第27話 校則は破ってはいけません2
「まさかあんなところで出くわすとはね……」
矢吹が心底嫌そうな顔をしてそう言った。
「なんでそんなに、道楽高校の男子嫌いなの?」
彼氏が欲しい理由が、男払いだったりと矢吹は道楽高校の男子をかなり嫌っている。
しかしなんでそんなに嫌っているのだろうか?
「うちの高校の男子共の治安は終わってるのよ」
言われてみれば、店員という立場にいながら殆ど関わりのないであろう矢吹に興味本位で話しかける時点で色々ダメだ。
あと、1つやらかしたことに気づいた。
「俺顔見られたよね?しかも明るいところでガッツリと」
「うん………見られちゃったね……」
普段だったら、「どうしようか………」と今後の対策考えたりするだろう。
しかし今は夜遅いし、校則を破るという背徳感で気分が高揚している。
「まぁ、どうにかなるでしょ!」
「そうだね!」
2人とも深夜テンションだった。
「蚊に刺されそうだから、中戻らない?」
「そうするか」
街灯の周りにカブトムシなどの虫が集っているのを見て矢吹がそう言ったので、俺と矢吹はコンビニの中に戻ろうと自動ドアに近づいた。
「そろそろバイト終わるので、この後連絡先交換しません?」
自動ドアが開くとすぐにそんな声が聞こえてきた。
声のする方を見ると、冬樹とさっきの店員が話しているのが目に入った。
あの声はさっきの店員から発せられたものだろう。
「あの女好きはほんっとに……」
矢吹が眉間を押さえている。
「あの店員ってなんなの?」
「あいつって可愛い女子いるとすぐに話しかけたりするから女子の間で結構嫌われてるんだよね」
店員という立場にいながら、客として会った初対面の相手に連絡先交換してとかいうようなやつだ。
矢吹の言うとおり嫌われているのは本当だろう。
「あーごめんなさい、私あの人たちと遊びに来てるから無理」
「え?」
冬樹がそう言って指差したのは、俺と矢吹。
するとあの店員が俺を睨んできたので俺も少し睨み返した。
2、3秒睨み合った後、今回はあの店員から視線を切ってきた。
そして会計をしようとしたのか冬樹の買ったよく分からない箱を4つほど手に取り、少しだけ固まった。
「どうしたの?」
「いえ………」
箱と俺の顔を交互に見た後、なにか見てはいけないものを見たという感じでそそくさとバーコードを読み取り袋にそれをしまった。
「樹く〜ん……どうしたんっすかっ?」
「ちょ、公衆の面前でやめて!?」
優葉が商品棚の間から出てきて俺の腕に抱き着いた。
結構強く抱き着いているのと、薄着なのが原因で優葉の胸の感触がよく伝わる。
「デレデレすんな」
「イッタ!今のは理不尽じゃない!?」
俺が優葉を引き剥がそうとしていると、後頭部に矢吹のチョップが飛んできた。
いつも思うのだが矢吹はどうしてこんなに俺へのあたりが強いのだろう?
掌底打ちをしてきたり、脛を蹴ってきたり、結構な威力でチョップしてきたり。
俺の扱いが酷すぎる。
「買ったから行きましょ」
冬樹が会計を終えて戻ってきた。
「おお、じゃあ行こう……か」
俺の口が少し止まった。
理由は冬樹の後ろ、あの店員が信じられないものを見るような目で俺たちを見ていたのが目に入ったからだ。
あんぐりと口を開けて目を見開いている。
暗闇から出てきたら悲鳴を上げること間違いなしの顔だ。
「どうしたんっすか?」
優葉はあの店員に気づいていないらしい。
「ああ、なんでも無いよ」
普通の怖いので俺はそう誤魔化して、コンビニを後にしたのだった。
「というかさ、冬樹何買ったの?」
コンビニを出て歩いている時に、俺はそう聞いた。
冬樹の買った謎の箱を見てから明らかにあの店員の様子が変わったから、なにか変なものを買ったのではないだろうかと俺は疑っている。
「コンドームよ」
「へぇ〜コンドームね……コンドーム!?」
なんてものを買っているのだろうか?
俺は急いで冬樹の持っている袋の中身を見た。
(0.02mm!激薄!)と書かれた箱が4つ入っている。
あの店員が信じられないものを見るような目をした理由が分かった。
というか、これを見て平然といられる方がおかしい。
夜10時くらいに銀髪美少女と矢吹と優葉と男1人が一緒にいて、銀髪美少女が大量のゴムを買って今から遊ぶと言っている。
「絶対、まずい誤解されたでしょ」
ハーレムでヤるの!?と思われたに違いない。
「まぁでも大人数に見られたならまだしも、1人くらいなら広まんないでしょ」
「それもそうか」
しかし残念なことに、今俺は深夜テンションなので大して気にもせず公園へと歩いて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「やーっと着いた!」
着いて速攻で俺たちは折りたたみ式のバケツをバックから引っ張り出し、公園内ある水道でバケツに水を張った。
「火事だけは起こさないように気をつけてくれよ」
「その前にちょっと………」
「ん?どうした?冬樹」
冬樹が俺の服の袖を引っ張った。
「ちょっと1人だと怖いから公衆トイレ着いてきてもらえないかしら」
「俺である必要ある?」
公衆トイレはすぐ側にあるし、怖がるほどの距離でも無い。
しかも男女共用で大きい個室のタイプなので近くに居ようが居まいが変わらない。
「でも怖いの………」
「分かったよ、ちょっと待っててくれ」
「「分かったわよ(っす)」」
俺は冬樹に着いて行き公衆トイレの前へと来た。
「じゃあここで待ってるから」
俺はドアの横にある柱に寄りかかった。
「ダメ」
「ちょっ!!」
冬樹に引っ張られて俺は公衆トイレ中へと引き摺り込まれた。
後書き
もしかしたらX垢開設してAIイラスト挿絵投稿するかも。
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