第3話 先生の過去と初めの一歩。
先日、俊介先生との約束を決めた私。
きっと世の中に出回ってる少女漫画だったら、私は変わることができて、幸せな人生を送れるんだよね。
でも、そんな世の中甘くないって、それくらい私でもちゃんとわかる。
私は、今日改めて俊介先生とお話をすることになった。
今日は土曜日だけど、俊介先生は午前中に大学があるらしい。
その放課後に私の家に来てくれることになっている。
そろそろ約束の時間だが、なかなか来ない。
...なんかあったのかな。
約束の時間を15分過ぎている。
「綾愛ー!俊介くんが来てるわよ。」
私が不安になり、立ちあがろうとした瞬間に私を呼ぶ母の声がした。
(ドタドタドタ!)
私はいつもより急いで階段を降りた。
「こんにちは...。」
「では、お邪魔します!綾愛ちゃん行こっか。」
(タンタンタン)
私と俊介先生が階段を登る音が響く。
「私の母、何も言ってませんでしたか?」
私の母は厳しいから何も無しに人を家にあげたりしない。
「あー、聞かれたよ。『今日は土曜日だけどどうしたの?』って。でも大丈夫、綾愛ちゃんと勉強を教える約束をしたって言っといたよ。」
「あ、そうだったんですか。わざわざありがとうございます。」
そう言うことだったのか。
「あと、今日遅れちゃってごめんね!ちょっと講義が延びちゃってね、ははっ。」
(ガチャ)
そうして私と俊介先生は部屋に入った。
「あの、話すって何を話すんですか。」
話をしたところで何が変わるんだろう。
「うーん、まず何で綾愛ちゃんが自信を持てないか何だよね。そこから考えていこう。」
「何で私が自信を持てないか...。わからない、わからないです。」
何で、私だってわからないよ。
わかってたら私も困ってないんだろうな。
「そっか、じゃあさ、綾愛ちゃんは自分のことどう思ってる?話せる範囲でいいから話してみてかれるかな...。」
私のこと...?
「私は、可愛くなくて、頭も悪くて、運動もできなくて、鈍くて、鈍臭くて...。」
「うんうん、今はそんな感じだよね。でも、変わりたいのは本当だよね?」
「...はい。」
「みてもらいたい写真があるんだ。」
そう言って俊介先生はスマホを取り出した。
「これ誰だかわかる?」
え、髪の毛はボサボサで、メガネかけてて、目も前髪で隠れてる...。
誰だろう...?
「わからないです。」
「これ高校1年生の時の僕なんだよね。」
え、全然違う。
だって今の先生って、メガネかけてないし、センター分けだし、髪の毛サラサラでセットされてるし...。
「嘘ですよね?こんなに違ったら流石に私でも騙されませんよ。」
「それがこれは僕なんだよね。」
真面目そうな眼差しで写真を見つめる俊介先生。
「え...、こんなに人間って変われるの?」
「僕はこの時見た目に気をつけなさ過ぎて、いじめに遭ってたんだよね。そんな自分は嫌だったから変わろうとして、今に至るんだよ。」
正直、今の先生からは想像のつかない過去だわ。
「どうかな...。見た目からも少しでも変われる。イメチェンでヘアセット変えてみない?」
ちょっと先生を信じてみようかな...。
「...はい。でも何をどうしたらいいんですか?」
「僕の友人がやっている美容院に行ってみないかい?」
ここでぐだぐだしてても何も変われない。
やってみなきゃ...。
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