第14話 ゲーム誘うだけでも一苦労
「ただいま~………って、あんたらどうしたの?」
「「なんでもない………」」
矢吹の問いに、俺と優葉はぎこちない反応をした。
実は監禁が終わったあと、俺たちはお互いに冷静になって考えたのだ。
俺は優葉にキスをした。
優葉は俺にキスをするよう仕向けてしまった。
そして俺たち2人は思った、((やってること恋人じゃね?))と。
だから今、こんなに気まずい空気になってしまっているのだ。
俺もなんであんな簡単にキスしてしまったのだろうと思っている。
普段の俺なら絶対にしなかっただろうが、あの時は監禁で気が動転していたのだろうか?
それに、優葉もあそこまでやってしまって後戻りが出来なくなっていたようだ。
矢吹たちが帰ってくるまで、ずっと頭を抱えて床を転げ回っていた。
「もしかしてチューでもしちゃった?」
冬樹が冗談めかしてそう言った。
「「してない(っす)!!!」」
そして言ったあとに、俺は墓穴を掘ったかもしれない事に気がついた。
冬樹のテンションは明らかに冗談のような感じだったのに、図星だったからのつい過剰反応してしまった。
「え…冗談のつもりで言ったんだけど……もしかして本当に?」
あーあ、やっぱり墓穴掘っちゃったよ。
「やってない!」
「うっそぉ」
ほら!こうなった!
「嘘じゃない!!」
それでも俺は全力で否定した。
しかし、その隣で優葉は顔を赤くして黙っている。
そんな風にしていたら自白しているのと同然だ。
俺が一生懸命に否定してるのに意味がない。
あと、矢吹も少し顔を赤くしている。
矢吹はなんで??
「……ミーのベット汚さないなら別に良いよ」
「汚さないよ!?何を考えてるの!?」
顔を赤くしてた理由はピンクな想像をしていたかららしい。
大体どんな事を考えているか分かるせいで、居た堪れない気持ちになるから勝手に変な想像しないで欲しい。
「というか2人は何しに行ったの?」
これ以上あの事を深掘りされると困るので俺は話を変える事にした。
「服買いに行ってたのよ」
2人の手には大きめの紙袋が2つずつ握られている。
そして2人はその紙袋を持って部屋に入り、袋の中身をひっくり返して取り出した。
服の扱い乱雑過ぎん?
そして俺は床に放り出された服を眺めていると、とあるものも見つけた。
いや、見つけてしまった。
(おっと?これ下着じゃないか?)
黒色のブラジャーとパンツが服に紛れて落っこちていた。
「何をそんなに凝視してるの……っ!」
ジーッと見てるせいで矢吹が俺の視線の行き先に気付いてしまったようだ。
「この変態っ……!」
まずい!矢吹が怒っている!
それを察知し、俺は急いで下着から目を逸らし弁明した。
「いや、偶々目が向いてしまっただけなんだ。わざとj」
その直後、顎に衝撃が走って俺は目の前が真っ暗になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「大丈夫っすか?」
「あぁ?」
上から優葉が覗き込んでいる。
俺はリビングに寝かされているようだ。
「さっき俺に何があった?」
顎に衝撃が走ったところまでは覚えている。
しかしその後からの記憶がない。
「樹君が雫の下着を見たせいで、雫ちゃんが怒って樹君の顎に掌底を打ったんです」
「そういう事ね」
一瞬で意識が飛んだなと思ったら掌底を喰らったからだったのか。
昨日と今日で矢吹の事が少しだけ分かった気がする。
多分アイツは超が付くほどのドSだろう。
じゃなかったら、昨日のような切れ味のある言葉を言ってこないし、さっきも殴ってこないだろう。
矢吹はドSで、優葉は監禁癖持ち………
俺の今後の生活は大丈夫だろうか?
とても不安だ。
「矢吹と冬樹はどこ行った?」
少し周りを見るが矢吹と冬樹の姿が見当たらない。
「冬樹ちゃんはトイレで、雫ちゃんは寝室に籠ってます」
またやっちまった。
昨日といい、今日といい、俺は何をしているんだろうか?
同居人の裸を覗き見したり、下着を見たり。
これじゃあ俺がただの変態みたいじゃないか。
「樹君、RITやらないすか?」
「急にどうした?」
「だって私たちRITするためにここに来たんですよね?なのに私たち1回もRITやってないっすよ?」
すっかり忘れていた。
俺たちはRITをするためにここに引っ越して来たんだ。
「じゃあ、やるか」
RITの事を思い出した途端、急にやりたくなってきた。
勿論Wi-Fi設定などは済んでいるため、やろうと思えばすぐに出来る。
「じゃあ矢吹呼んでくるから、冬樹呼んできて」
「分かったっす」
そして俺は寝室のドアの前に来た。
「矢吹〜」
「なによ」
「下着の件は悪かった」
「悪かったと思うなら、その話を振ってこないで!!」
完全に怒っている。
ここからどうやって部屋から出すかだな……
取り敢えずRITやるか聞いてみるか!
「矢吹〜今からRITやろうと思うんだけどやる〜?」
「………」
数秒の空白のあと、ドタドタドタと走る音が聞こえた。
「やる!!」
「イッテェェ!」
矢吹が勢いよくドアを開けたので、その目の前にいる俺の顔にドアが直撃した。
あんなに出てこなそうな雰囲気だったのに……
「大丈夫?はやくやろ!」
全然心配してなさそうな声色でそう言った。
「大丈夫じゃないから、ちょっと待ってくれ」
待ってくれと言ったのだが、矢吹は俺を置いてけぼりにしてゲーム部屋へと行ってしまった。
ゲーム中毒者、コワイ。
後書き
人生で初めて星100以上達成しました!
ありがとうございます!!
作者大感激です!
今後とも
「オフ会行ったら特殊性癖持ち女子しかいなかった〜しかもルームシェアすることになった件〜」
をよろしくお願いします!
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