第6話 土の中に帰るね。

私が美容院に行ってから1週間程経った。


あの日から俊介先生は音信不通になっていた。


お稽古の日にも現れない俊介先生を心配し、お母さんが俊介先生のお父さんである達巳先生に連絡をした。


どうやら、あの日私たちと別れてから家に帰り急に「ちょっとしばらく行ってくる。」とだけ言っていなくなってしまったらしい。


どこに行ったのかは、達巳先生も知らないんだって...。


俊介先生どうしちゃったんだろう...。


私、俊介先生のおかげで外見は変わることができた。


そう、外見はね。


でも、私は胸を張っていられない。


自分に自信が持てない。


見た目が変わったって私自身は変わってないんだよ。


自分の力じゃ変われない私が嫌い。


またこうやって自分のことマイナスに捉えちゃうとこも嫌い。


外見が変わったって何にも私自身変われてないならダメじゃない。


(うっうぅ)


私は込み上げる思いに涙をこぼしてしまった。


それから私はしばらく呆然としていた。


私に変わるなんて無理だったんだね。


もう、諦めよ、


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俊介の紹介による春華の施術でイメチェンを果たした綾愛。


その後の学校では、


「インキャのくせに」


「芋は何しても芋なのに」


などの誹謗中傷が綾愛に聞こえるよう飛び交っていた。


それに加え、心の支えであった俊介が失踪したことにより、自分が頼るとこも失い、どうすればいいのかもわからなくなった。


それもあって、綾愛は手に入れつつあった自信を無くしてしまっていた。

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気づいたら私は元に戻ってしまったみたい。

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