942 結局は、こう成るのね

 偶然にも文化祭で鉢合わせした倉津君・奈緒さん・崇秀・眞子の4人だったが。

些細な口論から、何故か、2手に分かれての歌謡コンクールでの争いをする事を提案されるのだが、その組み分けと言うのが……


***


「あっ、それ、良いですね」

「但しだ。この文化祭で行なわれる歌謡コンクールなんざ、所詮、素人に毛が生えた程度のコンクールだ。こんなもんに優勝したって、なんの自慢にもなりゃしねぇ。だから、マトモにやったんじゃあ面白くないだろ」

「じゃあ、どうするの?」

「なぁにな。だからよぉ。相性の悪い者同士が組んで、勝負するってのはどうだ?」

「ちょ!!じゃあ私は喧嘩してる眞子と組めって事ですか?」

「そぉ、ホンで俺は、眞子の件で、俺の事が気に喰わない倉津の馬鹿と組む。……っで、勝った方には、さっきの勝利者賞に付け加えて、副賞として1つだけなんでも言う事を聞かせられる権利が与えられるってので、どうよ?」


いや、待て待て。

もぉこの際だ、百歩譲って、歌謡コンクールに出るのは良いとしよう。

けど、なんで俺が、音楽復帰第一戦を、オマエみたいな強烈なイカレタ奴と組まにゃならんのだ?


俺は、オマエとじゃなく、奈緒さんと100%組みたいの。



「そんなの丸々お断りだな。俺は、オマエとは組まねぇ。奈緒さん希望だ」

「私も、今の奈緒ネェは嫌。崇秀が良い」

「そぉ?私、眞子が良いけどなぁ。だってさぁ。アリーナ以降、ニューヨークで一回しか一緒に演奏してないもん。眞子がアメリカツアーを経て、どれだけ上手くなったかを生で体感したいからね。……因みにクラは1年間休養してたから、なんも変わってないしね」


うぉ!!そりゃあねぇッスよ、奈緒さん!!

奈緒さんが眞子を指名しちまったら、自動的に俺は、このアホンダラァと組まなきゃならないじゃないですか!!


なんッスか、その地獄絵図は!!



「あぁ、そう言えばそうですね。じゃあ、私も奈緒ネェと組みたい。……奈緒ネェ一緒にやろ」


この……眞子の奴、アッサリ、裏切りやがったよ!!

オマエまで、俺を、この魔王の生贄に捧げ様ってのか?


鬼か!!



「だね。じゃあ決定♪頑張ろうね眞子」

「あぁはい、全力全開で頑張っちゃいますよ♪」


あれ?おかしいなぁ?

オタク等、さっきまで喧嘩してなかったっけ?

なんで、そんなに直ぐ仲直りが出来るんだ?


意味がわかんねぇぞ?



「いやいやいやいや、ちょっと待ってくれ!!俺もソッチ側に入りたい!!崇秀は嫌だ」

「そっか。だったら俺は、いつも通り1人でも構わねぇぞ。……偶には、俺の本気を見せてやろうじゃねぇか」

「「!?」」

「おぅ!!それで良いじゃんか!!それで行こうぜ!!それで!!」

「あぁ、仲居間さんには、クラを差し上げますんで。どうぞ、お好きに使って下さい」

「えっ?」

「まっ、真琴ちゃんガンバ!!やれるやれる!!」

「いやいや、奈緒さんも眞子も、そんな酷い事を言うなよ。……わっ、悪かった。崇秀は良い奴だ。だから俺も、そっち側の仲間に入れてくれ」

「うん、ごめん……全力で断る」


なんでぇ?


……って言うか、何を怯えてるんだ、この2人は?

崇秀が『本気』って言っただけで、恐ろしい様な拒否反応を示してるんだけど?


俺が昏睡してた1年の間に……また、この馬鹿がやらかしやがったのか?



「あっ、あの、奈緒さん一緒に……」

「さっ、さぁ、眞子。歌謡コンクール迄、もぉあまり時間がないよ。早く他のメンバーも探しに行かなきゃね。行こ行こ」

「そっ、そうですね」

「ちょ!!」


あるうぇ~~~?

昨日、奈緒さん、崇秀をやっつけるって話を熱く語ってたじゃないッスか?


この態度を示すって事は……


あれ……なんだったんッスか?



「ちょっと奈緒さん!!昨日、崇秀を一緒に倒そうって言ったじゃないッスか!!あれ、嘘ッスか!!」

「あぁっとねぇ。あぁほら、今日はお遊びじゃない。それは本気の時の話ね。なんでも勝てば良いってもんじゃないんだよ。本気の音楽で勝たなきゃ、なんの意味も無いの(空気読め!!)」


あるうぇ~~~?

奈緒さん去年、なんでも勝てば、勝ちだって言ってませんでしたか?

