第4話 初めての出会い。
私は変わりたいって思った。
だから今日は、外見から変わるべく俊介先生の知り合いの美容院へと向かっている。
美容院なんて、いくの初めてじゃないかな。
生まれてこのかた、髪の毛はお母さんに切ってもらってたし、そもそもそんなに髪切らないし。
でも、切るってどうすれば変わることができるの...?
今の私は伸びに伸びきった腰までの長さのゴワゴワの髪の毛と目が隠れる長さの前髪を身に纏っている。
しかも、目が悪くて黒縁丸メガネをかけてるんだよね。
なんか、いわゆるインキャの代表例って感じ...。
そんなことを今日も考えながら約束の場所へ歩いていた。
...なんか周囲の人私の事すごい見てない!?
(ブワッ)
そう思った途端に、視界が一瞬白くなった。
今のなんだろう、気のせいかな...。
「綾愛ちゃん!やほ!」
そう言って後ろからやってきたのは俊介先生だ。
「ごめん、待った?...え。」
急に黙り出す俊介先生。
「どうしたんですか?なんかありましたか?」
不思議に思って聞いた。
「ごめん、なんでもないよ。行こっか!」
そして私たちは美容院に着いた。
(ガラガラガラ)
「いらっしゃいませ、こんにちは。何時からのご予約でしょうか?」
「13時から予約した平井です。」
予約してくれてたんだ。
「13時からの清水春華指名の平井様ですね?お待ちしていました。ご案内します。」
そう言って受付にいたお姉さんは私たちをお店の奥の個室へと案内した。
「こちらで少々お待ちください。」
うわー、この部屋すごくおしゃれで今の私はとてもじゃないけど場違いに見える。
そんなことを考えてたら誰かが入ってきた。
「お、俊ちゃんやっほ!久しぶりだね。」
「やっほー!今日は春華の手を借りたくてね、この子がこの前言ってた綾愛ちゃん。綾愛ちゃん、この人が今日担当してくれる春華。春華は凄腕だから安心してね!」
「よろしくお願いします。」
そう言って春華さんをよく見る私。
春華さんは顔立ちが整っていて、雑誌に載っているモデルさんよりも可愛い。
私はそんな春華さんに見惚れてしまった。
「こちらこそよろしくね、綾愛ちゃん!もしかして私の可愛さに見惚れちゃってる?」
図星されてしまった私はあたふたしてしまう。
「春華何言ってんの!綾愛ちゃんが困るでしょ。」
「ま、冗談はさておき早く始めちゃお!じゃあ、まずカウンセリングから始めよっか。」
カウンセリング...?
髪切るのにカウンセリングってなんだろう。
「どんな風にしたいのか美容師さんと相談するんだよ。」
キョトンとしていた私に俊介先生は優しく教えてくれた。
「...私どうすればいいかわからないです。」
「こんな風になりたい!って言うのはないかな?」
「何が私に似合うのかもわかりません。強いて言うなら、...春華さんみたいに綺麗になりたいです。」
「え、照れるなー!じゃあ私の思う様にやってもいいかな?」
「...はい、お願いします。」
「オッケー!私に任せてめちゃめちゃ可愛くしてあげるから!」
「あ、春華...」
(ゴニョゴニョ)
そう言って俊介先生は春華さんに何かをヒソヒソと伝えている。
なんだろう。
「了解!任しといて!」
「じゃあ綾愛ちゃん初めて行こっか!...俊ちゃん、ここからはレディーだけでやっていくから退出願います。」
そう言って春華さんは音が聞こえてきそうなウインクをした。
「う、僕は除け者ってことか。わかったよ、そこら辺ぶらぶらしてくるから終わったら教えてよね。」
「もちろん!バイバイー!」
そう言って俊介先生は部屋を出て行った。
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