後書き


いっぱい投稿するとかほざいておいて2話しか投稿出来なかった………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る