それに崇秀だって『本気でやる』って明言してるじゃないですか。


言ってる事が、おかしいですよ。



「いやいやいやいや、去年の文化祭で、崇秀に、なんでも勝てばOKって言ってたじゃないですか」

「うん、そこは悔い改めたのよ。ヤッパ、本気の音楽で勝たなきゃ意味が無いよね(だから空気読め!!今は、その時じゃないの!!)」

「あぁだったら、俺は1人で良いぞ。その代わり本気で……」

「崇秀!!崇秀!!」

「んあ?なんだよ眞子?」

「今日は文化祭だし。ほらほら、それに昨日の約束じゃ、昨日と、今日は、お休みでしょ。だから、本気じゃなくて遊びでやろうよ。遊び心を失くしたら、お仕舞いだよ」

「あぁまぁ、それは一理あるなぁ。ところでよぉ眞子。何%までが遊びって事で良いんだ?80%ぐらいか?」

「あの、崇秀……此処に居る全員を殺す気?」


『殺す』だって?


オイオイ、崇秀の本気って、いつの間にか、そんなにスゲェ事になってるのか?

山中の言ってた通り、たった1年間で、また強烈な進化を遂げたって言うのかよ?


……にしても、俺が昏睡をしてる間に、一体何があったんだ?

奈緒さんは、全米でヒットを飛ばし捲くってる超有名アーティストだし。

眞子も、巷の噂じゃ化け物扱いされる位ハンパじゃない実力の持ち主だと聞いていると言うのに、崇秀の本気に対してだけは、この有様。

そんな2人が、此処まで崇秀を恐れる理由ってのはなんなんだ?


イカンなぁ。

流石にこれは、ちょっと興味が湧いて来たぞ。


なら、いっそうの事、ステージで一緒に演奏する相手が崇秀でも良いか。

なんか、その方が面白そうだしよ。



「あぁ、もぉ解った、解った。大不満だが崇秀で良いよ。我慢してやるよ」

「ホッ、ホント?」

「ホントも、糞も、奈緒さんも、眞子も勝負自体のヤル気はあるんだろ?だったら、俺が諦めるしかねぇじゃんよ」

「「おぉ……格好良い♪」」

「そっ、そうかぁ?……まぁまぁ。つぅ事だから、仕方なく組んでやるよ、馬鹿秀」

「あっそ(チッ……ツマンネェな)」


なんか言ったか?



「その代わりオマエ、全力全開で行く事な」

「おっ、おっ、はいよ、はいよ~~。委細承知(ククッ……やっぱ、コイツはオモシレェな)」

「「魔王様に、余計な事を言うなぁ!!」」

「はい?」


ダメッスかね?



こうやって『自分の彼氏VS自分の彼女』と言う、奇妙なバトルが勃発した。


これこそが、とんだハプニングだった訳だよ。


けどまぁ、こう成った以上、早めにメンバーを探しちまって音合わせとかもしちまわねぇとな。

勝負事になった以上、相手が彼女の奈緒さんだろうと、姉弟の眞子だろうと負けて良い道理なんとものは無い。

どんな事が有っても、最終的には勝たねぇと意味がねぇからな。


……しかしまぁ、なんだな。

もし勝ったとしたら、奈緒さんと、眞子に何して貰うかな?


崇秀がコチラ側にいるだけで、勝率は一気に高く成ってるしな。


キヒヒヒヒ……

(↑卑怯な俺)


***


【次回予告】


眞子「眞子で~~す♪」

真琴「オぃちゃんだよ~~~」

真琴・眞子「「2人合わせて、予告姉弟で~~す」」


真琴「さてさて、また恒例のとんでもないライブバトルになっちまったもんだなぁ」

眞子「ホントだよね。まさか、普通に楽しもうと思って来た文化祭で、崇秀と敵同士になるなんて、ホント想いも寄らなかったよ」


真琴「まぁそう言うなって。俺だって、復帰一戦目のライブを奈緒さんと出来ねぇんだからよぉ。これ以上の不幸はねぇぞ」

眞子「だよねぇ。お互いついてないよね」

真琴「だな」



眞子「さて……そんな感じで次回は、真琴ちゃんと、私の視点が交じり合ったライブの話をお送りします。お題は……」


『Battle in cultyre festival』

「激突」


真琴「……を、お送りするぜぇ!!楽しみにな!!」


眞子「はぁ~~~、それにしても、崇秀と普通にデートしたかったなぁ……」

真琴「諦めろ。……オマエの彼氏は、既に産まれた時から狂ってる」

眞子「……だよね」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにてシーズン8及び、第一章・第五十三話【happening】はお仕舞に成りますが如何だったでしょうか?


今回は色んなハプニングがあったのですが。

この最後の最後で、倉津君・崇秀VS奈緒さん・眞子組の戦いが勃発したのが、倉津君にとっては一番のハプニングになったのかもしれませんね(笑)


……っとは言っても。

現状ではメンバーが足りないのも現実。

これからメンバー探しをしなきゃいけないのですが、一体、この急な状況の中、誰を選出するのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、第一章・第五十四話【Battle in cultyre festival】もお付き合い下さいませませ♪

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


そして、この戦いと共にシーズン9【真琴と眞子の文化祭再び編(*'ω'*)】がスタートしますです♪


果たして、この戦いの行く末は?(笑)

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最後まで奏でられなかった音楽(シーズン8) 殴り書き書店 @nagurigakisyoten

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