第5話 シンデレラの魔法。

「綾愛ちゃんは、子供顔だし、スッキリボブとか似合うと思うんだよね。どうかな?」


私の顔を覗きながら話してる春華さん。


え、ボブ!?


私がそんな髪型したらアフロみたいに爆発しちゃわないかな。


「ぼ、ボブなんてしたことないし、爆発しちゃうかもしれないです。」


「大丈夫ってことよ!そこは髪質改善するからね!あとはセット方法とか教えるし。」


「ほんとですか?じゃあ、春華さんを信じてやってみます...。」


「よし、じゃあシャンプーからしていくか!」



それから2時間が経過した。


私は、春華さんに洋服のコーディネートまでしてもらった。


「...うん、こんなもんかな。一通りやってみたけど、どうかな綾愛ちゃん?」


そう言って春華さんは私を全身が映る鏡の前に連れて行った。


え、これ私?


自分でも疑ってしまうほどの変わりようである。


ボサボサだった髪はサラサラツヤツヤのボブに、Tシャツに短パンだった洋服はギャザーの可愛いワンピースのセットアップに。


(ポタポタ)


生温かいものが頬を伝う。


私泣いてる?


可愛くなれるなんて無理だと思っていた私は思わず涙をこぼしてしまった。


「あら、やだー。可愛い顔が台無しじゃない!泣かないの!でも、すごく変わったね!」


(ガラガラ)


春華さんから終わったと連絡を受けた俊介先生が部屋に入ってくる。


「...お、すごい変わったね。...。」


「俊ちゃん言葉失ってるじゃん!まぁ私の手にかかればこんなもんよ。」


「綾愛ちゃん、凄く綺麗になってる!」


「ほんとですか?ありがとうございます。」


私はかっこいい俊介先生に褒めてもらえて嬉しくて髪を耳にかけた。


「...綾愛ちゃん腕に痣あるよ、どうしたの?」


腕を上げた拍子に服がめくれ見えた痣に俊介先生が気づいた。


「あ、ほんとだ。こないだできた痣なのにまだ治ってないんだ。」


電柱にぶつかった時にできてしまった星型の痣くっきりいまだに残っている。


「綾愛ちゃん、電柱にぶつかったの?大丈夫?」


「...ごめん、僕用事思い出した。ちょっと帰るね。春華ごめんけど綾愛ちゃん送ってって貰ってもいい?」


そう言って春華さんの返事も待たずに俊介先生は部屋を出て行ってしまった。


「え、私返事してないけど。まぁいいけどさ。俊ちゃんってたまにこう言うことあるよねー。」


急に帰ってしまった俊介先生。


なんかあったのかな。


「じゃあ綾愛ちゃんお家まで送るよ!」


「ありがとうございます。お願いします。」


そう言って私と春華さんは私の家に向かう。


今更だけど綾愛さんと俊介先生って仲良いよね。


2人って付き合ってたりするのかな...。


「綾愛さんって俊介先生と付き合ってるんですか?」


「...、どストレートだね。付き合ってないよー。」


そう言って頬を赤らめる春華さん。


あ、きっと春華さんは俊介先生のことが好きなんだね。


(チクッ)


心のどこか奥が痛む音がした。


それからは頭がぼーとしていて覚えてない。


気づいたら自分の部屋にいた。

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