人の真実は、言葉になったものだけではない。

 言葉にならなかった無数の想いが、その人物を造り上げている。

 もしかすると言語を用いる種族としては皮肉なことに、人間という生き物は、大切な想いほど、口にはできないものなのかもしれない。

 しかし、それは存在しないことと同義ではない。

 何度飲み込んだとしても、想いが消えることは、ありはしないのだから。


 その思慮深さから、その優しさから。

 あるいは、その臆病さから。

 幾度となく飲み込んだ言葉は、心の内に沈んでいく。

 痛むことなく、癒えぬことなく。

 永遠に続くかのような無音の世界。


 けれど、きっといつかは伝わるだろう。

 言葉にせずとも、そう、その心に従い生きていけば。


 人の真実は、言葉になったものだけではないのだから。



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