第24話 編集技術の悪用

「優葉!?」


「樹君!!」


家に帰って優葉を問い詰めようと名前を呼んだ。


すると優葉は名前を呼ばれた子犬のように走って近づいてきた。


「優葉、このオンスタの投稿はどういう事?」


「どういう事も何もなにも、私たちは夫婦なんだからみんなに付き合ってるって思われても良いっすよね?」


「夫婦じゃないし、俺的には何にも良くないんだけど」


まだ優葉は俺と夫婦でじゃないという事を認めていないようだった。


しかも、夫婦だという事を理由にして勝手に付き合ってる疑惑が掛かるような投稿をするとか頭のネジが抜けている。


「なにが良くないんっすか?」


「俺、2股男にされそうなんだけど……」


「2股………」


さっきまでキラキラしていた優葉の目が急に光を失った。


「樹君、私以外の女の子と付き合ってるんですか?」


「いや、そういうわけでは………」


「じゃあなんで2股男になっちゃうんっすか?」


「それは………」


なんだろう、何も悪いこと何もしてないのに悪いことしてる気分になってきた。


「私以外の女の子とセッー」


「ストップ、それはアウト。あと本当に俺は他の人と付き合ってない」


一瞬女の子から聞こえちゃいけない単語が聞こえそうになったので俺は急いで制止した。


「じゃあなんで2股なんていったんすか?なんで?なんで?なんで?」


「ヒィィィ!」


前の比じゃないくらい優葉が怒っている。


俺はとんでもない地雷を踏んでしまったのかもしれない。


「あのですね、俺は矢吹に彼氏役をお願いされたんです」


「ちょっと矢吹ちゃんに苦情入れてくるっす」


「待って!?話を聞いて!?」


闇落ちした優葉と、矢吹の鋭利な言葉が衝突したら喧嘩が勃発する可能性大だ。


混ぜるなキケン、これを体現している。


「矢吹に男よけのための彼氏役が欲しいと頼まれて、俺はそれを引き受けたんです」


「へぇ〜……」


「それで、矢吹が彼氏の事を広めたタイミングで優葉も、俺と撮った写真を広めてしまったから俺は2股になると言っているんです」


「つまり実際は浮気していないってことすか?」


「というか、まず付き合ってないので浮気になりません」


「は??」


怖っ!


めっちゃ睨みを利かせてきたんだけど!


雰囲気から察するに、どうやら俺はまた地雷を踏んでしまったらしい。


余計な事言わずに素直に頷いておけば良かった……


「まだ樹君は私と夫婦じゃないと言い張るんっすね?」


言い張るも何も、結婚どころか交際すらしていないのだから夫婦な訳がない。


俺は何も間違ってないはず…はず……え、間違ってないよね?


「へぇ、そうっすか」


すると優葉はスマホを取り出した。


そして何回かタップをして俺に画像を見せていた。


「は!?これ!?は!?」


そこにはベットの上で俺のアームストロング砲を舐める優葉の姿が写っていた。


「こういう事っす!」


こういう事と言われても俺の頭は大混乱だった。


俺は自分の股間を見て、次に優葉の顔を見た。


「こんな事をしたんっすから責任取れますよね?」


「………………」


俺は何も言えない。


流石にここまでしているとなると俺も責任取らないとは言いずらい。


「ちょっともう1回それ見せて」


「良いっすよ」


捏造だと信じたくて、俺は優葉のスマホに顔を近づけてその生々しい事をしている画像をよーく見た。


するとだ、俺はある事に気付いた。


そう、写真のベッドがここにある物と違うという事だ。


俺のベッドは白なのだが、このベッドはくすんだ白色だ。


そしてもう1つ、身体つきがおかしい。


俺の下半身は筋肉があまりなく、写真のようにがっちりしていなかったはずだ。


「捏造?」


「え!?違うっすよ!?」


試しに聞いてみると、明らかに反応が変だった。


元画像がどこからきた物なのか心当たりが合ったので、俺はスマホの検索履歴を汚すの覚悟で某エロサイトを開いた。


そして検索欄にとある下ネタを入れて検索した。


「おい、優葉。それ顔編集したやつだろ」


俺はこれが捏造写真だと確信した。


1番上に、全く同じ情景で全く同じ事をしている女性が写っているサムネイルの動画があったからだ。


「バレちゃったっすか」


てへ、みたいな感じで舌を出しているがやってる事はかなりやばい。


わざわざこんなエロサイトから画像を撮ってきて、自分の顔を編集してそういう行為をしていると俺に勘違いさせようとしてきている。


怖い人だ。


「せっかく画像編集のアプリとか入れたのに」


「健全なアプリをこんな事に使わないで!?」


編集技術悪用の良い例だ。


「で、話が逸れたけどなんで優葉はあんな投稿をしたの?」


話が逸れすぎて、そのまま誤魔化されそうな気がしたので俺は話を戻した。


「外堀を埋めるためっすよ」


「樹君が私と付き合うのは嫌だってわかってるっす。だか私以外の女の子と付き合う選択肢を決して言ってるんっす」


「分かってるならなんでやめない……」


あと俺が心配する事じゃないが、めっちゃ堂々と自白してるけど大丈夫なの?


それに俺は外堀を埋められようが好きな人以外と付き合うつもりはない。


とはいえ、俺のファーストキスを奪ったあの幼馴染はもうどこに居るのかも分からないので、新しく好きな人ができない限りこの先、俺が誰かと交際することはないだろう。


正直あの幼馴染と再会したい気持ちが無いわけではない。


だか、あの頃の俺はいつもあの幼馴染に虐められて泣いていた記憶がある。


仲は良かったがその分喧嘩して、俺はその頃喧嘩がとてつもなく弱かったのでいつも泣いてたわけだ。


その頃に泣きすぎたのか分からないが、今は悲しくなるほどに涙が出ない。


「なんで私がいっちゃんにここまで執着するか分かるっすか?」


「分かるわけないだ………どうしてその呼び方を?」


後書き


昨日投稿できなくてすいませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る